せっかく横浜に来ているからということで初めましての「パリのアメリカ人」。
色々評判は聞いていた(主に悪い方に)のですがやはり一度観てみないとわからないので。
で、感想。思ったよりは悪くなかったです。
でも一度観たら満足かな。
内容自体は先程も書いた通り悪くない、でもダンスができて(「踊れる」以上のものがあることが前提)この話を演じ切れる力がある人が劇団内にいない(見つかっていないの?)のだろうなと感じました。
ほとんど台詞がない「コンタクト」以上に踊っている印象があり、またかなりの演技力が要求される。
特に色気と苦みを感じさせる大人な俳優が足りないんだな。
そして劇場が大きすぎるなと感じました。
自由劇場くらいがいちばんはまる小品だと思います。
主役のジェリーはこの回は松島さん。
松島さんだからこそなんとか舞台を成り立たせていたかと思われます。
一見デリカシーがなく嫌な奴としか思えないジェリーになぜ2人の女性が惹かれたのか、という点においてはうまく演じていたと思う。
ただ、キャラは違うなと。
ぱっと思いつく限りいちばんはまるのは永野さんだなと思いました。
ヒロインのリズはファーストの方の石橋さん。
彼女は初見でした。
ダンスはさすがに目を惹く、ただ3人の男性が惹かれる魅力は感じられなかった。
3人たちからは何度も彼女を「ミステリアス」と評す言葉が出てきましたが、マイロの方がよっぽど謎めいていて魅力的でした。
小柄なのもあるけれど大人の女性に見えなかった。
いちばん巧かったのはマイロ役の愛ちゃんだと思います。
エスメラルダ同様美南ちゃんとダブルですが、これくらい演技が出来る人が今足りていないんでしょうねと思った。
アンリの唯くんは無難かな、でもこの役がいちばんおいしいのでもっと魅力的にできる役だと思います。
うーんと思ったのはアダムの洋くん。
狂言回しの役も兼ねていてかなり重要な役だと思うのですが、なんといっても深みがない。
一幕はそこまで感じなかったのですが、二幕からそれぞれの登場人物が戦争の傷(肉体的にも精神的にも)を抱えていることがわかってくるのですがそれが全然感じられない。
その部分で言えば他の人達もなんだけど、アダムは特にそれを感じさせないといけない役なんだと思います。
色々良くないことばかり挙げていたので、良かったことを言えばやはりいちばんの売りであるダンスは素晴らしかったです。
色んなタイプのダンスが観られて見応えありました。
また、場面転換がしゃれていて素敵だった。
そんな横浜の夜でありました(雑なまとめw)。