BL妄想です
苦手な方はご注意くださいませ
Side O
褒美の絵が山田に授与される日、俺も執務室に呼ばれていた。入っていくと、潤王子と櫻井大尉、ニノと山田が座って待っていた。
「山田への表彰の褒美はこちらの絵となるが…」
櫻井大尉が、布に包まれた絵を長机の上に置いた。
「ありがとうございます!大野さん…描いてくださったんですね」
「ああ」
嬉しそうな山田に、俺は頷いた。
「見てもいいですか?」
山田は俺やニノを見てニコッと笑った。
「あー、うん…いいよ」
歯切れ悪いニノに、潤王子が吹き出した。山田は不思議そうに潤王子を見つめる。
「あ、いいよ、開けて見てみな?」
潤王子が言うと山田は「はいっ」と頷いて、布を取り去った。
「わあ…」
そこに俺が描いたのは…
ユカタを着て、椅子に座り腕を組み、足も組んで、すこしむくれた表情のニノだった。唇がとんがっていて、目はこちらを軽く睨んでいる。
…ガキみてぇだけど…
超絶かわいく笑ってるニノの絵が
あいつの部屋にあるなんて
ぜってぇ、やなんだもん…
「これ…和也様、怒ってますね」
「あっ…あの…笑ってる俺の方が…よかった…よね?」
ポツリと言う山田に、ニノは慌てて言った。
山田はじっと絵を見つめた。
「可愛い…」
「えっ⁈」
えーっ⁈
皆驚いて山田を見つめた。
「あ…変ですか?なんか…和也様はあんまりこんな顔僕に見せてくださらないから…」
ニノは唇を引き結んで頰を染めた。
「この絵を見てると…和也様が僕の言ったことに拗ねてるみたいな気分になって…かわいくって…ますます身が入りますね」
マジか…
めちゃくちゃ想定外だわ…
ぶはっ、と吹き出す潤王子と、下を向いて肩を震わせている櫻井大尉と、うなだれるおいら…
「大野さん、そんな落ち込むなら最初からへんな絵を描いとけばいいじゃん」
潤王子の言葉に俺は首を振った。
…ニノの絵なら
たとえ山田にやる絵でも
テキトーになんか描けねぇもん…
山田がくるっとこっちを向いてニコッと笑った。
「大野さん、ありがとうございます!ますますやる気になりました」
うお、キラキラしてる…
「また、頑張って表彰者になって、和也様の絵をお願いしたいです」
マジか。
山田は澄んだ目で潤王子を見て言った。
「じゃあ…あの…大野さんには…いっぱい俺の絵を描いてもらいたいから…」
ニノが遠慮がちに切り出して、皆はニノの方を見た。
「大野さんと………同じ部屋で暮らしたい…」
皆に見られて、真っ赤になったニノがだんだん小さくなっていく声で言った。山田はため息をつくと、俺の方をちらりと見て、呆れたように苦笑した。
「今でも…おふたり同じ部屋で暮らしてるようなもんじゃないですか」
ぶはっと潤王子はまた吹き出して、櫻井大尉はくくっと笑いをかみ殺した。
「このあいだ、和也様の寝室に脱ぎっ放しの大野さんの服片づけたの誰だと…」
「わー、やめろやめろー!」
「それは…おいらがわりかった…」
ニノが慌てて山田の口を手で塞いで、俺が詫びの言葉を口にしたら、櫻井大尉も潤王子もほがらかに笑った。
-終-