源氏物語vs狭衣物語
という夢の対決を(勝手に)実現させた『百番歌合』
ですが、つづく『後百番歌合』は
『源氏物語』vsいろいろな物語
です……
『狭衣物語』以外の物語が10作品
束になって『源氏物語』の和歌と対決しています
……しょーがないですよね
そもそも『源氏物語』は長いんだもん
読んでいて心が折れそうになるぐらい長いんだもん
そりゃ、和歌だっていっぱいあるさ
……でも私は
コンパクトかつ緻密にまとめられた『狭衣物語』が好きだ
和歌だって圧倒的に出来がいいと思うんだ
『源氏物語』では泣けないけれど
『狭衣物語』では全編号泣なんだから
ちがうちがう
『狭衣物語』のハナシじゃなかった
閑話休題、『後百番歌合』ですね
例によって例のごとく、左が源氏物語
右がその他10作品
100首で対決しています
あ、そうそう
「歌合」とは本来、左右チームに分かれて
同じお題で詠んだ歌を一対一で対決させるものですが
和歌の大御所的な人が審判をして……つまり勝ち負けがあるのですよ
でも、さすがにこの物語歌合は、そこまではしていません
(そこまで作っちゃえばよかったのにと思う)
で
『源氏物語』に対して束になってかかったのは
『夜の寝覚』・『御津の浜松』・『参河にさける』・『朝倉』・『袖ぬらす』
『心たかき』・『とりかへばや』・『露の宿り』・『末葉の露』・『海人の刈藻』
の10作品
……はぁ
と思われても仕方ありません……
だって、だって
この10作品の中で、今も残っているのは
『夜の寝覚』と『御津の浜松』だけなんだもの
(あ、『御津の浜松』は、何度か話題にしている『浜松中納言物語』のコト)
ちなみに『とりかへばや』と『海人の刈藻』は残っているけれど
実は改作されちゃっているのです
『後百番歌合』が扱っているのは、どうやら改作前の作品のようなのですが
肝腎の改作前バージョン、残っていません
……ほんとさー、改作前の作品、ちゃんと残してほしいよねー
改作前の『とりかへばや』、読みたかったなぁー
ともかく、残っているのはふたつだけ……
しかも『浜松』は最初の一巻がないし
『寝覚』にいたっては真ん中と終わりがないしね
(『寝覚』も改作があるのですが……その話題は、またいつか)
ということで、現代への残り方を見ても
たしかに、束になってかかるしかない10作品……
ちょっと、切ない……
ちなみに、そういうわけなので、こういう物語アンソロジーは
今はなくなっちゃった物語の貴重な資料にもなっているのですよ
どんなキャラがどんな和歌を詠んだか分かるだけでも、大きいですよね