「今日は辛口の文章です!」

…って書かれていたとしても

受け取った相手によっては

「そんなことないよ?」

という人もいるし

「いやむしろ共感しました」

という人もいる。

 

若い頃、妊婦雑誌の編集をやってた頃。

妊娠中の喫煙について書いた。

本当はすっぱりやめたほうがいいに決まっている。

だけどね、人間って、そうそう

「妊娠しました、お母さんになるんだよ、はい、タバコやめましょう!」

って言われて

「はい!そうします!」

てなわけにはならないわけで。

 

逆にね、

やめられない自分を

「なんて自分はダメな人間なんだ。これからお母さんになるというのに」

と責めてしまう人もいる。

なんとか頑張って、やめたみたものの、

イライラしてお菓子に走っちゃって

今度は太りすぎで先生に注意されて、

ストレスマックス、とかね。

 

そういう場合の対策についても

雑誌では対応するわけですよ。

そんなときの書き方が

「でも、どうしてもやめられない、吸わないとイライラするという場合、

ストレスが一番赤ちゃんに良くないから、

そんなときはタバコの半分だけ吸う(フィルターに近くなるほどニコチンが多くなる)、思い切り吸い込まない、本数を徐々に減らしていく、1日1本だけ、と決めるなど、工夫するといいでしょう」

とかなんとか。

 

そんな感じで書いてたのね、あたしがいたときは。

 

それから数年後。

ライターとしてその編集部の仕事をしたとき

「妊娠したら、きっぱりたばこはやめましょう!」

という書き方に変わっていた。

それを編集の人に聞いたら

「あれねー、1、2本なら赤ちゃんに直接害はないって書くと、

1、2本なら吸っても大丈夫! って受け取る読者がいて、問題になって、

だから最近は絶対ダメ、って書くようになった」って。

(ちなみに、大丈夫なんて、妊婦雑誌では絶対に書かない)

 

人って、こちらがどんなに心を尽くして書いたとしても、

自分の都合のいいように受け取ったり、

都合の悪いことは忘れたり、読み飛ばしたりするんです。

(実は目も一緒)

 

だからね。

文章も

「自分はそういうつもりで書いたんじゃないんだけどなあ…」

ってことは

おうおうにしてあるわけで。

 

と思うことが、

最近のSNSを見ていてちょくちょくあったのでした。

(だからコメントも当たり障りのないものになるよね)