yuma-222312のブログ

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早くこの混雑を切り抜けたい、そう内心思いながら平然とした顔で改札に急ぐ。

私はかねてからお腹が弱く、学校の準備に忙しい朝などはトイレに行かない為にちょうど駅に着くか着かないかのところでお腹に来るのだ。今回は助かった、そう私は安心した。それがどんなに有難いことかそれは当事者でなければ分からないものがある。

いつも通り形式的な挨拶をかけて切符を切る駅員のその声を背に私はトイレへと進んで行く。遅れた時のために数少ない無口な友人に伝えて。

鏡を見て少し髪を整えて足早にトイレを後にする。しかし、気づけば7分も経ってしまったからどうせ間に合わないだろうの見切りをつけ、いじけたように歩いてゆく。

ふと階段を上がった左手に目が留まると、壁に掛けてある絵が変わっていることに気づく。そんなに気にしているわけではないからいつ変わったのかは分からないがそれを気にする人はそういない。

このスペースには地元のお年寄りが描いた絵や誰かがとったこの地域の唯一の名物であるSLなどの写真が飾ってあるのだが、私にとってこの写真を通りすがりにちらりと見ることは日課の一つとなっている。

そして、なぜか不思議なことに私が気にいるのは決まって最後の一つ前のものである。自分でもはっきりとは分からないが、もしかしたら数字でたとえるならば100よりも97を好むその心理に近いものがあるのかもしれない。

そうして余計なことを考えながら外の寂しげな寒さを伝える冬の香りに引き込まれるようにして駅を出た。

駅の外には人の姿は見えず、ただ寂し気な冬の香りとどこか懐かしい油の匂いがする。その匂いは生きていない。正確に言えばついさっきまで生きていたのにこの寒さで途絶えてしまったようだ。その匂いは私にどこか記憶に埋もれた過去の記憶を思い出させようとしているようだった。

少し歩くとその匂いはこの蕎麦屋からのものだと分かった。空いてる窓の隙間から匂いが漏れているらしい。昨日の残り油が放置されているのであろうか、、、。

この地域では高齢化が深刻らしいからそうであってもなんら不思議はない。

ふと窓の隙間をなにか汚いものでも見るように身を少しばかり乗り出して見ると、男性が客のいない座敷で何やら新聞らしきものを読んでいる。

彼は何を考えているのだろうか、などと意味もないことを一人考えるうちにSLの汽笛が鳴り響く。「しゅっ、しゅ、ふぉー」