4年ぶりにスタジオライフが大阪に来てくれるということで行きました。
前回の「死の泉」はチケットを取っていたのですが、コロナ禍に入ったばかりでその当時は謎の病で(今でも謎ですが)どうなるかわからない恐怖がありキャンセルをしたんです。
だから、ライフを大阪で観るのはいつ以来だろう(さかのぼったら2019年が最後だった)。

今回、土曜日昼と日曜日昼に3月に上演された「ガラスの動物園」の上映会、土曜日夜にトークショーがありました。
本当ならば舞台そのものを上演したかっただろうけれど、色々都合がつかなかったからか上映会と言う形になりました。
おそらく権利関係からかDVD化はされないようで今回が観ることができる最後のチャンスになるかもしれない。
実は3月チケットを取っていたのですが事情あって行くことができなかったため今回が初見でした。
古典なのでタイトルは知っていましたが他のカンパニーでも観たことがなかったので全くの初見。
私が観たのは土曜日昼の部(Blueチーム)。

登場人物はアマンダ(母)、ローラ(娘)、トム(息子)、ジム(トムの同僚)の4人しか出てきません。
もう一人家を出て行った父親もいるのですが、実際には登場せず。
内向的で家にひきこもっているローラがオールドミスのまま年を取ることを心配するアマンダがトムに適齢期の男性を紹介させる。
トムは同僚かつ高校の同級生だったジムを食事に招待、そのジムはローラが昔好きだった相手だった。
最初は一緒に食事をするのを拒否するローラだったがジムと話をするうちにだんだんうちとけていく。
しかしながら…という話。

作者は「欲望という名の電車」のテネシー・ウィリアムズ。
戯曲も読んでいないし、他のカンパニー版も観ていないので比較できないが、きっとこれはかなり他とは違う味付けが違うんだろうなと感じました。
夜のトークショーでも敢えて戯曲のト書きを無視したところもあったりしたとのことという話がありました。
特にアマンダとジムは今までと違う解釈だったようです。

この舞台においてアマンダがいちばん大きな要素を担っていると思いました。
だから、アマンダが違うと全然違う印象になるよう。
今まで演じられたアマンダはどこかヒステリックな面が強調されていたようですが、楢原さんのアマンダはそういった面もありつつ、子への愛情が違った方向へ向かってしまったという悲しさを感じました。
とにかく一所懸命なんですよね、でも届かない、うざさも感じる。
それでいて、笑いも入れてくるところが絶妙。
楢原さんのブランチ(欲望という名の電車)も観てみたいと思いました。

ジムは一見酷いんです。
ただ、酷いだけの男にならないように演技を組み立てたと後のトークショーで曽世さんも語っていましたが、ローラが素敵な女性だと惹かれたのは本当だったんだと思います。
だから、きっとローラは以前よりもジムとの思い出が出来たという点で幸せだったんだ。
最後に救いを感じるのが倉田さんらしいなと感じました。

上映会は天満橋のドーンセンター、トークショーは中之島の大阪中央公会堂でありました。
ドーンセンターは初めての場所だったので迷うかと思いましたが意外に早く着いてしまった(笑)。
今回、来阪してくれたのはトム役の笠原さん、ジム役の曽世さん、別チームローラ役の松本さん、そして演出の倉田さんの4人。
笠原さんとまつしんが入場整理してくれてああそうだ、キャスト自身がこういうこともやってくれるんだったと思い出しました(笑)。

上映後、少しだけ4人のトーク。
倉田さんが装置がとても素敵だったので生で観てほしかったというのが印象的でした。
生だからこそ伝わるものがあると思うので、見ごたえはあったもののやはり生でも観たかったなと思いました。
そして、さっきまで映像で観ていた人(笠原さんと曽世さん)がラフな格好で出てきてとても不思議な感を覚えた(笑)。

上映会は13時半から約2時間半で終わったのが16時頃、そして夜のトークショーは19時から。
3時間どうしようかと思っていましたが、30分前に開場なので実質2時間半。
移動時間もあるし、どこか出かけるのも中途半端なんでとりあえずお茶してました。

 


トークショーは場所を移動して前述通り大阪市中央公会堂の小集会室。
中央公会堂は大正時代に建てられて国の重要文化財に指定されています。
倉田さんがどうしても中に入ってみたくて自ら電話して決めたらしいw
大集会室(ホール)は入ったことがあったのですが、小集会室は初めて。
乗るエレベーターを間違えるとたどり着かないというのですがなんとか間違えずたどり着きました。
中も非常に趣があって素敵だったのですが、もし傷がついたら織る技術を持った人がいなくて修復できないのでカーテンだけは触らないようにとのお達しがあってそんなところにも歴史を感じました。

