父は優しく面白い人だった。
程なくして同居生活もスタートする。
昔ながらの平屋のアパートに家族4人。
せまい。
父と同居し始めてから母はスナックで働くのをやめ
た。
幼いころなので記憶がおぼろげだけどこの頃、
私は父に毎日のように「おっちゃん。はよおうちにか
えり。とまったらあかん。」と言っていた。
幼心に母を取られるという恐怖があったんだと思う。
毎晩母にこれから一緒に暮らすんだと言い聞かされ
いつしか父に何も言わなくなった。
当時、父のことは「お父さん」ではなく「パパちゃ
ん」と呼んでいた。
お父さんでもパパでもないからそう呼んでいたのか
な。
とにかく私は母が大好きだった。
母の笑顔が見たかったのだ。
この父に今でも苦しめられているのに。
母は知らない。