1月5日の朝方に、空へと旅立った実家の愛犬の話、続きです。




ペットショップの売れ残りだったぷーちゃんが我が家の一員になってから7年の月日が流れた頃、父が食道癌になりました。




それも既にステージ4で癌は深く、リンパ節にも転移があり手術は出来ないとのことで、抗がん剤と放射線治療をしていくことになりました。




仕事を退職して、市外に引っ越して母と愛犬と新しい生活をはじめた父は、ぷーちゃんを連れて近くの海岸のごみ拾いをして海の家のおばさんと仲良くなったり



とにかくぷーちゃんを色んな所に連れて行き、可愛がっていました。



ぷーちゃんもお父さんが大好きで、父がソファに座っていると必ず隣にやって来て、父の太ももの上に前足を乗っけて一緒に座っていました。





父に癌が見つかり、治療で入院したり退院したりを繰り返し、父が家に居ない事が多くなって母はぷーちゃんと2人暮らしに。




入院のたびにやつれていく父、身体が思うようにいかないイライラを母にぶつけ


母は父からぶつけられたイライラをぷーちゃんにぶつけ


ぷーちゃんは、どんなにイライラをぶつけられても、黙って母の側に居てくれました。




父は調子のいい時は、ぷーちゃんの散歩に出かけました。以前のように早く歩けなくなってしまった父だったけれど、ぷーちゃんは父と散歩に行く時は、父の歩くペースに合わせてゆっくり歩いていたそうです。




母や私と散歩に行く時は、あんなにグイグイ引っ張るのに…ぷーちゃんはちゃんと分かっていたんだね。



2018年の冬、定期通院だったはずが思っていたよりも病状が悪化していた父は即入院となり、そのまま約2ヶ月、家に帰ることが出来ないまま病院で亡くなりました。



終末期に家の近くの病院へ転院する話が出ていて、転院するタイミングで病院の玄関とかでもしかしたらぷーちゃんにひと目でも会えるかも!?と、思っていましたが



それは叶うことなく、父は2018年の春に旅立ちます。




ようやく家に帰ってきた父は、もう冷たく、布団に寝たまま動かなくなっていたけれどぷーちゃんは、やっとお父さんに会えた!!!と、大喜びでクンクン匂いを嗅いでいました。



少し目を離すと、お父さんの寝ている所に行き、前足でシャカシャカと布団を掘る真似をして布団の中に入れて!!とアピール。



いつもなら、シャカシャカすると布団の中に招き入れてくれるのにピクリとも動かないお父さんに、ぷーちゃんが不思議そうな顔をしていたのが今でも忘れられません。



ここが僕の定位置!



実はこの年の秋に私は結婚式を予定していて、父も結婚式に参列することを励みに闘病生活を送っていました。



私はきっと元気になって結婚式に参列してくれる、と信じていましたが


ウェディングドレス姿を見せて頑張る気力を出してもらおう!と、父が亡くなる1か月前に前撮り撮影をしました。



偶然にも、実家の近くにペットと一緒に撮れるスタジオがあったのでぷーちゃんもおめかしをして、一緒に写真を撮りました。



撮影の合間に母が撮ってくれた写真📸

ぷーちゃん決まってるぅ!



父は、家に帰りたいとは1度も言わなかったけれど、それは帰ると私たちに負担になると思ってのことであって



やっぱりぷーちゃんには会いたかったんじゃないかなぁ…



父が亡くなってから6年…父とぷーちゃんは、久しぶりにお空で会えただろうか。



「ぷー!」と呼ぶ父の声も

大喜びでお父さんの元へ走っていくぷーちゃんの姿も、まるで目の前で見ているかのように容易に想像できるのです。




父が亡くなってから、1人になった母を支えたのがぷーちゃんである事は言うまでもありません。



私もまだ当時は北海道に居て、実家から来るまでも電車でも片道1時間程度の所に住んでいたので夫が夜勤や休日出勤で不在の時とかにはひんぱんに実家には帰っていましたが



母はぷーちゃんの散歩に出ることで、近所の人と会って話をしたり、


ぷーちゃんを連れて歩く事で、新しい友達ができたり、


家ではぷーちゃんが話し相手になってくれて、ぷーちゃんを中心に生活をまわしていました。



ぷーちゃんが居たから、お父さんが居なくなっても寂しくなかったよ、ありがとうね。…と、母は言っていたけど、本当にそうだと思う。




母とぷーちゃん



私もまた、ぷーちゃんに助けられた1人で…



私が2回目の妊娠中(兄の方)に、妊娠27週の頃に夫が本州に転勤になり、私はそのまま北海道に残って実家に早めの里帰りをする事になりました。



出産して、産休が明ける頃には夫の居る本州に行こうと思っていたのですが、



私はお兄ちゃんを予定日より2ヶ月早く、早産で低出生体重児として産んでしまったので、NICU・GCUに1ヶ月入院、退院後もシナジスを毎月×全6回打たなくてはならず



結局、産前1ヶ月、産後9ヶ月の10ヶ月間、長い長い里帰り出産という名の居候をしていました。



初めての子育て、しかも早産・低出生体重児…

分からない事だらけで、探り探りの日々…



息子が寝ている間、もしくは母に息子を見ていてもらって



夕方にほんのひとときだけど我が子と離れ、好きな音楽やラジオ番組、Voicyを聴きながらぷーちゃんの散歩をするのが、私の最高のリフレッシュ方法でした。



実家は海の近くなので、坂の上から見える夕陽がキレイだったなぁ



夏の日の夕暮れ時、少し涼しくなった空気が美味しかったこと



冬の日に踏みしめる雪道のキュッキュッという音



ぷーちゃんが居なきゃ、こうやって我が子と離れて自分の時間を作る事は出来なくて、もしかしたら煮詰まって爆発していたかもしれないダッシュ



家の近くの海岸をパトロール!

育児中の最高の息抜きだったよ





父が癌になって2年間の闘病の末に亡くなって、大変だった我が家の真ん中にはいつもぷーちゃんが居て、



ぷーちゃんがいつも私たちを笑顔にしてくれていました。



ペットショップで売れ残って犬のテーマパーク行きになりそうになっていたぷーちゃんを助けた(…というほど大層な事はしてないけど)のは私たちだけれど、



それ以上に、私達家族はぷーちゃんにたくさん助けられ、支えてもらっていたのだと、改めて痛感するのです。




長くなりましたが、まだ続きます…