実は結構車が好きだ。
といってもレアな車種に詳しいわけでもなく、工学的な構造についてはほぼ無知なのだが。
ただ、運転を始めて十何年、道を走る時にはいちいち周りの車を眺めてしまう。
そうしているうちに、各時代によく売れていた車については皆名前を覚える事になった。
車のデザインや色は様々で、各時代によって流行りというものもハッキリしている。
「ふむふむ。ホンダのFITにはこんな色もあったんだー。」
「ヴィッツがモデルチェンジしたな。」
とか、観察するのは楽しい。
車そのものを観察する他、「乗り手」とセットで観察する事もまた楽しいのだが、これについて私は少々思う所がある。
「車」というモノの捉え方は様々あると思うが、
ちょっと自分の話をすると、
私は、自分の車に家族愛とも呼べる程の愛着を感じるタイプである。
一緒にどこに行って、その時は誰を乗せていて、どんな思い出が出来た。
と、車は単なる搬送手段ではなく、「相棒」なのだ。
「相棒」は「相棒」である事が愛される全ての要素なのであって、私はその見た目や性能その他を全くもって重要視しない。
運転を始めてからずっと私の相棒だったのは、日産のセフィーロ君。もちろん親が買った家族の車である。
十何年も頑張って走って、ついに動かなくなりちょっと前に引退した。
免許取りたての私がうっかりハンドブレーキを引いたまま高速を走ってしまったり、
両親と離れて住んでいた学生の時、なんとか高額な車検を逃れようと日産の営業担当さんの電話に居留守を使い続けていたり(アホ)、
その結果エンジンがキキキーッと悲鳴を上げるようになっても平然と乗り続けていたり、
そのセフィーロ君の悲鳴に後輩がものすごい怖がって「ん?ヤバイのかな?」と気づいたり。
柴犬のハナさんを乗せて走った後はハナの毛が後部座席にビッシリとくっついており、その後に乗せた友人の洋服が大変なことになってたり、
それで怒られたり。
うっかり者の母は何度も車庫入れに失敗してセフィーロ君のお尻部分はボコボコになってたり。
さらにはそれをガムテープでくっつけてあったり。
洗車なんて一度もしたことなかったり。
んでもって大雨の後は車が綺麗になるので母と「恵みの雨だね」と喜んだり。
見た目的にはちょっと可哀想な感じのボロ車になっていたが、
最後の最後まで壊れることなく頑張ってくれた。さすが日本車である。
私のセフィーロ君への愛着は人一倍あった。何か自分にしっくり来てる気がしていた。凹みや傷の一つ一つが、ずっと私を見守ってくれているような気がしていた。
これが、3年毎に買い換えられ、いつもピカピカにされている車だったらきっとここまで愛着を感じなかったかもしれない。
素敵だけれど、私っぽくないな。
みたいな。
そう。私にとっては「乗り手とそのクルマ」を観察する際、
「その人っぽいか」
という点に一番注目してしまう。
ちょっと風変わりなのかもしれないが。
何でいきなりこんな記事を書いているかというと、
インディアナ大学の中国人大学生が乗っている車に一言物申したい!からだ。
インディアナ大学には中国人の大学生が大量にいる。
経済成長著しい中国。金持ちの金持ち度合いが計り知れない。
さらには一人っ子政策まっただ中で、大事に大事に育てられた金持ちの一人っ子達が遥々、高額なアメリカ大学を卒業しにやってきている訳だ。
高額な授業料に加え、アパートメントを借りさせ、車を買わせ、その他諸々の出費は計り知れないだろう。
もちろん割安な学校寮に暮らす子もいるが、20万円/月位の家賃を必要とする高級アパートメントに暮らす子もいる。
中でもビックリなのが、彼らの乗る車。
ベンツ、アウディ、BMWは当たり前(※何故かアメリカにてヨーロッパ車を好む傾向あり)。
マセラッティにアストンマーチン。フェラーリのオープンカー。
当然、皆新車。
・・・いや、冗談じゃありません。実話です。
一千万超え?の車をたかが4年間のために買ってもらう彼ら。
当然、10万円単位のお金位屁でもないのでしょう、「市内の駐車場どこにでも停められますよ」許可証(普通は買えない)を、金の力で買い占め、高級車のフロントガラスにぶら下げている。
先日、駐車場にて真っ赤なマセラッティに乗った中国人女子が、駐車が下手すぎて縁石に車体下部をガリガリやってるのを見て、堪忍袋の尾が切れました。
もうね。
本当に車に失礼だと思うんですよ。謝った方がいい
第一。
20歳そこそこの小さなアジア人女に全くもって似合ってない。
第二。
超簡単とも言える駐車にも手こずるような奴に乗る資格なし。
第三。
オートマチック仕立てのマセラッティなんかに乗るなーー!!メーカーの魂無視しすぎでしょうが!
