完全にキャストで決めました(笑)。
というわけで「ラグタイム」行ってきました。
人種問題がテーマとなっているというくらいしか知らずに来た(あいかわらず予習はしない)。

メイン3人で人種がきっちりとわかれていて石丸さんは貧しい移民のユダヤ人、井上くんは黒人、安蘭さんは裕福な白人。
アンサンブルの人たちは白人も黒人もユダヤ人も演じていてどのように区別するのかと思ったら衣装の色だったのでわかりやすい。
白人は白、黒人はカラフルな色、ユダヤ人は黒やグレー。
白人側に役名がないのは(ファーザー・マザー・ヤンガーブラザー・グランドファーザーというように名前がない)、被差別側が記号化されることへのアンチテーゼなのか。

ストーリーはめっちゃいい話というわけではないのに、ええ話やった~と終われるのはラストの後味の良さかな。
悲劇は悲劇なんだけど未来に希望がある、救いがあるという点で。
あとは歌がいい、歌に説得力がある。
川口さん演ずるお父さんが最初は非白人と握手しなかったのにラストでがっちり握手しているのが印象に残っています。
思った以上にメインで良かったです。
今回初見のキャストが多かったのですが、皆さん良かった。
噂には聞いていましたが遥海さんの歌声がとてもすごかった。
そして、イチラスでソロを歌った人がものすごく迫力あって震えました。
幕間で調べたのですが塚本直さんという方でした。ゴスペルグループに所属しているというのも納得。
最近のRENTを観ていないのですがお二人とも出演していたというのにも納得。
初見ではないけれど(ジャージーボーイズで観た)、安蘭さんの弟役のトンちゃんもまっすぐな役だったのがすごく印象的。
ネッさん(ネスミス)が思った以上に良くてびっくり。
他のミュージカルでも観てみたいと思いました。
非常に知的で説得力ある佇まいと歌が良かった。

ただ、石丸さんと井上くんの初共演を売りにするにふさわしい演目だったかというと甚だ疑問でした。
演目自体は魅力的な演目だとは思います。
特に井上くんに違和感がありました。
歌唱力で押し切っていたけど、役にはまらなかった。
誰がはまるかずっと考えながら見ていたら藤岡くんがひらめきました。
ひらめいた時にちょうどネッさんと対峙するシーンだったので勝手に想像して熱くなっていました(オーディションでバチバチだった2人だったので)。
もちろん集客力は大事ですし魅力的なのは確かですが、合う役とそうでない役ってあるなと思います。
石丸さんの役は狂言回しとまではいかないけれど、どこか俯瞰した役なのでそれはそれで合っていたとは思います。
華を持っている人でないと締まらないのでここは石丸さんで正解だったかなと。
次の共演はがっつりと絡む役で観たいなと思いました(共演といってもほぼ絡みがなかったので)。

石丸さんの役が切り絵師だったからか、切り絵のぱらぱら漫画を見ているかのような舞台装置が印象的でした。