ゲームスタート。
最初のプレイヤーは俺。
「最初のプレイヤーに限り、引くカードを3枚とさせていただきます」
アナウンスを耳にいれ、まず最初のカードをめくる。
『ハートの5』
問題はここからだ。
最初に思ったことがある。
もし俺がここですべてのカードをそろえたら、誰にもダメージを負わせることなく終われるのではないだろうか。
そんなことを思ったりもしたが、まず不可能だ。
あまりにも非現実的すぎる。
これからすべてのペアをノーミスでそろえていくなど、天文学的数字に近いだろう。
2枚目のカードを開く。
『ハートのK』
予想通りそろわない。
めくった2枚を、また裏返しにする。
いったん落ち着こう。
他の人のターンになったら、カードに集中しなくてはならない。
考えをまとめるなら、時間を自由に使える自分のターンしかない。
まず、目的はこのゲームのクリアだ。
では、俺の中でこのゲームのクリアとはなにを意味するのか。
生き残ることではない。
全員が生き残ることだ。
では、そんなことが可能なのか。
正直言ってわからない。
このゲームのルールは、
『最もダメージが多いプレイヤーが脱落』
なら、最もダメージが多いプレイヤーが全員だった場合どうなる。
全員が全員、同じダメージでゲームを終了したとき全員が脱落となるのか、それとも、全員クリアとなるのか。
アナウンスの男に聞いてみることもできる。
が、相手は俺たちの命なんてどうなろうとかまわないような連中だ。
答えてくれるかもわからないし、下手したら、そんなことなんら面白くないと、少しでもあったクリア後の抗議の可能性すら潰してしまいかねない。
ここは、その少しの可能性を信じてやってみるしかない。
運がいいことに、ここのプレイヤーは6人。
トランプの総ダメージ数210、35でぴったり割り切れる数字だ。
ただし、問題なのはジョーカーだ。
自分に跳ね返ってきたダメージが35を超えたり、6人で割り切れないような数字になった場合、その時点でこの作戦は白紙。
脱落者を出してしまうことになる。
理想としては、誰にもダメージを与えていない人がジョーカーをそろえる。
それができれば、あとはみんあでゆっくり相談しあって、ひとり35ダメージにそろえればいい。
考えがまとまったところで3枚目をめくる。
『ダイヤの8』
それを確認したところで、次のプレイヤーである小嶋さんへ。
小嶋さんからあやかちゃん、板野さん、宮澤さん、高橋さんと、一つもペアがそろうことなく一周してくる。
みんな一言もしゃべらない。
ただならぬ緊張感が漂っている。
みんな俺が思っている作戦に気づいていないのか?
気づいているなら、みんなで声を掛け合ってゲームを進めているはずだ。
気づいていないのなら一言言っておくべきではないのだろうか?
いや、ジョーカーの所在がわかるまでこのことは黙っていたほうがいい。
いらぬ希望を持たせたくないからな。
この判断が、後に大きな間違いになるとは思ってもみなかった。
