巻かなかった世界 303 | 指先の記憶

指先の記憶

大好きなおふたりと周りの人たちのお名前をお借りして、私の頭の中のお話を綴っています。二次創作にご理解のある方だけ、お読みくださいm(_ _)m

ぼくたちの初めてのクリスマスは、とてもクリスチャンにふさわしいとはいえない二日間だったけど、ぼくにとっては有意義だった。 

 

 

ユノさんは25日の朝、ぼくが寝ている間に近所の教会でお祈りしてきたって言ってたから、ユノさんはきちんとクリスチャンとしての時間も過ごしたようでよかったし。 

 

 

それから、ユノさんは土日仕事、ぼくは平日仕事で、すれ違いが続き、それぞれに荷物を運び、ぼくが片づけて、ひと月ほどで引っ越しできた。 

 

 

引っ越しの日、両隣のおばさんたちが見送ってくれて、左隣のおばさんは従兄の会社の商品だとかでたくさんの布巾をくれた。 

 

 

右隣のおばさん、いやおねえさんは、ときどきウチに持ってきてくれるパンと美味しいデンマーク産のバターの詰め合わせをくれた。 

 

 

いつも、ひとつひとつのパンに説明のメモをつけてくれてるんだ。 

 

 

冷凍保存して、一個ずつ楽しみながら食べよう。 

 

 

「チャンミンく~ん」

 

 

って大泣きするおねえさんの肩を抱いたおばさんが、 

 

 

「もう、遠くへ行っちゃうわけじゃないし、またいつでも会えるんだから。」 

 

 

って言いながら、やっぱりぐすんと泣いていた。 

 

 

引っ越すって言ったって歩いて行ける距離なんだけど、子どものころからかわいがってくれたから親みたいな気持ちでいてくれたのかもしれない。 

 

 

ぼくは独りだって思い込んだ時期があったけど、いつだって見守ってくれる人がいたんだっていまならわかる。 

 

 

家族もご近所さんも、学校の先生たちも。 

 

 

ソルラル休暇に、ユノさんが故郷の光州に連れて行ってくれて。 

 

 

ご両親も妹さんご夫婦も幼い姪っ子さえもぼくを歓迎してくれて、家族に迎え入れてくれた。 

 

 

ぼくたちはいま、あの広いマンションで暮らしている。 

 

 

相変わらずすれ違いが多いけど、いっしょにいられる時間はその分楽しい。 

 

 

いっぱいしゃべって、いっぱい笑って、いっぱい愛し合って。 

 

 

ぼくたちはとてもしあわせだ。 

 

 

今年のSMTOWNを、ぼくは客席で観る。 

 

 

 

 

完 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。