とね。
別に金持ちがいくら金を使おうが勝手である。せいぜい贅沢をして暮らしたらいいと思う。
全身ブランドで歩いてても特に怒りは感じない。
でも、車と乗り手の関係性について若干の美学を持ってしまっている私としては、彼らに乗られる車が可哀想で、その車のメーカーに申し訳なくて、歯がゆくてしょうがないのです。
まぁ100歩譲って、その女がこのマセラッティを壊れるまで大事に使い続け、金持ち仲間から「ボロくてダサい」と表現されるようになってもまだ愛情を持って乗るのなら許す。
でもさ、彼らは4年経ったら中国に(多分)帰るわけで、その時に遥々車を持って帰るのか?と言われるときっとそんな事はしないと思うのですよ。
勿体無い。
そこでちょっと考えてみた。
それでは、いわゆる「超高級車」は一体誰に似合うのか。
これが案外難しい。
一つ思いつくのは、イタリアで白髪の爺さんが真っ赤なフェラーリのオープンカーに乗って、高速道路を
超ゆ~っくりと
走っていた光景。
「速度制限も特にないイタリアで勿体無い!!フェラーリ乗ったら飛ばすっしょ!!」
と一瞬思ったが、その考え自体が「青い」のだろう。
うん、よくよく考えるとその爺様は格好良く、さらにその車とお似合いだった。
あとは、車の部品などについてもすごく詳しい車マニアが、コツコツとお金を貯めて買って大切にしている家宝的な高級車、ってのも印象が良い。
その車マニアがどんなにショボイおっさんで、その他の持ち物が全てしょぼくても「車への愛情」があればきっと嬉しそうに乗っている姿は様になるだろうと思う。
ただ、やはり若すぎる一般人はダメかな。
このケースにおいては、年齢は40歳以上が望ましいですね。個人的に。
一部のハリウッドセレブで、迫力オーラが半端なくある人も高級車が似合うかもしれない。
好き嫌いは別として、アンジェリーナ・ジョリーが日産マーチに乗っていたら爆笑ものである。
あのドギツイオーラを受け止められるのはやはり「超・高級車」の迫力しかないだろう。
ちなみに日本人の俳優さん達は男女共にどこか「若々しい」「可愛らしい」「慎ましい」雰囲気が出てしまうので、「超」のつく高級車は似合わないと思う。
身の回りを思い浮かべた所、車に対するスタンスが「素敵だな」と思う例もあれば、「ありえない」と思う例もある。
まず、素敵話。
一人の大学同級生が旧式のCRVに何年も乗っていた。
大人数乗れるし荷物も積めるという事で学生時代は彼とCRVはよく便利に使われていたものだった。
修理にも出さなければならないし、車検も通さなければならない。
彼はいつも割の良いバイトに精を出していた。
その車について話す時の彼はもう完全に目尻が下がり、「親の顔」。
うんうん、こういうのいいね、と思って見ていた。それだけで、心根が優しい奴なのだという事が分かる。
そのCRVがついに引退するとき、彼はそのハンドルを思い出にもらったらしい。
何とも涙ものの話である。
そして、ありえない話。
大学に入学してすぐ、初授業のような日だったと思う。
大教室にて後ろに座っていた男子生徒が仲間内でこう話していた。
「何かさー、親が車買ってくれたんだけどー、BMWの中古なんだよー。まっじだっせーよな。もうサイテー。」
その仲間もたしなめるどころかケタケタと笑っている。
車を「相棒」どころか、「モノ」以下の「ブランド的価値」としてしか見ていない奴ら。
いるんだなー、こういう人。
という感じでした。
もう一件、割と最近の話で言うと、
とある女性が、
「彼の乗ってる車がダサいから買い換えさせた」
と言っていた件。
その彼は愛車のチェロキーに長年乗っておりそれをすごく大事にしていたという話を聞いていたこともあり、ビックリしたものだった。
ヒョイヒョイっと大型ベンツの新車に買い換える財力を持っている点は賞賛に値するが、女の一言で買い換えてしまう彼も、彼のチェロキーへの愛着を理解しない彼女も、私の勝手に思う「車の美学」に反する人々であった。
マセラッティの中国人女子にイラっときたのを機に色々勝手な事を書いてしまったが、あくまで個人的な考えです。しかもちょっと風変わりな。
ちゃんと自分で自覚もしているので、読んでて気分を害した人がいたらごめんなさいね。
ちなみに車ウォッチャーの私が羨望の眼差しで見ている車は、
トヨタヴィッツの、旧型モデル(10年位前の。)・・・後ろの顔が何とも言えず可愛いんです。
日産ムラーノ。・・・格好良い。こーれは格好良い。
ですね。
ヴィッツの旧型はもうほとんど目にすることがなくなり、寂しい限りです。
国粋主義者としてはもちろん圧倒的に国産車が好きですが、
悔しながらも外車で格好良いなと思うのは以下。
FIATのチンクエチェント。
・・・もちろん昔のが一番好き!!未だに南イタリアでは元気に走ってますよ。
今のチンクエチェントはこんな。
ポルシェのカイエン。
・・・悔しいけれど格好良いですね。自分には似合わないと思うので欲しくはないけど。
車ウォッチング。
日本を走る車はきっとこの二年でまた変わっているんだろうなぁ。
帰国後のウォッチングが楽しみです。