みなさんこんにちは。
昨日に引き続き今日も某証券会社で行われた個人投資家向けのセミナーに行ってきました。
さて、今日のテーマはオセアニア(オーストラリアとニュージーランド)経済の現状です。
昨年末から今年に掛けて洪水や地震といった自然災害で、多くの方々が亡くなったり被害にあわれたことは本当に心が痛みます。
そのあたりのことも含めて、今オセアニアはどうなっているのか聞いてきました。
お話をしてくださったのは投資情報部、グローバル情報課のアナリストの方でした。
結論から申しますと、以下のようです。
オーストラリア(豪)・・・洪水からの復興 →もう大丈夫
ニュージーランド(NZ)・・・地震からの復興 →少し時間がかかる
よって、今ならNZより豪の方が景気が良く、投資先として魅力的。今後も右肩上がりで景気上昇するでしょう。そして今年5月と7月に政策金利を上げるかもしれません。
一方NZは今日、政策金利を0.50%引き下げ、2.50%とすると発表。地震の被害が国の経済規模に対して大きかったということです。しかし、今年後半から復興需要が出てくるでしょう。
この2カ国の現在の国内経済を比較すると・・・
豪 NZ
家計消費 △ ▲
住宅 今× → ○ × → ○ *半年ほどで良くなる
企業設備投資 ◎ ▲ → ○
政府支出 ○ ◎ *政府支出が住宅や消費に向かうでしょう
雇用 ○ ▲
貿易 ○ △
見通しの背景:
《景気の現状》
オセアニア経済は新興国(主に中国)の景気拡大の恩恵によって資源や農産物の輸出を通じて景気が良かった。
また、国内の需要も旺盛。リーマンショック時の世界金融危機後も早々に景気回復した。
一方、自然災害による経済への影響は・・・
豪・・・大雨、洪水の影響は限定的。
NZ・・・2度にわたる大地震の被害は大きい。(2期連続でGDP成長率がマイナスをつけた。)
両国ともに今後は復興需要が出てくると期待される。
《金利》
豪・・・経済が堅調なのでしばらく後に政策金利引き上げが再会される可能性あり。
NZ・・・3/10に利下げを発表。
《為替相場》
豪ドル・・・洪水の後も1米ドル=1豪ドルの平価水準を超えて堅調
NZドル・・・大地震の景気への悪影響により利下げされたため、若干弱含みで推移している。復興需要により景気が持ち直す今年後半以降までしばらく様子見で構える市場参加者が増える可能性あり。
為替と金利差について;
豪州とNZは2009年に金利上昇局面を迎え、対¥で為替相場が上昇した。
オセアニア地域の通貨は米ドルやユーロに比べて比較的堅調。
ただし、NZでは昨今の2回の地震、豪では今冬の洪水被害で景気が一旦減速する可能性が示唆されている。今後の復興需要による景気の再加速が注目される。
それでは、これら2カ国について詳しく見てみましょう。
豪州の天然資源の生産量と埋蔵量:
豪州は鉱物天然資源に恵まれた国。世界経済の発展に伴いこれらの利用が増えれば豪州の経済的地位は向上する。
天然資源 生産量 埋蔵量
ボーキサイト 1位 2位 *アルミニウムの原材料
鉄鉱石 3位 4位
金 2位 2位
ニッケル 4位 1位
亜鉛 3位 2位
ウラン 3位 1位
石炭 3位 4位
豪州GDP:
2010年10-12月期の実質GDP成長率は前期比+3.0%
リーマンショック後も2009年後半から勢いよく回復した。
今後はサイクロンや洪水の被害がどの程度出てくるかに注目。
豪州の消費環境:
消費者信頼感指数(米国の民間の調査機関が発表する消費者マインドを指数化した経済指標)はリーマンショック以前の平均的な水準に回復している。
豪州の住宅環境:
新築住宅建設許可金額は減っているが、足元では利上げや資金需要の一巡によって回復の兆しが見え始めている。
豪州の雇用環境:
雇用環境は良好な状況が続いている。リーマンショック後に発生した2008年以降の雇用累計人数を見ると、日本や米国が低いままであるのに対し、豪州では雇用の増加が続いている。ただし、この傾向はそろそろ一服するものと見られる。
豪州企業の設備投資:
