部屋が暑くて、ろくに寝れなかった・・・うとうとできただけマシか。相棒は周りの音がうるさくて寝られなかったらしい。お互いにちょっと予想外。

おきて、梅がゆとカップ麺をいただく。水筒とペットボトルに水と麦茶を補給し、8時、後半戦スタート、レストステーションにはトイレがないため(きつい)、隣の平岡駅のトイレを借りて動き出す。手動ラップを取るのを忘れていたと思ったら??

「ガーミン止まってる?!」

というわけで、慌てて再スタート、また今年も一本の線で記録が取れなかった・・・そんなことより進む、胃袋のカップ麺がこなれるまで歩いてから走り出す・・・まあこれで走ってることにしよう、くらい脚が重い。日差しは強くなってきているが、木陰が多いから何とかごまかせる。下りを中心に走れるところだけ走ってといういつもの作戦、しかし、追い抜いていく人たちは、なんであんなに走れるんだろう?何が違うんだろう??そんなことを考えながらニセンジ自然公園へ、トイレがあるはずなんだけれど・・・見当たらない・・・ロスしたけれど仕方ないので次へ。90㎞まともに補給できない難所の中でも、ここは20㎞トイレがないエリアなので、なおさらきつい。しかも、景色があまり変わらないから進んだ気がしない。なんとか大嵐(おおぞれ)駅へ、つり橋を渡っていかねばならず、結構遠回りなんだけれど、しかたない。観光客らしき家族連れの若者から「200㎞走ってる人ですよね、こっちはコースじゃないですよ」と声をかけてもらう。わかってますとも。しかし、いい青年だよね。気持ちがほっこりした。駅でトイレとみずかぶり、残念なことに、川の水をくみ上げて浄水しただけなので飲めない。ここに来ると、昨年、隣の集落まで峠を越えていってしまった超人を思い出す。彼はゴールできたんだろうか?本ルートに戻り、しばらく行くと豊根村富山の集落。ここにもトイレがあるんだが、やっぱりもたないよな・・・ま、ちゃんとした水道があるから(たぶん)飲み水として確保。木陰が減るので、しっかりと水被り。ここから数㎞で昔レストステーションだったとみやま来富館(約130㎞)。平岡以来の自販機があるところ、今年は売れ残っていたのですが、ちょっと食指が動かなかった(失敗)。トイレも使えなかったらしいが大嵐駅で済ませてきたので困らない。幸い、水道は使えたので水の補給と、サプリメントを流し込んで出発。佐久間ダム、そしてcoopをめざして第4の難所を進む。





時は昼過ぎ、ここにきて、朝の仮眠失敗の影響が出始める。車の数は昨年より少ないが、峠道をかっ飛ばす残念なドライバーは多いもので、悩みながらも、危険回避のために退避スペースを見つけて座り込み5分ほどうとうとする。

わかってはいたが、佐久間ダムが遠い。座り込んでの仮眠以降、脚が動かなくなる。なんだろう、140㎞が限界なのか?悩みながらも、復活を信じて歩く。歩くと足の平が痛い。筋肉痛かな?マメは両足にできてそうな感じだな。痛いけど眠いな。相棒は、いつまでたっても繰り返すアップダウンに発狂したように叫びながら走って行く。あれは眠気はとぶな。そうこうしているうちにトンネルが出始める・・・あれ?トンネルということは佐久間ダムが近い?ということで慌てて安全のために簡易のライトを用意し、すすむ。去年はやたら長くて怖かったウナギ樽トンネル(えっと・・・いろいろな噂はかねがね聞いております)があっけなく終わって、あっさりとダムへでてしまう(・・・去年のあのどこまで行っても終わらなかったのはイッタイナンダッタンダロウ?)

佐久間ダム(160㎞)でボランティアさんの用意してくれたクッキーをもらい(食べられる!)、最後の劇下り坂へ。相棒の前腿がビリビリ来ているということで、歩いて下る。そういえば、ボランティアさんや、追い抜いていくランナーさんの話が錯綜しており、とりあえず確からしいのは、『ほぼ』 最後尾だということ、気にしないけれど。そして去年は寄れなかったcoopへ。今年は寄れました。駐車場で座り込み、サイダーで胃に刺激を入れ、エネルギーゼリーと缶コーヒーと大豆バーで夜ご飯。相棒は、弁当が無い…とアメリカンドックを食べながら嘆く。いや、それを食べてる時点で驚異なんだが…しかし、外に臨時のごみ箱があったりして、ひょっとして、主催者さん、根回しきっちりしてくれている?なんか、すげーよ。





トイレを借り、夜装備をし、もうゲキサカはないと自分を励ましながら出発する。去年は疲れ果て、トボトボ歩き、ゆえに寒さに震え、向かい風に苛立ち、幻覚を見た秋葉ダムまでの道。去年よりも早く来てる。それだけにしがみついて進む。大輪のトイレに移動エイド。インスタントコーヒーをいただき、何も食べてないから無理やりサラダせんべいを押し込む。旨いな。それでも走り出せるまでは回復しないのが悔しい。

見えるのに近づかない秋葉ダム。これは去年と同じだ。違うのは、私設エイドが待っていてくれた。ありがとう。温かい卵スープを作ってくれるらしいので、ウトウトしながらまつ。しばらくして異変、気持ち悪い・・・寒さと変な寝姿勢のせいで目が回り吐き気がする。卵スープを飲んだらダメな気がしたので、勧められて横になる(マットと毛布が用意してあるあたり流石)

