『こんぴら狗 』
 くもん出版/今井恭子作
2018年   ページ数:344




舞台は江戸時代。

当時は、庶民が旅をすることが禁じられていた時代。そんな中、唯一許されていたのが神仏への参拝でした。

庶民にとって、お伊勢参りと金毘羅参りは生涯の夢だった。
今と違い交通網も発達していない江戸時代、もちろん徒歩での旅になるわけです。

江戸から金毘羅参りに行くとなると、往復1340キロメートルという距離。当然、ほとんどの人にとっては夢のまた夢だったわけです。

「それでも金毘羅参りをしたい…。」

そんな思いを旅慣れた人に託し、代わりにお参りしてもらうこと(代参)が広まり、
さらに、人ではなく飼い犬に託し、飼い犬に代参させるという風習まで生まれたそうです。



そうした犬を「こんぴら狗」と呼びました。
掛軸「金毘羅狗図」(金比羅宮HPより)
作者:平林春一 所蔵:金刀比羅宮




雑種犬のムツキ。

仔犬の頃に捨てられ、
弱りはてていたところを拾ってくれたのが、
町娘の弥生。
でも、今度は弥生が病気で伏せってしまいます。

弥生の治癒祈願のため、
ムツキは「こんぴら狗」として、
江戸日本橋から金毘羅参りに向かうことになります。

まずは京都まで、ムツキをかわいがってくれている瀬戸物問屋のご隠居と一緒に向かいますが…。




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読みたいと思っていた本です。
やっと読めたf(^_^;


ちなみに調べたら
お伊勢詣りをする狗も見つかりました。

おかげ狗
と呼ばれていたようで
歌川広重の数作品にも登場するのでかなりの数
の、おかげ狗がいたのではないでしょうか?
三重大学図書館蔵 
歌川広重 「伊勢神宮 宮川の渡し」







これまた、白いワンちゃん
歌川広重 「東海道五十三次 四日市」

こんぴら狗、おかげ狗はどこへ行っても大概
「縁起が良い!、ご利益にあやかれる」と可愛がられ、
宿に泊まれば
「今日この宿には、こんぴら狗がお泊まりだよ~」
と謳えば集客になるくらい、縁起犬として丁寧な対応をされていました。





児童書なので、とてもわかりやすく
すぐに読める本です。
神社仏閣と、ワンちゃんにご縁のある人にはおすすめです犬神社