娘の病気の始まりからこれまでのこと、記憶をたどりながら少しずつ書いています。
2020.7.2木曜日
昨日夜眠ってから、何度も目が覚めて、そのたびに娘の様子が気になってしまうが、とりあえずはぐっすり眠っていた。
5:00すぎくらい、
乾いたような呼吸音でハッと目が覚めた。
似たような音を過去に聞いたような…
と、一瞬で記憶が蘇った。
大学生の頃、祖父が亡くなる瞬間、
家族や親戚が囲む中で息を引き取ったが、
まさにその瞬間の、
「カッ」
というような乾いた音。
一瞬で目が覚めて、薄暗い中、反対の方に顔を向けていた娘の顔をのぞき込むようにして見ると、
まつげの位置が、目が開いている状態の位置だった。
目を覚ましているのかと思い、さらに顔をのぞき込むと、
娘の目は白目をむいていた。
すぐに娘の名前を呼びながら体をさするが反応がない。
体が横を向いた状態から、徐々に上半身が後ろへのけぞっていく。
体がのけぞっていくのに合わせて、今度は手もゆっくりと体の上の方へ動いていく。
片腕がピンと突っ張り、だんだん体が揺れ始める。
バタバタ暴れるような感じで、体全体が大きく痙攣している。
救急車呼ばなきゃ。
娘の名前を必死に呼びながら、携帯を手に取り、救急車要請。
私の声で下の子も目を覚ましてしまったが、見たこともない姉の姿を目の当たりにしてしまい、私の後ろに隠れるようにしてしがみついていた。
この日から、下の子はこの寝室に入れなくなってしまった。
そして、眠るときには、こわいこわいと、毎日のようにこのときのことを思い出してしまい、電気をつけて明るくしていないと眠れなくなった。
大人の私でもこの初めて見る痙攣、本当にこわかったから、まだ小さい下の娘にとって、このことは大きなトラウマになってしまった。
震えながら119にかけ、必死で今目の前で起きていることを電話口に伝える。
電話している間、次第に全身ガクガクは小さくなっていったが、でもまだ一定の間隔でびくっ、びくっと体が揺れている。
口から泡を吹いている。
声から、パニックになっている私の状況を感じ取ってくださったのか、
「お母さん、落ち着いてください。痙攣は初めてですか?大丈夫ですよ、すぐ救急隊が向かいますからね。」
と、言ってくれたことを覚えている。
救急車が到着するまでほんの数分だったと思うけど、とても長く感じた。
到着した救急隊の方にとりあえず状況を伝え、言われるがまま必要なものを用意し、下の子は旦那に託し、私が娘と一緒に救急車に乗りこむ。
娘は、救急隊の方が到着された頃にはもう痙攣はおさまっていたが、意識は戻ってなかった。
病院に着くと、うっすら意識が戻ってきたようで、少しずつ反応が返ってきた。
それでもまだ朦朧としている状態。
救急で対応してくれた担当の先生は、
「熱性けいれんかと思われます」
とのことで、とりあえず入院して様子をみることに。
長い待ち時間の中、私は【熱性けいれん】について検索した。
今まで痙攣なんて起こしたことなかったし、自分自身、目にしたこともなかった。
状況的には今回の娘の様子が当てはまったが、ひとつ引っかかったことがあった。
年齢。
当時娘は9歳。
検索して出てくる熱性けいれんの情報は、もっと年齢の低い場合。
この年齢でも熱性けいれん?
どんどん検索を進めていくと、聞いたこともないような病気のこともたくさん出てきたが、それらは頭に入れないようにして、熱性けいれんで自分を納得させようとしてた。
熱性けいれんなら、きっと大丈夫、と。
だけど、病棟にあがってから、また大きな痙攣を起こした。
朝のときと同じように、初めはゆっくりと体が反っていき、次第に全身がガクガクとなっていく。
すぐにナースコールをすると、あっという間に10人くらいの看護師さんや先生が駆けつけ、酸素マスクなどの処置をしてくださった。
私は震えて泣きながら娘の名前を呼ぶことしかできず、看護師さんが隣で、
「お母さん大丈夫よ、落ち着いてね」
と、背中をさすってくれた。
その日は、その後、15:00、22:00にも発作があった。
ほとんど眠っていたけど、発作のないタイミングは少しずつ意識も戻ってきて、
「暑い」
とか、
「ここどこかわかる?」
の質問に対して、
「病院」
と答えることができたり、お茶を少しずつのんだりもすることができていた。(まだこのときは…)
22:00の痙攣の時点で、先生からお話があったのは、
「痙攣が起こる原因の多くは、
①脳炎脳症
②髄膜炎
③てんかん
④熱性痙攣
で、①、②の場合だと脳にダメージがあった上での痙攣なので、はっきりとした受け答えが出来ないことが多いとのこと。
また、④の場合は年齢的なことと痙攣の状態、痙攣を抑える薬を投与してから次の痙攣が起こった時間が短すぎることから少し違うかなぁとのこと。
いま、1番疑わしいのはてんかんとのことで、明日以降に脳波の検査をするとのこと。
今はとりあえず、さっきの点滴に入れた薬を再度入れるか、違う薬にするか検討してる。」
との内容でした。
昼間に検索して出てきたワードだ…
どうしよう…
いや、まさか娘がそんな病気になるはずない。絶対大丈夫。きっと家に帰れる。
何度も何度も、不安に襲われては、それを拭い去るかのように、きっと大丈夫と自分に言い聞かせた。
しかし、その後、夜中にも2回ほど、全身ガクガクまではいかないが軽い発作があり、翌日、脳波検査、髄液検査を行うことになった。