手をつなぎ歩き続ける
さっきさ
すごく大きくて長い雷が鳴ったでしょ
こんな時すぐに
寝ているあなたの部屋に行ってさ
ね―ね―、すごい雷、聞こえた?
って騒ぐよね
あなたはいつもTVの音が大きくて
雷とか花火の音なんか気付きやしない
どーでもいい みたいな態度で冷たい
仕方なく自室に引き上げる
そうしたら
今度はすっごい雨よ
ザーザーだもん
胸がザワザワするから
もう1回あなたに報告しに行く
もう寝てる
あー、つまんない
だから
あなたが居た時だって
寂しいなーって思ってた
でもあなたはそこに居た
それだけで幸せだったんだな
あなたが居眠りしてる動画を観る
ここに、あなたがいた
あなたはいた
いつの間にか迎えた朝
雨はやみ、冷んやりとした空気
秋はお日様が短かくなるから辛い
三回忌
別離の混乱、慟哭
歩き出せない程の悲哀
時間というクスリのお陰で
哀しみがやわらぎ
励まし、支えられ
再び歩き出していた
愛する人が遺してくれたものを知り、
感謝する
生きていくことを大切にしたい
誰かの苦しみに寄り添いたい
別離は哀しみをもたらすだけでなく
人の思いを知り、
生きていく力をもたらしてくれるのかも知れない
人の記憶は、時に残酷で
いつもは元気な頃の夫を思うのに
臥せっている時のことばかり目に浮かぶ
それでも明日から、また歩き出す
大丈夫
あなたが私を強くしてくれたから
9月11日 父の二十四回忌
明日 9月14日は 夫の三回忌を迎える
呼吸が浅くなってしまい
動悸がする
昨日からずっと夫のことばかり考えている
いつもなら元気な頃の夫を思い出すのだが
臥せっている時の夫の姿ばかりが浮かぶ
どうしよう
何をしたら良いのだろう
確実に近づく夫の最期
不安でたまらなかったあの気持ち
2年も経ったのに
どう過ごすのが正解だったのか わからない
今さら 何も変えることなどできない