Chile ICON Wines “チリのアイコンワインを訪ねる” ③
writer : 田辺由美 (Yumi TANABE)
第4弾 VENTOLERA 2019年5月23日
海に近いLeyda Valleyは、20年前は灌漑設備も電気もない荒れ地でした。
そこに、政府の肝いりで灌漑用水が引かれるようになったのです。
たまたま、この土地を持っていた実業家Vicente Izquierdo Menéndezが
「それではぶどうでも植えよう」と始まったプロジェクトです。
600 haの広大な所有地の中の150 haにぶどうを植え、その内80%は他のワイナリーに原料として
供給しています。さて、この畑とワインの管理を任されたのが、昨日(5月22日)会ったステファノさん
(Stefano Gandolini)です。2008年に設立されたSan Juanにある家族経営のエステート&ワイナリーは
Terroir志向のワインを造ることです。
2011年から参画したStefano Gandoliniによって、Ventoleraは直ぐに世界的に評価されるように
なりました。「Ventoleraベントレーラ」とは、ラベルが語っているように、樹木が風によってしなってしまう
ほどの、Leyda Valleyを吹き抜ける強い海風を指すスペイン語です。畑とワイナリーのあるSan Juanは、
太平洋からわずか12 kmの地にあり、南極から海岸線に沿って流れるフンボルト海流の冷却効果の
影響を強く受けています。
さて、土壌の視察から始まります。花崗岩質土壌の様子を見てみましょう。
100万年前の花崗岩が母岩となり、珪土質、粘土質が混ざっています。
熱を保持する力があり、フンボルト海流で空気が冷やされても、地下の土壌は保温機能に
優れています。中には石英が混ざっている岩石もあり、非常に複雑な地層です。
Leyda Valleyは表土が浅く、サブソイルが痩せているため、房が小さく、コンサントレートしたぶどうを
収穫することができます。
醸造方法もステファノらしさが出ています。
ソーヴィニョン・ブランは収穫後、房ごと冷蔵庫で6℃まで冷やし、除梗・プレス後発酵の行程に入ります。
一方、シャルドネは房ごとプレスし、フリーランジュースだけを使用します。
試飲の中から幾つかを紹介します。
<テイスティング>
① VENTOLERA Chardonnay Rare Cuvée 2013
フランス産新樽発酵後熟成を3年間、その後瓶熟2年後にリリース。モンラッシェを彷彿させる、
バランスの取れた素晴らしい味わい。
② VENTOLERA CLARO DE LUNA Pinot Noir 2015
「月光」と名付けられたワイン。ピノの畑の中でも最も川に近いBlock No3を使う。
ピノの甘い香りがトップノーズに広がる。
③ VENTOLERA Syrah 2017
涼しい地域のシラーはチリの新しい試みとして期待されている。
いわゆるローヌ北部のシラーを感じさせる、フルーツや胡椒の香りがあり、エレガントに仕上がっている。
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まだまだ続くチリの旅、次回もお楽しみに✨