豪州企業の設備投資計画を見ると2010年度(2010年7月~2011年6月)の投資額は前年比+16.2%が見込まれている。また、2011年度は+30.3%と高い伸びが期待されている。
企業の成長への意欲が強いと見える。企業の設備投資の1/3は鉱業部門が占める。よって、資源市況の動向が影響する。
豪州の企業活動:
資源価格上昇の恩恵を受けている鉱業部門の伸びが全体を牽引している。
一方で製造業は金融危機やその他の通貨高により売上が低迷している模様。
豪州貿易動向:
アジアの景気拡大を主因とする資源需要を追い風に貿易黒字に転じている。
ただし、2011年1月は洪水の影響により輸出入が減少した。
輸出・・・鉄鉱石、石炭などの天然資源
輸入・・・電気精勤、自動車、機械設備、輸送機器
*石油製品は輸出よりも輸入額の方が大きい。
貿易収支を国別に見ると・・・:
輸出額・・・1位 中国 25.2%(583億豪ドル)
2位 日本 18.9%(436億豪ドル)
3位 韓国 8.9%(204億豪ドル)
輸入額・・・1位 中国 18.7%(392億豪ドル)
2位 ユーロ圏 13.4%(282億豪ドル)
3位 米国 10.8%(227億豪ドル)
4位 日本 8.6%(182億豪ドル)
よって収支合計は、
1位 日本に対して254億豪ドルの黒字
2位 中国に対して190億豪ドルの黒字
3位 インドに対して144億豪ドルの黒字
*中国向けに資源の輸出増が著しい
物価動向:
交易条件(輸出物価÷輸入物価)は高止まっており、貿易環境は良好。
洪水の影響:
今冬の洪水被害は豪州の歴史上最大の被害額であった可能性が高い。3月3日スワン財務相によると、相被害額は7億豪ドル。
2010年10-12月期GDP成長率は-0.4%ポイント下落。また2011年1-3月期にかけてさらに1%ポイント下落の見通し。
豪州政治状況:
与党(労働党)の支持率が低下している。2010年8月の総選挙のあとに与党は獲得議席数が少なく、無所属議員などを取り込んでかろうじて政権の座を維持できたという経緯がある。
よって、議員の突然の引退や病気によって議員数が減ると2013年までの任期を待たずに再び総選挙になるリスクがある。
NZの家計状況:
小売や住宅販売動向は弱含みで推移。しばらくすれば大地震後の復興需要が出てくる見込み。
NZの雇用情勢:
2008年リーマンショックによる世界的な景気後退により失業率が上昇、時間当たりの賃金も低下したが、2010年に入ってから悪化に歯止めがかかっていた。
今後は大地震の影響がどの程度出てくるかに注意。
NZの製造業:
製造加工製品の約半分は肉類、乳製品、飲料などの食品産業。
NZの貿易動向:
第一次産業(農業、酪農)主体の国。機械、輸送機器等の技術製品は多くを輸入に頼っている。
NZの大地震:
2010年9月4日の地震・・・NZ準備銀行はその影響度を2010年7-9月期のGDPを0.1ポイント押し下げるものの、今後50億NZドル(対GDP比2.6%)の復興需要があるとした。
2011年2月22日の地震・・・キー首相は3月3日のインタビューで「2つの地震による被害総額は最大200億NZドル(対GDP比10.8%と大きい)にのぼる」との試算を示し、3月10日には政策金利を0.50%引き下げて2.50%とすると発表。
Tipsとして・・・
-豪ドルは今83.22円→ 年末までに90円台に上がるでしょう。
-NZドルは今60.93円→ 年末までに70円くらいになるでしょう。
-今回のNZの大地震は数十年に一度という規模なので、今後経済がどうなるかの予測は難しい。
-豪州は今後問題はないだろうが、不確定要素として資源の輸出先である中国の動向の影響を受けやすい。
-豪州がリーマンショック後に先進国の中でいち早く政策金利を上げられたのはアジアに近く、中国に資源を売って景気が上がったから。(中国の景気回復が早かったことが原因)。
そして金利が安かった間に住宅を買った人が多く、現在は金利を上げたことで一旦落ち着いたところ。今後順調に伸びるでしょう。
-ちなみにこの「住宅」というのは投資物件ではなく実需。主にアジアからの移民が多いため。
以上です。
両国の一日も早い復興を祈念します。