千年の祈り (Shinchosha CREST BOOKS)/イーユン・リー

¥1,995
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ああ、中国系アメリカ人作家ね(エイミー・タンみたいな)、
と思って読んだけど、実は著者は大学まで中国で育った生粋の中国人。
(しかもグリーンカードも持ってない…)
英語が母語じゃない人でした。

短編小説集なんですが、
ストーリーの端々に、中国社会(体制)の生きにくさが描かれてます。

貧しい農村から抜け出せず、
言いたいことを 自由に言えず、
ネットカフェはあるけど、有害サイトは政府がブロックしている。


原書版の巻末には、著者が5歳のとき、反体制分子の公開処刑を見たエピソードが記されています。
本書中で、ある短編の主人公(アメリカに移住した中国人女性)が、
こんな台詞を口にします。

"If you grew up in a language that you never used to express your feelings, it would be easier to take up another language. It makes you a new person"


母国で自分の国の言葉では書けなくても、英語でなら表現できる。
新しい言葉を使えば、新しい自分になれる。

「言葉の力」を感じさせられた一冊。