ふと相棒とボランティアさんの話し声に我にかえる。しまった寝落ちした。慌てて起きて時間の確認…20分…その間相棒はボランティアさんと話をしながらカレーラーメンを食べていたとか、すまん。作りかけの卵スープを温め直していただき、飲む。旨いなぁ。元気をもらって秋葉ダムを出る。時間は、ここで計画表とどっこいくらいになってしまう。が、それはやめる理由にならないので進む。そして、ここからが今年の苦難と苦渋の道になる。

二人して動かない脚を引きずり進む。交互に来る睡魔に足の裏の痛みに負け続け座り込む回数が増える。今年、救われているのは、月明かりで道路が見えていること。去年は真っ暗で、起きているのか寝ているのかわからない状態に悩まされた。と、突然目の前に「雪印とかメグミルクとか森永とかフローズン坊や?(冷凍運搬トラックにかいてある)がバババーッ」と道路一面に広がる不思議な景色が見える

なんだ!と思ったら前方から来た車のライトを見間違えたらしい。危ない…

道の駅でトイレ。仮眠はせず先へ進む。しかし、相棒の様子がおかしい…と思ったら寝ながら歩いてる!まずい、というわけで緊急避難、道路脇に座り込んで仮眠を取る。





船明ダムのあたりまで来て夜明け前、まだ去年より早いが、時間内ゴールはかなり無理な状態。今年は次のコンビニで買い込んで、食べてラストスパートだ。というわけで直前の公園の階段でちょっと長めに仮眠。来年はちょっと対策を考えないと。

で、コンビニがやっておらず(最近よくある)失意のまま進む。塩見渡橋まで来て、残り距離と時間を考え、このまま行ったら懇親会の終了時間にすら間に合わなくなると判断し、ショートカットすることに。悔しいが、主催者さんらに迷惑はかけられない。

ここから25㎞以上の河川敷。ふきっさらし&数本の橋と時々の木陰以外はほぼ何もない区間。最後の難所。河川敷に入ると、コンビニまでは土手を超えて往復で1㎞の遠回り。それはやめようということで、二股天竜のコンビニで最後の買い込み。コーヒーで食パンとクッキーを押し込み進む。飛竜大橋の北の信号で本コースに合流。忘れていたが河川敷は砂利道だった。当たり所が悪いと足裏の豆に激痛が走る。きっついなぁ。



ふと、後ろから車が、ずっと移動エイドをやってくれているボランティアさんが残参加者のチェックに回ってるところでした。ボランティアさんの話では、今年は河川敷にはサプライズエイドがあるらしい、いや、そんな大事なことはサプライズにしないで(買い込んじゃったし)、それでも、気持ちはうれしくなる。砂利と草と歩きづらい道をとぼとぼと進む。しばらく行くと、軽トラが見えてくる。佐久間ダムにいたボランティアさん。立ち止まると動けなくなるが、話は止まらない。塩系の飴を頂き、進む。次のエイドは、距離と時間を考えると、無理そう(普段なら歩いたって楽勝なのに)。少し開けたあたりで、紺色のワゴン車がぶあぁーっと砂煙を上げながら走ってくる。失意の中、面倒なのに絡まれたら嫌だなぁ、とおもっていたら、大会関係者。というか、豊岡でリタイヤして、そのままボランティアに転身したらしい、マヂか。先の軽トラもあるし、買い込みもあるし、補給は大丈夫。「写真撮るよ~」、「LINEで送るよ~」やべ、やたらフレンドリー、ほっこりする。ちょっとしたアドバイスも受け取り、進む。

一度土手を上がり、「道を知らない人は行き過ぎて土手を這い上がるんだよね」とか無駄話をしつ車通りが多いから、立ち止まって(歩くと蛇行してしまい危険な状態)安全に進み、再度河川敷へ降りる。日差しがきつい。足の裏が痛い、眠い。このあたりで時速3㎞が精いっぱい。歩く座るを繰り返す。目覚ましが鳴る。主催者さんにごめんなさいの電話をかけなくては。「3時~4時まではみんないるから、ゆっくりたのしんで」いやもう、感謝しかない。耐えて進む。通り過ぎる自転車、すれ違うランナーに散歩者、バーベキューのソーセージの焼けるにおい、子供たちの笑い声、座り込みウトウトする大人2人(ウトウトしていたのは私だけかもね)。最後の土手を上る箇所を回避するために、はやめに土手をのぼり、反対がわの歩道へ出る(これくらいはいいよね?)今年は南風がほとんどなく、暑いが進みやすい。ずっと見えていた風車がものすごく大きくなる。「今年は回ってないね」と相棒、そこが気になるか?ジョギングしているランナーさんとすれ違う。彼らには、私たち2人はどう見えているんだろうか?遠くに海が見えてくる。歩道から道路へでて、大きな水たまりを目の当たりにする。やべ、泣けてくる。今年もやらかしちゃったけど、それでも自分の脚で太平洋まで来たよ。でも、この感動と悔しさ、伝わんないよね。





今年は工事で堤防沿いには行かず、最短コースを進む。それでも相変わらず長い。そしてようやくゴールの施設が見えてくる。相棒は、ゴール待ちしていてくれた知人の熱烈なお出迎えに困惑。え?ゴールは走ってくるところを動画撮影したいとか?あ、応えてるし。私は写りこまないように遠回りっと。今年もゴールゲートが無いゴールを通過してなんとかゴール。記録用紙を記入して、主催さんに渡して、え?中に入って一言しゃべってってよ?それはごめんなさい。4時間オーバーしといてハズカシイのね。それでも、今年はお風呂に入る元気が残っていて、無残に変形した自分の両足(左足には小豆、右脚には巨峰 みたいな血豆)を見て、52時間の長い旅は終わるのでした。