あるさむいふゆのひに 2 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

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嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。


こちらの話、おそるおそる、しかし大変楽しく続きを書いてしまいました。

1はこちらです。だいぶ前だな…
前回分へのコメ、メッセありがとうございました(^O^)/


早くアップしないと、冬が終わっちゃうなあ(^_^;)



















ーあるさむいふゆのひに 2  ー





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ニノウサギの手をぎゅっと握ったまま、さとウサギはどんどん森の奥に入って行きます。


「ねえ、どこまで行くの?」


森の中に住んでいても、あまり来たことのないところまで来て、不安になったニノウサギは、そんな気持ちを伝えようとさとウサギの手をぎゅっと握りました。


さとウサギはニノウサギを安心させるように、にこっと笑いました。


「ほら、湖見えるだろ?あそこまで行くぞ」


「えっ…でも…」


ニノウサギが驚くのも無理はありません。冬の間、湖には一面氷が張るのです。


ニノウサギが戸惑っているうちに、湖が見えてきました。氷が張り、太陽の光が反射して白く、眩しいくらいに輝いています。


「これなら、ゆらゆらしねぇだろ?」


さとウサギは満面の笑みでニノウサギの方を見ました。


「でも…どうやって釣り…すんの?」


ニノウサギはまだ訝しげな顔をしています。


さとウサギは湖に張った氷の上に足を踏み出しました。厚く張った氷はさとウサギが乗った程度ではびくともしません。さとウサギは、岸のところで不安そうに見守っているニノウサギを手招きしました。


「おいで、にの。釣りすっぞ」


「マジで…」


ニノウサギは片足は岸に置いたまま、おそるおそる片足をあげて湖の氷をちょんちょんと触りました。


「つめたっ」


氷の冷たさに怖気付くニノウサギを見て、湖面の中央に行こうとしていたさとウサギはニノウサギのもとへ戻ってきて、その手をぎゅっと握りました。


「おいらが支えてやっから、おいで?」


さとウサギが自信のある様子で優しい笑みを浮かべたので、ニノウサギは少し安心しました。さとウサギが差し出した手を掴んで、おそるおそる両足を氷について、転ばないように注意しながら歩いていきます。


湖の中央までくると、さとウサギは道具箱からなにやら工具を取り出して、氷をガンガンと叩き始めました。


「もしかして、氷に穴開けんの?」


ニノウサギが尋ねるとさとウサギは満面の笑みで「うん!」と答えます。


「氷の下にはいっぱい魚がいるんだよ」


「へぇ~。でも大変じゃない?」


「大丈夫。にのと一緒に釣りしたいし」


笑いながらどんどん氷を削っていくさとウサギを見て、そんなにまでして自分と釣りをしたいのかと思うと、ニノウサギは胸の奥がキュンとしました。


でも、どうしましょう。

ニノウサギは困りました。ニノウサギは魚が苦手でそのままでは食べられないのです。さわるのも好きではありません。


ニノウサギが困っているうちに、さとウサギは氷に穴を開けました。そこに、持ってきた釣竿をかざして、釣り糸を垂らします。


「にのも、ホラ」


さとウサギが無邪気に言うので、ニノウサギは釣竿を受け取りました。


「釣れたら…さとしがつかまえてよ?」


「よっしゃ」


2匹はしばらく釣り糸を小さな穴に垂らして待ちました。


「少し、曇ってきたね」


晴れていた空がどんより曇ってきたのを見て、ニノウサギは心配顔で空を見上げました。


そのとき、さとウサギが声をあげました。


「あっ、きた!」


どうやらニノウサギの釣り糸にかかった魚がいるようです。ニノウサギが釣竿をひくと、氷の上にいきのいい魚が飛び出してきました。


「うわっ」


「やったー、かかった!」


魚が怖くて思わず後ろに下がったニノウサギの脇から、さとウサギは氷の上でぴちぴちはねる魚をぱっとおさえると、瞬く間にバケツに入れました。


「ありがと…氷の下にはこんなのがいるのか」


「そうだよ、おっきいだろ?やったね」


さとウサギは嬉しそうです。ニノウサギは来てよかったと思いました。


そのとき、ニノウサギの目の前に白いものが舞いました。


「あっ、雪降ってきちゃった…」


見上げると、完全に曇った空から雪がちらちら降ってきます。


「さむっ」


「さみぃね…せっかく来たけど…帰るかぁ…」


寒そうに身を縮こまらせるニノウサギを見て、さとウサギはそう言うと片付けを始めました。



片付けを終えて、帰ろうとして、さとウサギははたと動きを止めました。


「なあ…どっちから来たっけ?」


「えっ…もしかしてわかんなくなった?」


「わかんなくなっちった…」


凍った湖はどこまでも同じ風景です。湖の周りも同じような木々に囲まれていて、どこから来たのか、さとウサギはわからなくなりました。さとウサギにくっついてやってきたニノウサギもわかりません。


風が出始めて、雪が2匹の体に吹きつけます。


「とりあえず、どっか岸に行こ?」


「そだな」


2人は手を取り合って、岸辺を目指して歩いていきました。