忙しいわけでもなく、暇なわけでもなく、休みの日はテキトウに人と過ごして。
僕は僕でなくて、同僚や友達と笑い合う俺だったり、公のワタクシであって。
奥底に存在する自分と向き合うことがないから、自分の“今”に、疑問を抱くことがないんだ。
それはひとつの意味で充実しているのかもしれない。
仲間がいて、仕事もそれなりで、楽しいから、幸福。
幸福――。
意図的に避けてたとも思う。
考えたくないことから逃げようとして。
別に無理なんかしなくていいんだ。仕事をしてたり、誰かといれば、忘れられるから。
それでも一人になって、ベッドに入ったとき、眼をつむったとき。
夢の中でならより鮮明に。蘇ってしまう。
「出てくんなよ」
なんてつぶやきながら、朝の準備を始める。
この僕は、ずっとこうだった。追い立てられないと、何かを変えようとしない。
必死さが足りない。
――そうだ。
僕を変えたのは喪失であり、失った彼女を取り戻すための焦りだった。
焦りと不安と孤独と失望と嫉妬と後悔と。負のすべてに苛まれながらも、ようやくそこから脱する手段を得た。
そのはずだったのに。
何も返ってきやしなかった。
どんなに体良く語ったにせよ、ウソと裏切りを平然とやってのける彼女に振り回されるだけ。
だけどそれを責めることもできない。
だってそうさ。彼女をそうさせてしまったのは僕なんだから。何を言えた義理がある。
無駄に過ごしたあの日々も、失ってしまったすべてを忘れるしかないだろう。
そして僕は今、サザナミの上をユラユラゆれているだけだ。悲しみも喜びもなくて。
負に繋がるものも全然ない。
イマイチ心の底から自分を楽しめていない気がするのは。
自分と同じ時間を共有してくれる人がいないからなんだろうか。
…いや、きっとそれだけじゃない。僕は――傲慢だから。
だけど明日にはまた忘れるんだ。同じことの輪廻の中を、僕は無意識に回る。
いつかそれを断ち切らなくてはと思ってはいるけれど。