ようやく。


クロアチア→バーリ の連絡船について書きます。



クロアチアでちょっとのんびりした時間を過ごし、豊かな気持ちになっていた我々。


「後はバーリ経由でフランクフルトに移動し、アメリカに帰るのか。。。3ヶ月のヨーロッパ周遊旅行も終わってしまったなぁ」


とちょっと感慨深くなっていた時のこと。



通関所が20時から開き、そこを通過して乗船。連絡船は22時にドブロブニクの港から出るという事で19;30頃から港でスタンバイしていた。


20時の15分前位からボチボチ通関所の前に人が並びだす。


「我々も並ぼうか?」

「いや、どうせ時間通りには開かないだろう。慌てる乞食はもらいが少ない。」

「それもそうだ。」


というわけで、ゆっくりと腰掛けて待っていた。


これが大間違い。

この時ばかりは慌てる乞食がボロ勝ちする結末となるのであった。。

あぁ、あの時に列の最初に並んでおきさえすれば。。。


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通関所が開いたのは、20:15頃。

私たちも列に並んだ。


行きと同様、周りは「本格的なバックパッカー」が沢山。

船の中で買う食べ物は若干高いというのもあり、夕飯を入れたスーパーの袋を持参している人も多かった。

笑えたのは、むさ苦しい男5人組のバックパッカー。スーパーで大量のソーセージを買って持参していたのだが。。。

当然、ソーセージを加熱できる場所などない。

加熱する事を知らないのか、生でも気にしないのか。

きっと丈夫な胃腸の持ち主なのでしょうね;


我々の後ろには、何と中高年の日本人夫婦バックパッカーがいた。

この年になってこの様な旅は大変だろうなぁ、という感じ。


まぁそんな感じで周り観察をしながら悠々としていたのだ。


が、その時。


ギャーギャーとすごい騒音と共に、イタリア人団体客が我々の列になだれ込んできた!

列を無視し、「我先に」と通関所へと押し合いへし合いし始める。


その勢いたるや。一瞬、何が起こっているのか分からなかった・・・。


どうやら、

同じ船にイタリア人団体客がおり、どこからか

「子供は先に通関し、乗船して良い」

というデマが流れ、

列に並びたくないイタリア人は子供を「盾」に、「ほら、子供とその連れだ」とばかりに一気に大勢列へ割り込みを試みる。

当然、「子供」のいない、ドサクサ紛れな人々も列に割り込もうとし、混乱を助長する。。。


という状況。


「あぁあ、始まったよ、イタリア人。いつもの事だ。」

と冷めた目で見つつ、そろそろ何か言ってやろうかと思っていたその時。


後ろの日本人おっちゃんが叫び始めた。


「ゴーバーック!!ゴーバーック!!」


持っていた団扇を振りかざしながら、まるで狂ったかのように叫ぶおっちゃん。


どうやら、「列に割り込むな」 という事を群集に伝えたいらしかった。


それはモットモなのだが、あまりのおっちゃんの熱狂ぶりに正直、ひく


周りから見れば同じ日本人、あわよくば「仲間」と見られかねない。

おっちゃんは正しいんだけどさ・・・

恥ずかしいんだよね、、、。

群集に何か言ってやろうという気持ちは一気に萎え、私の背中を冷や汗が流れる。


ゴーバーック!!って叫ばれても、当然イタリア語しか分からないような人々。

「何か東洋人が狂い叫んでるぞ」

という感じで見ていた事であろう。

さらに残念な事に、おっちゃん、ものすっごいジャパニーズイングリッシュである。

カタカナのまま、発音している。


すごく影が薄くて大人しそうな彼の妻も怒り狂う夫をなだめるどころか、

夫に

「えーっと、恥って何ていうんだっけ?」

と聞かれて

「シェイムよあなた。シェイム。」

とか答えちゃっている。


そして夫は

「ゴーバーック!シェイムー!シェイムー!」


とまた興奮するわけだ。


あーもう。

やめてくれ。


という感じだったのだが、そこで助けが現れた。



それは、私の前に並んでいた若いイタリア人バックパッカーのカップル。


群集に向かってイタリア語で、


「彼(おっちゃん)の言ってる事は正しいわ。列を守りなさい。私たちはもう3時間もここに並んでいるんだからっ!!」


と大声で主張。


おいおい、3時間って・・・君達せいぜい待ってたの15分だよね;


とずっこけつつも、


群集に向かって声を大に主張するカップルに心の中でエールを送る。


そこからは群集の イタリア人VSイタリア人カップル の言い合いへと展開。

群集の中にも、列に割り込んでいる自分たちの事は棚に上げ、

「そうだ、割り込むのはイタリア人の悪い癖だ。」

「子供を盾に割り込むなんて、ジプシーのする事だ、けしからしん」

などともっともらしく自論を展開する輩もいる。

おいおい、という感じだ。


その間も、待合室は押し合いへし合いの状況。

我々のリゾート気分も一気に吹き飛ぶ。

さらに空調も効いておらず、室内はめちゃくちゃ暑い。


この悪環境の中、皆のテンションもオカシクなる。


アメリカ人男子のバックパッカー達はこの騒動に楽しくなっちゃったのか、また英語で好き放題悪態をついて笑い始めるし、


何故か群集の後ろの方では 「イエーイ!!」 という叫び声や、 サッカー観戦の際にあげる応援歌?のようなものが聞こえてきたり。


まぁ、カオス である。



人ごみに揉まれに揉まれ、疲れ切った私がようやく通関の列の終わりにたどり着いた約一時間後のこと。


そこにいたデブのイタリア人おばちゃん警官に、


「大変な状況だったね、もう疲れたわ。」


とボヤいたのだが、


「そうよねー、いつもクーラーがついているのだけれど、今日は壊れちゃってねー」


と何とも的外れな回答をいただいた(笑)



さらに力が抜けつつ、通関のボックスにパスポートを提示した。

通関の担当者は若めなお姉さん。


なにやら難しい顔をして、私のパスポートを凝視


通関って普通一瞬で終わるものでしょ。

あまりにもパスポートとパソコンを凝視しているものだから、何か不備でもあるのかとすごく不安になったその時。


「あなた・・・実年齢には見えないわねー!! いやー、やっぱアジア人の女性の年齢は見た目で分からないわよねー。 私の友達もね。もう40歳なのよ40歳。 なのにね、もう、どーっから見ても25歳にしか見えないんだから! あ、友達はケイコっていうんだけどね。」


と。



・・・あのさ。 私のすぐ後ろはギュウギュウの列の大カオスなわけですよ。

あちこちで罵声が飛び交っているような状況なのですよ。


アナタ、もう少し急いで通関処理の仕事してくれませんかねぇ(笑)



いやー、疲れた。

船に乗り込み、個室にこもり、速攻で眠りについた私たちでありました。