今日、「日曜洋画劇場特別企画として、「西部警察スペシャル」が放送されます。これは、本来ならば昨年放送され、その後に「西部警察2003」をやるはずだった、いわく付きの作品。そして何より、21世紀の石原裕次郎に選出された徳重聡のメジャーデビュー作でもあるのです。それが、西部警察2003撮影中の事故により連ドラ中止だけでなく、スペシャルもお蔵入り、同時にリリースされる予定だったCDアルバムも発売中止に追い込まれました。

 あれから一年。

 ついに「西部警察スペシャル」が日の目を見ます。すでにCDも発売され、残るは連ドラ復活か?といったところでしょうか。昨日、今日と午後に渡辺宜嗣アナがナビゲーターとなって、舘ひろしと徳重聡が、昔のVTRなどを見ながらいろいろ話をしていました。そこで名言が。

 西部警察に理屈は不要

 これは、西部警察の最終回で、渡哲也演じる大門が殉職したにもかかわらず、また復活したということに対して出た言葉。まあ、それだけじゃないんですけどね。

 爆破、爆破、大爆破。「007/ゴールデンアイ」や「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」を紹介した故・淀川長治氏が思わず口にした言葉です。これはそのまま、西部警察にもあてはまります。昼間の再放送を見ていても分かりますが、リアルとは対極の爆破、そしてアクションが真骨頂なんですね。

 しかし――

 31日未明、発見された新たな死体は、人質となっていた香田さんであると断定されました。その前に発見された死体は別人と断定されてまだ時間が経っていないもので、非常にショックは大きい。いくら自業自得とはいえ、やはり生還して、そしてその行動を省みて欲しかった。憎むべきはテロリストです。

 西部警察もそうですが、最近の映画はとにかく派手なアクションや爆発を売りにしたものばかり。私は、007シリーズが大好きな人間なので、アクションも好きです。石原プロの作品でも、「西部警察」「太陽にほえろ!」の他、「ゴリラ警視庁第八班」「代表取締役刑事」など見ていました。けど、こういう作品ばかりがもてはやされるのはどうだろうか、とも思います。

 私は、大林宣彦監督の映画「なごり雪」の公式サイトを作成させていただきました。実のところ、私は大林監督の作品をそれほどしっかり見たことはありません。しかし、この「なごり雪」の初号試写を見たとき、何かを感じました。そして、二度目に見たとき、思わず涙が止まらなかった。この映画がクランクインしたとき、あの9.11のテロが発生しました。そして、大林監督は映画「なごり雪」を完成させた。その後、公式サイトに載せた以外にもいくつかの監督のトークを間近で、あるいはテレビやラジオで見聞きして、そのメッセージもしっかり受けました。そういう意味で、この映画はすばらしい映画だと思います。地味な映画でしたし、あまりレンタルでも多くは置かれていないため、見たことがない人も多いかもしれませんが、ぜひ一度は見て欲しい作品だと思います。

 しかし私は、アクション物も大好きです。これは一見、相反することのようですが、違います。あくまでもフィクションはフィクション。エンターテイメントは楽しむものです。もちろん、「なごり雪」のような作品も必要ですが、その一方でスカッとするようなアクション物だって、必要なんです。ただ、それを現実に持ち込んではいけない。

 最近は、フィクションと現実の区別が付いていない人が多すぎます。普通の犯罪者から、テロリストや、ブッシュ大統領だってそうです。現実社会は平和であって、決して「正義」を冠せれば戦争すら行えるような世界にはして欲しくない。大林監督は言いました。20世紀は戦争の世紀であった、21世紀は平和で文化の世紀にならなきゃいけない、と。早くイラクにも、世界にも平和が戻って、戦争のない世界にしていきたい。心の底からそう思います。

 その上で今日は、素直にエンターテイメントとしての西部警察を楽しみたいと思います。