トークショーのMCはもちろん曽世さん。
昼のラフな格好から夜は3人とも白のインナーに黒いジャケットというカジュアルフォーマルで。
トークの内容は、まずは作品について。
そして大阪の思い出など大阪にちなんだ話。
最後にせっかく素敵な場所だからと谷川俊太郎の「星の組曲」という詩を3人で朗読リレー。
約1時間半強素敵な時間を過ごすことができました。

作品については前述のとおり、今までとは違った切り口だったということを中心に話されていました。
この作品を上演するきっかけとしては、倉田さんはずっとこの作品をやりたかったけれども、河内さんに4人しか登場人物出ないし地味だと却下されていたとのこと。
ただ、昨年大きな怪我をしたことによってやりたいことは早くやらなければという気持ちになりこの作品を手掛けることができたそうです。
それ以外では今回来ていないキャストについての話もありました。
楢原さんがすごいという話は昼間もしていたけれど改めて。
そして、諸事情で降板した石飛さんのアマンダも見たかったのでいつかリベンジをという話。
それ以外ではローラ役吉成くんの話が多かったかな。
今回改めて映像で見て稽古の時に比べるとぐんと良くなっていたという先輩達。
同役のまつしんは話し合いながら寄り添って一緒に稽古していたそうです。
あのメンバー(笠原さん、楢原さん、曽世さん)の中に1人放り込まれたらそりゃ緊張したことでしょう。
しかしながら映像で見ても劇場の中にいる感覚に陥り、吉成くんにも劇場にいる時と同じ感じでダメ出ししていたという倉田さん厳しいw

大阪については初めて大阪で仕事をした時のエピソードからよく行くお店の話、HEPの観覧車や空中庭園に行った話など。
大阪の劇場でいちばん好きなのは全員がドラマシティを挙げていました。
客席は後ろまで声届くし、仕込みもしやすいのでとにかく使い心地がいいらしい。
昔は仕込み途中で喫煙所に行かなくても裏で煙草吸えたのが良かったという発言がまつしんだったことにちょっとびっくり。
その頃はまだ舞台の裏に灰皿を置いていたそうです(今はさすがにないでしょう)。
ただ、楽屋が遠いらしく笠原さんが別の舞台で出ていた時に開演5分前で舞台用ではなく自分の靴を履いていたことに気づいたそう。
とにかくダッシュで履き替えにいってギリギリ間に合ったそうです。
そして、この劇場は初めて劇団で来て初めてオールスタオベを味わった場所だからみんなにとって感慨深いものがあるところだそうです。

関西人は刀で斬るふりしたら斬られた~ってやってくれるという話をしていて、曽世さんが外部に出た時共演した樹里さんにやってみたら「じゅりぴょんはやってくれた、宝塚の人なのに」。
ここで樹里さんの名前聞くとは思わなかった(笑)。

詩の朗読は本当にこの劇団らしくて素敵なパフォーマンスだなと思いました。
作品も割り振りも倉田さんが決めたそうですが、3人に合ったパート割でぴったりでした。
ここで「奥行き」(短編小説や詩の朗読をするイベントを定期的にされているが東京のみ)もできたら素敵だねという話になり、「人さえ来れば」というのが良かった(笑)。
セットが要らないですからね。

終始みなさん折に触れてなんとしても4年ぶりに大阪に来たかったと話してくれたのが、強い気持ちを感じて嬉しかったです。
そして次はみんなで舞台を持ってきたいという話も本当に嬉しい。
お待ちしております。

最後はお菓子と紅茶とサイン入りカードのお土産を手渡しでいただきながらのお見送り。
おもてなしがすごい(笑)。

飄々とした笠原さん、おしゃべりおじさん曽世さん、しっかりもののまつしんが健在で、この劇団の雰囲気やっぱり好きだなあと思いながらの1時間半でした。
そして倉田さん筆頭に演劇への強い愛情を感じました。
あとはね、久しぶりにライフのトークショーに参加して思ったのですが、間が空かないのがすごいなと思いました。
最近は他のアフトクなど参加することが多いのですが、どうしても変な間ができる時があるんですよね。
俳優さんはトークが本業じゃないのでそこも愛嬌と思っているのですが、曽世さんが司会に入るとそういう間ができないのがすごいなあと。
やっぱりトークも本業だわ(笑)。

 

 

帰りに市役所前のミャクミャクくんに会ってきました。

夜だと光って怖い(笑)。