子どもを産み育てていないということは、社会に身の置き所がないようなそんな気がしている。

そんなことは絶対ないということは頭ではわかっているし、他の人で、子どものいない人をそんなふうには思うことは決してないのだけど、それでも自分としては社会から外れてしまった感が拭えない。

こればかりはどうしようもない。

女性として生を受けた人生において、大きな仕事を為し得ることのできなかったという挫折感が大きく影を落としている。

子どもを産み育てた人間よりも、人間として圧倒的に劣っていて、何かかが欠落している、そんな気がしている。

みんな当たり前のように子を産み育てているように見えてしまう。そんなことはないのだろうが。
みんなが当たり前にしていることが全くできない自分に愕然とする。

しかし、この感情は、自分が子作りに挫折した経験があるからこそなのかもしれない。

はじめから子どもを持つ人生を歩むつもりがなければそんなことを思うこともなかったのかも。
わからないけれど…

子どもがいなくても教育について語ることができるが、出産や育児の苦労はわからない。
そういう話にはいつも取り残されて世界から放り出されたような気持ちになったりする。

輪の中にいながら一人心を閉ざしている存在に気づく人はいない。

子どもを育てることなく、今父の介護をしていることが、なんだかとても不思議な気がしている。

みんなそれぞれの立場でしか物事を感じられない。
多数派の中にあって、少数派の思いに光が当たることは極少ない。
そうだよねと頷き合うこともできない。
でもここにしっかりと記しておこう。

相容れない感情や恨めしい思いを持つことだってあるにはある。
ないことにはできない。