これほど胸くそ悪い話は無い。
これは学校の全生徒にも伝わり、誰もが教師の弁護を大きく謳った。
しかし、数日後に告げられたのは『解雇通告』だった。
野球部員は人目をはばからず、大粒の涙を流す。またグラウンドでは彼らの泣き声さえも響いた。

彼らは分かっていたのだ。
それらは愛のある暴力であり、その顧問は自分達にとって大切な人なのだと。

そして結末は目に見えていた。
事件の発端となった生徒は他の生徒達からの的になる。
「お前がいなければ」
「お前の親がまともだったら」
こういう時の凶弾と言うのは不良のそれよりも恐ろしい。
まるで生徒全員が敵になったかのようにまとまり、一つの点を集中して責めるのだ。

この生徒がどうなったかは言うまでも無い。

結果的には、母親のねじ曲がった愛で自分の息子を追いつめたのだ。

そしてこの一件で定年間近の教師は職を失う。
愛のある暴力で教師はこの町から消え、愛の無い暴力がこの町に残った。

この町は腐った暴力の巣窟だった。