- ちいさいケーブルカーのメーベル (1980年)/ペンギン社
- ¥1,260
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この絵本は、バージニア・リー・バートンさんが、
アメリカのサンフランシスコで本当にあった、
ケーブルカー廃止に対する反対運動をもとにして描いた物語です。
初めてこの絵本を読んだ時、どこか親しみにくい印象を受けた記憶があります。
ケーブルカーに馴染みがないせいかもしれません。
サンフランシスコの坂がどれほどのものピンとこないせいかもしれません。
そして、ケーブルカー廃止に対する「市民活動」を描いた作品だからかもしれません。
文中には「しかいぎいん」や「とうひょう」「じゅうみんとうひょう」「せいがんしょ」「けんあん1ごう」などといった専門用語が登場します。
読んでいて、「本当にわかるかな~?」と不安になりますが、
実際にはあまり気にならない様子。
たまに「けんあん1ごうって何?」などと聞いてきますが、その都度説明すれば大丈夫でした。
それよりも、メーベルが坂を上って下って走る様子が好きだったり、
メーベルたちケーブルカーを守るという行為がかっこいいと思ったりするようです。
私も何度も何度も読むうちに、
これは「民主主義」と名のつく社会に住む、私たちみんなに贈られた物語なのだなあと思うようになりました。
外国では社会科の教材として用いられることもあるようです。
私たちは自分の考えを表明することができる。
自分たちで考え決定して、町づくりを進めることができる。
ケーブルカー廃止のことが噂になったときに、
ひとりの人が言うのです。
「とんでもないわ。わたしたちの 町でしょう?それはわたしたちで きめましょうよ。」
この言葉に毎回感動を覚えます。
社会科で法律を勉強することは必要だけれど、
この絵本から学ぶこともたくさんありますよ。
小学校低学年から、中学生や高校生、大人まで、
たくさんの人に知ってもらいたい絵本です。
ちなみに、かつらゆうこさん・いしいももこさんが訳したものは、
絶版になっている模様。
違う訳者の方で童話館から今出ている絵本は、
題名が『坂の街のケーブルカーのメーベル』となっています。
ハヤくんは、今日もメーベルをリクエストするかな?!
ハヤくんが、最近毎晩「読んで」と持ってくるのがこの絵本です。