猫のみちびき ~元獣医師saeの独り言~

猫のみちびき ~元獣医師saeの独り言~

小動物獣医師、産業動物獣医師、をしていました。
あまりにもいろいろな情報が氾濫している状況なので、
本当はどうなの?と猫の病気や症状、間違った情報など
独り言として書いていきたいと思います。
大の猫好きが高じて獣医になったという、よくあるパターンです。

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こんにちは、獣医師のsaeです。今は臨床を離れています。
なので、獣医師ですが、元獣医師ということでよろしくお願いします。


私が獣医師になったきっかけは、猫が好き、これがすべてです。
まぁ、よくあるパターンだと思います。
でも、最初から獣医師になろうと思ってはいなかったのです。

大学も某私立大の文学部に通っていました。

では、なぜ獣医師に・・・・という疑問ですね。

すべての始まりは、小学生の時に裏庭に迷い込んだ野良猫から始まります。

家族で決め、この猫を飼い猫として飼うことになりました。
名前は「きな」
毎日猫と一緒にいることの幸せ、そんな私としては充実した日々でした。

いつも帰ってくると、真っ先にきなと遊ぶことが日課となっていました。

時は流れ、中学生、高校生と。

しかし、私が大学受験のころ、きなが病に伏せるようになりました。

本を読むことが好きだった私が選んだのは、なんの迷いもなく文学部で
猫は大好きでしたし、もちろん元気になって欲しいという願いはありましたが
獣医になろうとはその時は思いもしなかったのです。

受験も終わり、それまであまりかまってあげられなかった分
精一杯の愛情を注ぎ、具合の悪かったきなも、幾分回復気味でした。

しかし、その時は突然やってきたのです。
私の合格発表の日、家族が集まりお祝いをしてくれました。
きなも、いつもように私の元にやって来てお祝いしてくれました。

夜になり、きなが私の元に来て、今思えば穏やかな顔で
本当に具合が悪そうでなく、私も安心して一緒に寝ようとしていたのですが
突然起き上がり、私の前で1回くるっと回り、大きく目を見開き、
「にゃお」と鳴き、そのままビクンとなり動かなくなってしまいました。
本当に一瞬のことでした。


ショックでした。ただただショックでした。

合格発表の日に、まるで私の合格を見届けるように逝ってしまうなんて・・・

「なんで、なんで? なんで????? なんで。。。。。」


そして、


私はしばらくペットロスという悲しみに耐えながら
入学式を迎えることになりました。
気分的にはつらかったのですが、新しい大学生活への期待感もあり
その時は複雑な精神状態だったのだと思います。たぶん。

入学に対して、色々と忙しく、そのこともあって
どうやって準備をしたのかや、色々なことを実はあまり覚えていないんです。
たぶんというのは、やはり、私自身も少し病んでいたのでしょう。


私の記憶がはっきりしたのは、5月ごろ、
つまりGWが終わった頃でしょうか、

どうして、今自分が文学部にいるのかと思い始めたのです。

あれだけ行きたかったはずなのに・・・・

「獣医師にならなくては・・・」

突然そんな思いが私の中で湧いてくるのを感じました。
自分自身でも、

「えっ! 冗談でしょ?」
「なんで?」


こんなことを言うと笑われるかもしれませんが
心が何かに支配されているような感覚。
どう表現していいのかわからないのですが
父が心療内科をすすめていたので、
あとで、そういうことだったのかもと納得したのを覚えています。

 

よりによって、なぜ獣医なのだろうか・・・・

それまでも一度もそんな事考えてもみなかったのに、

なぜ獣医なんだろうか・・・・

考えても考えても答えは出ないまま。何か洗脳とでもいうのでしょうか、

 

頭の片隅というか心の中に確かに「きな」がいる。。。。

 

「今なら獣医になれるよね」

 

そんなことを考えている自分がいる。

「獣医師になってみようかな・・・」

そう思うと、なぜか体中に力が漲り、心の中のモヤモヤも
突然消えてしまったのです。不思議です。冗談のように消えたんです。

なにか暗闇で必死にもがいていた時に、

一筋の光が差し込んできたというのでしょうか、

 

その時、感じたことはなぜか「助かった・・・」という言葉でした。




父に相談し、私の今の気持ちを、洗いざらい打ち明けました。
何をしゃべったのか記憶がないのですが、最近になって父は、

「あの時のお前は、たぶん別人だった(笑)」

と。笑いごとか?と思いましたが、きっとそうだったんでしょう。




それからすぐ、大学を辞め、再度、受験勉強を始めました。
文学部に入学してはいましたが、元々、理系でした。
どちらかと言えば数学も、化学、生物も好きでしたので
何とか獣医になるための一歩を踏み出せることになりました。


実は、この期間もあまり記憶はなく、
猛勉強はしたことは覚えてるのですが・・・・
この時も、何かに取り憑かれていたのでしょうか・・・・
私にはわかりません。


きなが亡くなってちょうど1年後のことでした。


私は夢を見ました。
長いトンネルを私がぬけると、きながやって来て
「にゃお」と鳴いて「こっちだよ」と走り去りました。


懸命に追いかけるという夢が何日か続きました。
今思うと、私を導いていたのはこの子だったのか・・・
それがこの子の使命だったのだと思えてなりません。


そのあと、たびたび、きなは私の夢で導いてくれていました。
いつもしゃべってくれていましたが、いつも場所は同じで
「にゃお」と鳴いた後に一言、

「それ、違うよ」

とか
「そんなのは、どうでもいいよ」

とか
「大丈夫だよ」

そういうと、毎回走り去ってゆくのです。
最初は何のことかわかりませんでしたが、
実は今でもわかりません(笑)
ただ、その言葉の意味をよく考えると、
思い当たる節はありましたのと、
何度も同じ言葉を聞くときがあり
私が無意識にそれを理解したら言わなくなるのかもしれません。

これは、数年間頻繁に続くことになるのです。

大学時代から獣医師になった頃まで、

大学時代には最初は1か月に2~3回くらいであったのが

獣医師になった時には、半年に1回程度になり

獣医師の2年目くらいにはほぼなくなり
それ以来、夢に出てくるようなことはなくなりました。

 

 

もう安心して、私の胸の中で、眠り続けているのでしょうか?

「もう大丈夫だよ、きな。ありがとう。」

きながいなければおそらくというか、
絶対に獣医師にはなっていなかったと思います。
なぜ、私を獣医師にしてくれたのだろうかと・・・・・。
救えた命、救えなかった命、これでよかったのかな?

 

「これでよかったの?、きな・・・」

大学に入り、それからしばらくして野良猫が入れ替わりたちかわりに
私が当時借りていた一軒家の玄関に頻繁に現れるようになりました。
その話は、またの機会にお話しします。





つたない文章、
私が獣医師になったきっかけを聞いていただいてありがとうございます。
猫は何かの使命をもってやってくると思っています。
でも、亡くなった後でないと、気づかないんですよね。
誰しも猫を飼っていらっしゃる方は、感じていることだと思いますよ。