ディスコスター!
ディスコスター!
ディスコスター!
じゅにあ達は力強く声をあげながら雪の中を進んでいきました。
小一時間ほど歩いたでしょうか。神輿は、ニノウサギのおうちの前ですうっと止まりました。
ニノウサギが気付いて、神輿から顔を出そうとすると、一緒に中にいたアイバがそれを制止しました。
ニノウサギが怪訝な顔をしたとき、外のじゅにあ達の声が大きく聞こえました。
ディスコスター!
ディスコスター!
ディスコスター!
ガラッと神輿の戸が外から開けられました。
アイバ、いえディスコスターはニノウサギににこっと笑うと、外へ出て行きました。
「ディスコスター様…」
思わずニノウサギがつぶやくと、サクライウサギはぷっと吹き出しました。
「様って言っちゃうよね。マサキだけど」
「いや、あれはディスコスター様ですよ」
外でアイバが手招きしたので4匹は神輿の外へ出ました。
「すっげぇ、俺ん家だ」
「アイバちゃん、ありがとう」
お礼を言ったさとウサギに、アイバは怪訝な顔をしました。
「あれ?ここでいいの?まだニノん家だよ」
アイバは、さとウサギのおうちまで送るつもりだったのです。さとウサギはニノウサギの肩を抱いて、ニノウサギの家のドアの前に立ちました。
「だって、さとし、送ってもらいな?」
「なっ…お前…ひでぇ…」
さとウサギが焦った声をあげるとニノウサギは楽しそうにころころと笑いました。
「アイバくん、行こ?ウサジュンを送らなきゃ」
含み笑いをしながらサクライウサギはアイバを促しました。
「え…でも…」
合点がゆかず、戸惑ったようにさとウサギとサクライウサギを交互に見るアイバに、ニノウサギはにやっと笑いました。
「大丈夫だよ。こいつはここで。ありがとね」
ニノウサギはそう言うと、さとウサギの手をぎゅっと握りました。
アイバはやっとわかったようです。ふひゃひゃと笑いながら、さとウサギの肩をばんばんと叩きました。
「そういうことなんだね、ごめんね」
さとウサギは何を考えているのやら、真顔できりりと
「そういうことだから」
とみんなを見回して言いました。みんながくすくす笑うので、となりのニノウサギの、いつもはこがね色をしたふわふわした毛皮は、ほんのりピンクに染まってしまいました。
「じゃあ、またね」
3匹は再び神輿に乗り込みました。ニノウサギとさとウサギはそれを見届けると、急いで家の中に入りました。
「ニノ…アイバちゃんとそんな仲よかったんだ?名前、知ってるなんて…」
家に入るや否や、さとウサギが眉を寄せて聞いてくるのでニノウサギは思わず笑いました。
「昔、近くに住んでたから、知ってるだけだよ」
にこっと笑うニノウサギに、さとウサギは近づきました。
「ニノ…」
「バカだな…俺がこんなことすんのはあなただけ」
ニノウサギはふふっと微笑むと、一瞬驚いた顔になったさとウサギにちゅっと口付けました。
柔らかな明かりが漏れ始めたニノウサギの家の小さな窓を、3匹は神輿の後ろの窓からくすくす笑いながら見ていました。
小さな窓に映るニノウサギとさとウサギの影がすぐに重なったからです。
2匹の影はたちまち姿を変えて、小さな窓に長く影を映し出し、でもすぐにどちらがどちらかわからなくなりました。
「あのへんの雪だけ、すぐ溶けんじゃね?」
ウサジュンが呆れたように言うと、サクライウサギはくっくっと笑って「でしょうね」と呟き、アイバは「でもそろそろ春だし、いいんじゃない?」と笑ったのでした。
「あのへんの雪だけ、すぐ溶けんじゃね?」
ウサジュンが呆れたように言うと、サクライウサギはくっくっと笑って「でしょうね」と呟き、アイバは「でもそろそろ春だし、いいんじゃない?」と笑ったのでした。
ーおしまいー