私はスイスの山が大好きだ。

小さい頃に少しイタリアに住んでいた事があり、山好きな両親と、モルきみちゃん(イタリアのお父さんお母さんと私が慕っている、イタリア人のモルちゃんと日本人奥さんのきみちゃんのご夫婦)と皆でよくスイスの山登りに出かけていた。


必然的にイタリア寄りの山を登りに行く事が多くなるのだが、その中でもよく訪れたのがVicosopranoという小さな村。

かの有名なサンモリッツから小一時間の距離にある。


その小さな村に南イタリアから「お婿」に行き、しっかり者のスイス人の奥さんに操られながら宿経営をしているアルドさんと、モルちゃんが友人なのだ。

今回スイス初上陸&山登りもほぼ初体験?のT氏を是非連れていきたいなと思い、予め宿を予約して行った。



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これがアルドさんの宿。Albergo Corona


うっかり内部の写真を撮り忘れてしまったのだけれど、すっごく古い建物でちょっとボロいけれども味がありなかなか素敵な所。


とても小さな村で他にレストランもないので毎晩夕飯はここで食べることになるのだが、アルドさんがコックとして腕を振るう料理達はどれもビックリする位美味しいのだ。



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例えばこれ。

Pizzoccheri というそば粉のパスタ。

この地方の郷土料理だ。


ちょっとボソボソとした手打ちのそば粉パスタが、チーズ・バター・セージといったコッテリ系のソースによく合う。

エネルギーを必要とする山の料理だな~、という感じで良い感じ。


アルドさん、地元南イタリアにいた若かりし頃、そこに旅行で来ていたスイス人奥様に一目惚れ。

なんとそのままフラフラとスイスまでついていってしまい、何やらそのままここの住人になってしまった・・・

という、何とも情熱系イタリア人っぽい感じの人であるが、

南イタリアの伊達男もどこへやら。すっかり鬼嫁に牙を抜かれ、案外真面目に宿のコック&動物世話係&畑係をしている。


そう、ここのホテルでは、自家農園で育てた野菜やアルドさんが毎日世話をしているヤギから作られたチーズを食べることが出来るのです。


例えばこんな。


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トマトとフレッシュヤギチーズのサラダ。

このフレッシュチーズはアルドさんが毎日ヤギのミルクから作っているものなのだが、こーれが美味しい!!

コクがあって、でもいくらでも食べられる位フレッシュで。


初日の夕飯で褒めまくったら

「明日、ヤギ見に行くか?」

と誘ってくれた。


もちろん行きますとも。

翌日の朝9時半からヤギの乳搾りに同行する約束をする。


そして翌日。


どうやら私達の他に20人の団体客が入ってしまったらしいAlbergo Colona。

朝からアルドさんは大忙しだ。


まぁ当然9時半に出かけられるはずもなく、

「もうちょっと待ってて」

と言われる。


まぁ結局イタリア人だからなぁ、一時間は待つだろうなぁ。


とゆったり構えていたところ、


「キッチンを見てみるか?」


とアルドさんのお誘い。


もちろん見ますとも。


入ってみると想像以上にしっかりしたレストランのキッチンであった。

主要な器具は全て揃っている。

デザート製作用のパーテーションまである。


ほう、これはすごい!

と色々観察していたら・・・


「ちょっとこれ炒めてて」

「あ、玉ねぎ切って鍋に加えて」

。。。。


とアルド氏。


何か知らんが、いつの間にか私は20人分の団体用セットメニューのビーフストロガノフを作っていた。。。笑


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私も楽しんでいたので何も問題はないのだが、「客を使う」というこの状況。さすがイタリア人である。


そんなこんなでようやくヤギの放牧地へ。


yunのブルーミントン日記 孫と共にヤギの群れを呼びます。

何とヤギ、呼べばリーダーを先頭に必ずやってきて、乳を搾らせるのだとか。


「すごいね、嫌がったり逃げたりしないんだ」


と言ったらアルドさん、ニヤリと笑って


「こいつらはスイスのヤギだからな。規律ってもんがあるんだよ。イタリアのヤギとは違う。スイスは規律、何でも規律。ヤギでも規律! 笑」


と言っていました;



yunのブルーミントン日記 アルドさん、10頭近くいるメスヤギから次々と乳を絞っていきます。


yunのブルーミントン日記 私も挑戦。結構難しい!


絞った乳はその日の夕方にチーズにした。
yunのブルーミントン日記 これが一日で取れるミルク。かなり大量。



yunのブルーミントン日記 ミルクを沸騰させ、前日にチーズを作った時に出来る「乳清」を加えると、そのうち凝固が始まる。

(写真:この晩もうっかり厨房で働いてしまった私。)



yunのブルーミントン日記 それを穴あきおたまですくい、穴の開いたプラスチック容器に丁寧に詰めていく。


詰め終わったらこれは冷暗所にて一晩休む。

・・・と、水分が抜けてフレッシュチーズの出来上がり!
yunのブルーミントン日記 となるわけです。

「労働代」として我々、毎日このチーズをご馳走になりました;


チーズ作りは初体験。しかも絞る所から 笑

めったいに出来ない、良い体験だった。



ちなみにアルドさん。

しばらく前から飼っていた馬を手放し、代わりに最近彼らを飼いだしたらしい。


yunのブルーミントン日記 ロバさんのカップル


前飼ってた馬には時々乗ったりしてたみたいだったので、

「このロバは何をするの?」

と聞いてみたところ、


「何もしないよ。景色を良くしているんだ。ほら、ロバがいると景色が良くなるだろ?」


と分かるような分からないようなお返事。


しかしこのロバ達がまた可愛いのだ。

何が可愛いって、もう お互いが大好き!! なの。

yunのブルーミントン日記 広い囲いの中、いつもものすごい密着度。お互い少しも離れようとしません。


秋ごろには彼らのベビーが産まれているかもしれないとのこと。

ロバの赤ちゃん、きっとすごく可愛いんだろうなぁ。


Vicosoprano、また絶対に行きたい場所です。