日本列島を40年以上走り続けた寝台特急のブルートレイン「あさかぜ」が運行廃止を迎え、28日夕、東京、下関両駅から上り下りそれぞれの最終列車が出発した。
(中略)
 あさかぜは1956年、戦後初の寝台特急として運転開始。東京と山陽、九州地方を結ぶビジネス特急として高度経済成長期を支えたが徐々に乗客が減り、3月のダイヤ改正を機に廃止が決まった。寝台客車はスクラップ処理される。
 ブルトレ「さくら」(東京-長崎)も一緒に廃止される。

【nikkansports.com 2005/02/28


 私は、寝台特急というものにほのかな憧れがあります。というのも、物心付いてからこれまで、一度も乗ったことがないからです。乗る必要がなかった、ということもありますが、こうして「なくなってしまう」という現実を目の当たりにすると、一度は乗ってみたかった、という思いが過るのは隠しきれません。
 飛行機などの交通網が整備され、寝台特急というものの必要性は、徐々に薄れていったようです。わざわざ寝台特急に乗らずとも、すぐに日本縦断が出来てしまう世の中になってしまった。そういうことなのでしょう。

 私はずいぶん昔に読んだきりで忘れていたのですが、この寝台特急「あさかぜ」という存在を一気にメジャーにしたのは、松本清張の『点と線』(新潮文庫)だったのではないでしょうか。この日本ミステリー史上に燦然と輝く小説の中で、あさかぜが登場していたようです。そしてもう一つ、多くの寝台特急物を書いているトラベルミステリーの第一人者・西村京太郎も忘れられません。その名もズバリ『寝台特急「あさかぜ1号」殺人事件』(徳間文庫光文社文庫)という作品もあります。
 列車がなくなってしまったいま、私たちはこういった作品群で、在りし日の姿を忍ぶしかありません。
 ああ、そういえば。私はまだ見ていないのでどうか分かりませんが、土曜ワイド劇場の西村京太郎トラベルミステリーシリーズで、『寝台特急「あさかぜ1号」殺人事件』は、「日本縦断殺人ルート」というタイトルでドラマ化されています(1992/04/04放送)。ぜひ再放送してくれないかなぁと願うものであります。
 私は見たことがないのですが、松本清張の『点と線』は、小林恒夫監督の映画がDVD化されています。『点と線/国鉄黄金期「点と線」のころ』というDVDも出ているようで、当時のあさかぜの勇姿も見られるのかな? ちょっと期待しちゃいます。