子どものころは一人遊びが好きだった。
常に私が物語の主人公だった。

壁に打ちつけてある釘は槍のように伸びて自分を殺す為の罠だと思っていたし、
夜の暗い家の中では、家具や服が昼間の日の光の呪縛から解き放たれてお化けに変わるとも思っていた。

自分の周りを囲んでいるものや雰囲気全てが遊び道具だった。

暇と感じることが無かったように思う。


また主人公にならなきゃ。
ふと思った。
感情は日々一刻と移り変わっていくものだ。


素敵だな、と思って見ていたものでも数日経った後でもう一度見てみると見窄らしいと感じることはよくあること。

ときには、あるものに対する数分前の感情でさえ、ころっと逆の感情に変わってしまっていることさえある。


一つのものを一つの感情として感じることが出来ないということ。

これは時に人を傷つける。

悪いことではないのだけれど。
別に減るものでもない。
そう言われたのだ。

一旦、ほんの一瞬だけれど本当に減らないのか確かめなければならなかった。

うん。確かに減らないと思う。
そう感じた。

確かに減りはしなかった。

今になって分かった。
心に大きなものを残していってくれたものだ。
減らないと言うもんだから増えるのかと考えたが、残るなんて。