トーマの心臓」両チーム千穐楽に行ってきました。
土曜日ソワレ(COOLチーム)と日曜日マチネ(LEGENDチーム)だったのですが、台風の影響で金曜日から土曜日のお昼まで新幹線が止まっていました。
元々朝の便を予約していたのですが金曜日の時点で動きそうにないと思い、急遽昼過ぎの便に変更。
なんとか変更した便は動いたので良かったです。
土曜日マチネは何も入れていなかったので今回は特に問題はなかったのですが、台風シーズンに遠征は考える必要があるかと思いました。

ライフの舞台を生で観るのが2年半前の「はみだしっ子」以来なのでコロナ禍以降では初めて。
でもサンモールへの道は身体が覚えていた(笑)。
この2年半の間、チケットを取っていた演目もあるのですがすべて断念していたのです。
今回はどうしても観たかった。
この演目はこの劇団にはまったきっかけであり、原点だったから。

まずはCOOLチームから。
今回のチームは初役の人が多くてなかなか新鮮でした。
初役ではないけど私が初見の青木ユーリと関戸エーリクの相性が抜群すぎて引き込まれた。
硬質で繊細な青木ユーリの芝居が良かったな、最後の詩の朗読の熱量がすごかった。
触れたらすぐに壊れそう、ギリギリのところで立っているという印象が強いユーリでした。
ゲシさん(青木さん)の芝居観るのいつ以来だろう。
間違いなく令和に入ってからは初でした。
影絵が忙しいのかもしれないけど、本公演も出て欲しいね・・・と思っていたら次回作も出演されるので良かったです。

エーリクはやはり難しい役だなと思いました。
せっきーの演技力はさすがだなと思いましたが、ただ立っているだけでその存在を知らしめるという点においてはWのまつしんとどうしても比較してしまう。
ただ無邪気なだけではない、ユーリの閉ざされた心を開く説得感が必要なので本当に難しいなと思いました。

芳樹さんって良く考えたらユーリ以外の役って初めて?
お茶会のシャールさんは別として(笑)。 裏役のレドヴィは新鮮でした。
この舞台の第一声を司る役だからめちゃめちゃ重要なのだと改めて感じました。
その時の第一声が今まで聴いたことない声色だったのに驚きました。
良く考えるとこういう役どころもあまり観たことなかったです。
他の方々もおっしゃってましたが、同じ詩を読み上げるユーリとレドヴィを同じ人達が交互に演じることによって更に深みを帯びたものになったと思います。
この舞台はレドヴィから始まり、ユーリで終わるということを改めて意識した。

ああ、あとやはり楢原さんの芝居は本当に泣けました。
今回いちばんほろっときたのがトーマについて語るヴェルナーさんでした。
あんないいお父さんがいてなんであんなことに?

大千穐楽はLEGENDチーム。
このチーム名だけでもすごいや(笑)。
なんといってもユーリ・エーリク・オスカーのメイン3人が6年前と同じなんですもの(芳樹ユーリ、松本エーリク、笠原オスカー)。
なんなら6年前もすでにレジェンドと言われていたような(笑)。
しかし、6年経ちました?と確認したくなるくらい全く年齢を感じさせませんでした。
もしかしたら、6年前より若返っている気がする?

芳樹ユーリのいちばん好きなシーンはやはり最後の朗読なんだけど、今回特に沁みました。
トーマは何を思って綴ったのだろうと改めて感じ入る詩でした。
ユーリに何が起こったのか具体的に知らなかったかもしれないけど、ユーリの抱える闇はトーマはわかっていた。
だから彼を救いたかったんだろうな。 そういうことを今日は特に感じ入った。

救いと赦しの物語であることを改めて意識した舞台でした。

カテコでは千穐楽恒例の役者挨拶。
以前より短めになったのかな、若手は本当に役名と自分の名前だけしか言わなかった。
以前は、前日はそうでも、最終日はもうちょっと話をしていたかと思ったのですが。

今回いちばん驚いたのは笠原さんでした。
最初に「最後のオスカーです。6年前も言ったけど」とまず笑わせにきましたが、この座組は最高だったという話から急に後ろ向いてどうしたのかと思ったら泣いてました。
それを見て逆に色々思い入れがありすぎるからこそ皆さんあまり話されなかったのかなとも思いました。
トリプルコールで藤原さん「皆さんのダブルコールトリプルコールに力があるの自覚してください!あの笠原まで泣かせて」。
なぜか怒られる観客w
こんな理不尽な叱られ方初めてだわwww
段々藤原さんの挨拶がわけわかんなくなるのはデフォでああ、懐かしいと思いました。
地味に緒方さんの挨拶「緒方和也です!」だけなのツボりました。
前日は「アデュー!」だけで名乗りもしなかったので、なぜかまつしんが「緒方和也です」と紹介していたのもウケたw
まつしんがまたやりたいけど年齢が…と言ってましたが、芳樹さんはまだまだやりますと宣言していました。
うん、やれるね(断言)。
まつしんはめっちゃ泣いていたけど、芳樹さんもちょっと目が潤んでいたかな。

ゲシさんがみんなコロナにならず最後までできて良かったと語ってましたが、それに尽きますね。
「コロナとレドヴィの盗癖に気をつけましょう」とオチつけていましたが(笑)。

コロナの影響からか楽屋の人数を減らすために5人組が3人組になってちょっと寂しかったです。
逆にそれぞれ目立つ要素があって良かったのかもしれません。
元気いっぱいで可愛らしかった。
お茶会は年長組が色々やっていて面白かったけど、芳樹シャールさんの幻が見えてあんなに世界破壊できるのすごかったなと思いだしていた(笑)。
そして人の動きを減らすためにということで、休憩なしの1幕ものになっていました。
ところどころシーンがカットされているからストーリーの途切れを脳内で補完しながら観ていましたが、初見の人には違和感なかったのだろうか。
特に、ミュラー校長の病床のシーンがカットされていたのは残念でした。

あとシンプルに140分連続だとお尻痛いw

今回劇団員だけというのがとても良かったです。
外部を入れないと色んな面で苦しいのはよくわかるのですが、トーマの世界は劇団員だけで構成してほしい。
ただ、若手が減っているのが痛いなと思いました。
人数を減らしたのはコロナだからというのもあるけれど、人が足りていないという面もあると思います。
芳樹ユーリは本当に還暦でもやっちゃいそうな勢いでそれはそれで嬉しいけれど、若手がユーリを演じることができるように育てることも必要なのではないかと思いました。
今回のWだった青木さんも若手ではなく中堅ですし。

しかし、本当にあのトーマの独特な世界はこの劇団にしか表現できないと言いたい。
プログラムを買いましたが、原作者の萩尾先生が演出の倉田さんとライフに絶大なる信頼を寄せているのがよくわかります。
倉田さんとの対談も読みごたえありました。
なぜ、ユーリがサイフリートに惹かれたのかなどなるほどと改めて感じることも。
最初にアヴェマリアが流れるとぐいっとトーマの世界に引き込まれて何とも言えない感覚に陥る現象に名前がつけられません。

再びトーマを観ることができて本当に良かったです。