将門伝説

平将門さんに７人の影武者がいたよ

というのは有名な伝説

ただし、『将門記』にはありません

……ということを先日書きました

じゃあ何にってハナシなわけですが

これは『平治物語』に出てくる逸話です

『平治物語』はその名の通り平治の乱（1159～1160）を描いた作品

平治の乱は、今年の大河ドラマでそのうち出てきますね

わくわく　わくわく

で、平治の乱で源義朝（頼朝のお父ちゃん）は敗れ

敗走の途中、まさかの入浴中に裏切りに遭って討たれちゃいます

（大河ドラマ、このシーンが今から楽しみすぎる）

そして首は獄門にかけられるわけですが……

その場面で

「むかし、平将門が獄門にかけられたときはね……」

……と出てくるのです

で、将門さんが７人の影武者を使っていたという伝説も紹介されているのです

ただし

これが載っている『平治物語』は、古活字本だけです

何度か話題にしていますが

ひとくちに『○○物語』とかいっても、今に至るまでにいろいろな形で伝わってきて

同じ作品でも微妙に違うパターンのものが何種類も残っている作品って多いのです

……いや、「微妙に」じゃないです　だいぶ違うこともあります

『平治物語』もそんな感じで

この将門伝説が書かれているのは、「古活字本」の『平治物語』です

だから、古活字本じゃない『平治物語』を手にとって

「千野、ウソつき」

とか言わないでくださいね

ちなみに古活字本を確認したいなら

岩波書店の日本古典文学大系（通称「旧大系」）に入っていますので

ちなみに私は

『平治物語』は、あまり真剣に読んだことはないのですが

でも、ナナメ読みをした時の印象だと

幼い源頼朝さんがただただ可愛い

……と、そんなミーハーな感想を抱きました

いやでも本当

可愛い頼朝さんに会いたいなら『平治物語』

カッコイイ頼朝さんに会いたいなら『曾我物語』

ですよ

（……そして、えげつない頼朝さんに会いたいなら『義経記』）

今年の大河ドラマの盛り上がりどころになるハナシだし

『保元物語』と『平治物語』はちゃんと読んでおこうかなー