(sasさんの小説 には、続きがありました)
「パパ、アンパンマン描いて♪」
「またかー? よーし!・・・・・・・・・・・・・・・どうだ? ジャムおじさんに新しい顔を作ってもらったばっかりの、ピッカピカのアンパンマンだぞ!」
「わー!! すごーい! パパ、上手ー!!」
ややいびつとも言えるアンパンマンの絵にも、そう言って小さな手をたたいてくれた息子。 絵を描くことにトラウマのあった私だったが、純粋な目で覗き込んでいる息子に絵を描くのは、とても楽しい作業だった。 彼のピュアな思いに応えようと、自分も自然とピュアな気持ちになっていた。
そんな息子は今年5歳になり、じょじょに自分でいろいろと描けるようになってきた。
赤と青の色鉛筆で、モンスターボールを描いていた彼が、
モンスターボールがパカッと開いた絵を描けるようになり、
中からピカチューが飛び出している絵を描けるようになっていた。
「すごいなぁ。」
「えへへ。 そうかなー。 でもボク、パパの絵も大好きだよ。 ボクもパパみたいに絵を描きたいんだ。」
こんな幼い子が、お世辞を言っているようには思えなかった。
「そうかな・・・。 パパ、絵、上手いかな・・・。」
「うん。 上手いよ。 上手いし、おもしろいよ。 ボクは? へたくそ?」
「いいか。 絵っていうのはな、楽しいって思いながら描くのが一番なんだ。 楽しい気持ちで絵を描けたら、それは、へたくそとはいわないんだ。 もしそれをへただと言うヤツがいたら、それはそいつが、”絵を見るのがヘタ”なだけだ。」
「・・・うん・・・。」
「あはは。 ちょっと難しかったか。」
「ぼく、楽しいよ!」
「そっか! よし、それが一番だ!」
キラキラした息子の瞳を見ながら、私は、中学の美術の先生をちょっと許せるような気がしていた。
「フッ・・・・まさしく・・・反面教師 だな。」