時間が経ってしまいましたが、メトロポリタン美術館で開催されていたWALT DISNEY展の展示の内容や感想の記録その②です
からの続きとなります
(この展覧会自体はもう終了しています。)
1959年 Sleeping Beauty/眠れる森の美女
眠れる森の美女は私は今まで見たことが無いのですが、始まりがアニメではなく実写の本のショットで、見ている人が本の中に広がる中世ヨーロッパの世界にタイムスリップしたかの様な感覚に陥る演出がされているそうです
その導入に使われている本は宝石で覆われているのですが、9世紀のカロリング朝のリンダウ福音書からインスピレーションを受けた可能性を指摘されていました。
(世界史は全然わからないので、調べたらカロリング朝はメロヴィング朝に続くフランク王国2番目の王朝だそうです。)
チャイコフスキーのバレエ音楽と中世後期および北方ルネサンスの絵画的ルーツを備える眠れる森の美女は、全てのディズニー映画の中で芸術的に最も洗練されたものの1つと言われているそうなので、私もぜひ見てみたいと思いました
1991年 Beauty and Beast/美女と野獣
眠れる森の美女から30年が経ち、次のおとぎ話「美女と野獣」の製作が始まります。
美女と野獣製作する上での重要な鍵となったのが、フレンチロココ期に描かれたフラゴナールの「The Swing(ブランコ)」と言う絵でした
会場にはそのフラゴナールのブランコに影響を与えたと言われるユベール・ロベール作の「ブランコ」↓が飾られていました。
(フラゴナールのブランコはメトロポリタン美術館所蔵ではないからでしょうか??)
フランスロココ期の画家達はブランコを題材とした絵を多く描いたそうです。
王様は魅力的で自然なリズムを持つシーンを描かせたのです。ブランコの絵はその一つでした。
1700年代には映画はありませんでしたが、いわばそれがこの時代のアニメ、そしてロココだったのです。
ディズニーのアーティスト達はブランコの絵からロココ式の「傾き・リズム・ねじれ」を学び、その3つをアニメの中で強調していきます。
美女と野獣は当初、フラゴナールのブランコからインスピレーションを得たシーン↓から始まる計画でしたが結局変更となって使われませんでした。
でもこの絵は後に、「アナと雪の女王」の中でオマージュとして登場する事となります
(アナが「生まれてはじめて」を歌っている中で、部屋の絵画に合わせてアナが動く時にこのブランコの女の子と重なります。)
そのシーンはこちら
美女と野獣の原作には部屋の家財道具が使用人であると言う設定はありません。
しかしディズニーはそこに命を吹き込みます。
この展覧会では命を宿した家財道具の元となったであろう実物と、デザインコンセプト画も見ることが出来ました
コグスワース
これが当初のデザイン案
皆さんご存知の様に最終的にはこうなります
ルミエール
ポット夫人やチップのアイデア画も有りましたが、最終的にディズニーアニメで見ているものと違うので違和感を感じました。
もしかしたらこっちのデザインが採用さていたのかもと思うと感慨深かったです
また、ディズニーのアーティスト達がロココから学んだ「傾き・リズム・ねじれ」を反映させていると思いながら見ると『なるほど』と感じる部分が多かったです
こうして作り上げられたディズニーの作品が「Disney Renaissance, Disney Rococo」と呼ばれたことにも納得でした
1955年 ディズニーランド
ウォルト・ディズニーは映画制作に30年を費やした後、次に乗り出したのはディズニーランドの建設でした
ディズニーはディズニーランドを人々が日常生活から逃れることができる「地球上で最も幸せな場所」にしたいと考えていました
アナハイム(1955)を皮切りに、今ではオーランド(1971)、東京(1983)、パリ(1992)、香港(2005)、上海(2016)の6つのディズニーテーマパークが存在します
その全てにドイツのノイシュバインシュタイン城からインスピレーションを得たお城がありますが、そこにはロマネスク、ゴシック、ルネッサンス建築の要素も取り入れました。
ウォルト・ディズニーのコンセプトは、彼がアートについてどのように考えたかについて多くのことを教えてくれます。
彼は芸術作品がオリジナルであるかどうかは関係なく、アイデアへの共感、特定の精神、訪問者を別の場所と時間にトリップさせることを考えたのです。
展覧会の出口にアナハイムディズニーランドの計画初期段階の鳥瞰図が掲げられていました。
これは1953年9月にディズニーランド建設資金を投資家から集める為に関係者がニューヨークに説明に行く際に、ディズニーが持たせた物でした。
投資家達は話を聞いてくれないだろうと、視覚からアピールする為に用意したのです。
この鳥瞰図を持ってニューヨークに来た人達の期待に満ちた緊張感や、鳥瞰図を見せられた投資家の感動を想像してなんだかワクワクしてしまいました
そしてそれが今私のいるニューヨークで起こったのだと思うと、さらにグッとくるものがありました
ボリュームのある展覧会でしたが、写真が撮れなかったのでブログで説明が大変な所は端折って、私が残しておきたい所だけを書きましたが、大体こう言った内容でした
初めにも書きましたが、私はディズニーのビッグファンではないけど、フランス芸術、特にロココが好きなので、今回その関わりを学べてとても充実した時間を過ごせました
今後ディズニー作品を見たり、ディズニーランドに行った時の注目点も今回の展覧会を機に変わりそうです
今回の展覧会に行かずとも雰囲気が伝わりそうな動画いくつか貼っておきます
(上2つはFBにログインしないと見れないかもです。)
ちなみにオーディオガイドでは、美女と野獣のベルの声を担当したペイジ・オハラと同じくポット夫人をやったアンジェラ・ランズベリーの2人が登場していたので、映画ファンには嬉しかったでしょうね
(私はもちろん英語でなんて見たことないです英語で見てみようかなー。)
元々ディズニー大好きってタイプでは無いのでディズニーについて知らない事が多すぎる・・・
どうせならもっと知ってみたくなって今興味を持っている本