映画のお話を少しだけ。
結構前に公開された作品ですね。
なので、だいぶ忘れてしまっているんですが覚えている範囲で書き留めます。
アカデミー賞で脚本賞を受賞した作品ですね。
山奥の雪の深い土地で生活をする夫婦と盲目(視力低下?)の息子で暮らす家族。
ある日、夫が転落死してしまい、それは自殺なのか他殺なのか、最後の最後まで謎解きはないまま終わる作品です。
観る人によって自殺だったととらえるのか、他殺だったのとらえるのかは、委ねられる作品でした。
夫の転落死を発見したのは散歩帰りの息子で、
息子が異変に気付き母親を呼ぶと母親が家からでてきて、「えーーー!?」ってなるんですけれど、
密室というか限られた人しかいない中で起こった事件なので、
自殺なのか、母親が殺したのかの二択になります。
一見自殺に見えますが、他殺と思えるような根拠もでてきます。
それは前日の夜に夫婦が争った音声の録音であったり、以前より喧嘩がたえなかったこと、
母親の作品の中で夫殺しの作品があったことであったり。
法廷でのシーンが多いのですが、決め手がなかなかありません。
母親は無実を訴えるのですが、母親はもともとイギリスかアメリカだったかの人で、
使用言語は英語、そんな中で自分の意見や現況をフランス語で伝えなくてはいけないもどかしさの演技。
裁判を通じて、主に息子は知らなった内情があかされていきます。
息子が視力を失った理由が父にあり、父親は負い目をずっと感じていたこと
両親ともに執筆活動をしており、父親はスランプに陥る中、母親は売れっ子だったこと、
その母親が売れた作品のもともとのストーリーの根幹・アイディアは父親のものだったこと、
母親が以前女性と関係を持ち浮気をしたことがあること
色々な実情を聞き、それでも最後に法廷に立つ息子の最後の証言にかかる、という最後にシーンになります。
法廷において母親から「こう発言しなさい」と言われたり、母親の無実のほうに偏るような情報を
あたえないように、裁判中は第三者になる女性が息子と一緒に過ごします。
その中で息子は、僕はどうしたらいいの助けてと相談するんですね。
「人生には判断できないことがある。その時は自分で決めるしかない」
みたいなこというんですよ。(セリフあいまいです、すみません)
自殺か他殺かもう真実はわからない。だったら真実をつくるしかない。
この場合、それは息子にゆだねられてしまったわけで、彼が小さいからだで考えるしかないんです。
それは、過去おこったことの結論よりも、これからの将来を見据えた上での決断です。
結局息子は、父親と昔動物病院に犬をつれていったときのことを思い出したと発言します。
そのときに、人生はいつか終わるということを覚えておきなさいと言われた、ということを言います。
それはただ、犬は人間よりも寿命が短いので、自分より先に死んでしまうことがあるんだよという話だったのかもしれないし
父親の自殺願望をしめす証拠にもなりえます。
これが決めてとなり、結局母親は無実となる、という話でした。
私は鑑賞後、どちらかというと母親側の意見に共感をしていました。
父親がスランプで仕事がうまくいかず母親に八つ当たりするのも、いや父親自身のせいでしょと思ってしまったし、
その喧嘩の中で、過去の浮気を出すのもお門違いだと思ったし、
小説ぱくったのも、事前にそのアイディアは素晴らしいから世に出さないのはもったいないわと、
父親に無断で使ったわけでもなかったし・・・
なので、自殺だったんだろうと思いました。
けれど、その後友人とこの作品の話をしたときに、
あれは確実母親が殺しているね、と言っていました。
殺しているけれど、息子は今後母親と暮らしていけるように虚偽の発言をしたと思う、と。
自分の父親を殺した母親だとしても、浮気した母親だとしても、
それでもその母親との生活を選択した息子の聡明さと意思と思いを考えると胸を締め付けられました。
うん、その見解のほうが美しいかも、と思いました。
結局観た人に結果は委ねますよというスタイルの作品で、人によって意見はわかれるので
とても面白い作品だったと思います。