朝8時。

階下の父が

「おい、起きてるか〜」。

「起きてるよ〜」と布団の中で返事。


「お母さんが、頭がフラフラするから今日はデイサービス行かないって」


階下へ降りて寝室に様子を見に行く。


「今日は行きません。めまいがするから行かないと言って」と母。


今日はねぇ、午前中に施設の見学に行く予定になってる。

父は人工透析に行く。

だから、デイサービスに行ってくれないと

午前中、母はひとりで家にいることになる。


実は昨日もデイサービスから帰って来て寝るまでのあいだに

2回も転んでいる。


「もう仕方ない。誰もいないときに転んで何かあったら運命と思うしかない」と父。


バタバタと母の朝ごはんを用意してると

「ピンポーン」。デイサービスのお迎えの人。


玄関に出ようとすると母が

「そこの戸を閉めて」

なぜ?

「玄関から私が見えるから、見えないように閉めて」

はいはい。指図だけはするよねー。


玄関に出て、こうこうこういうわけで

「今日はお休みします」と伝える。


キッチンに戻り、

とりあえずコーヒーでも飲むか…と

テーブルにつくとまた

「ピンポーン」

え?父の送迎にしては早いな…

と思いながらインターホンで「はい」と言うと

「〇〇ですー」。


「〇〇?」と洗面所で支度をしている父に聞くと

「ああ、シロアリの…」。


玄関に出て対応。

(なぜいきなり、朝の9時前に来るかな…)

と思いながら。


対応を済ませてキッチンへ戻ると

私のコーヒーが空になっていた…。

(母が飲んだ?)


キッチンでひと息ついてると

今度はお腹を空かせた猫が

足元で

「ニャー!」(ご飯くれー!)となく。


あー、はいはい、ご飯ね〜。

ついでに猫に薬を飲ませながら

「キミはかわいいねぇ、誰かと違って」

とちょっと毒を吐く(どうせ耳が遠くなった母には聞こえていない)。


「お父さんはもう行ったの?」と母。

「行ったよ」

「誰もいないのに、音がする」と母。

「ああ、猫がなんかしてるんじゃないの?」

と適当にいなしたが、

確かに玄関先からカンカンと音が聞こえる。


(何だろう?)

と思って玄関へ向かうと

父がトンカチを持って入って来た。

「何してるの?」と外へ出ると


玄関の門柱が動かないといって、

迎えに来たドライバーとガチャガチャやっていた。

いや、だから、それもう何年も動かないままでしょう?

錆びついてるんだよ。

でさー、

何で今朝みたいにバタバタな朝にわざわざそれやるかなー。


てか、耳が遠くなったはずなのに

この音が聞こえる母って…。


やっと父も出かけて行った。

キッチンにもどり、ひと息ついていたら

今度は家電話がなった。

出ると父。

「ああ、玄関の鍵、鍵穴に刺したまま出てきてしまった」


あー、はいはい。


鍵を外して

キッチンへ戻ると

ソファに座りたいのに座れなくて立ち往生してる母に

「手伝って。座らせて」

介助しながら座らせて、膝掛けを掛けて

やっと終了。


ここまでで2時間。


疲れた…。