完売でした。

 

「おっさんずラブ」ですっかり田中圭くんにはまってしまった私。
オンエア中にちょうどこの舞台の先行があったのでチケット購入しました。
ドラマが終わってからあれよあれよという間に完売してチケット増やせなかったのでこの1回のみ。

映画「ザ・プロデューサー」を元に舞台化された作品。
ハリウッドを舞台にパワハラプロデューサー・バディの元に脚本家を夢見るガイが新人アシスタントとして働き始める。
そこへ自分の作品をガイに売り込もうとやってくる映画プロデューサー・ドーンと恋におちるガイ。
それぞれの野望・人間関係はどうなるのかというあらすじ。
キャストは7人ですが、実質3人芝居でした。

先に映画のあらすじをちらっと予習していたのでラストは知っていました。
ラストを知りながら観ていたにもかかわらず思った以上に後味悪いです。
汚い言葉でいうと胸糞悪いラストです。

やはりこれは自分が女だからだろうと思います。
元々20年以上前の映画が原作なので古いところもあるけれど結局は男女同権じゃないというのが全編に流れていました。
そしてこの舞台自体作ったのは男だなという、女は記号にすぎない。
女性演出家ならもっと違った後味(もっと男に残酷な結末をもたらしたのではないか)を残したのではないかと感じました。
なんとなく男3人(哲司さん・圭くん・千葉さん)と野波さんとでこの作品の解釈が違うようなちぐはぐな感じをうけたのもそう感じた理由。
そのちぐはぐさが終わってからもじわじわときていて結局タイトルのサメとはなんだったんだろうと頭に残る。
こういうもやもやは嫌いではない。

騙し合いの舞台、みんな嘘つきの舞台だがいちばん正直だったのはドーンだったのではないかと思った。
だからこそあのラストだったのではないかと。
そして圭くんがプログラムで語っている通りいちばん腹黒だったのはガイではないかと思いました。

また、緩急のつけかたが独特だと思った。これは演出故か役者故なのか。
緊迫感があるのに笑いを誘う(しかも流れを壊さない笑い)のが面白いなと思いました。
2幕の赤と青の照明も好き。
というか2幕は息つく暇ないくらいだったが、1幕序盤の電話のくだりは冗長だったな。あそこもう少し短くできなかったんだろうか。

音楽も印象的。1幕頭と2幕途中でヴィヴァルディの「冬」。
2幕頭は「SingSingSing」から始まりジャズが効果的に使われています。

ゼンマイ仕掛けのオモチャはバタバタしているのがハリウッドで抗っている姿の象徴か、操られているのは誰なのか。
そして最後だけテーブルからオモチャが落ちるのも。
(ネタバレのこと考慮していません)

さて、お目当ての田中圭くんですが。

ケイタナカいたもん(トトロかw)!

実在するんですね(当たり前)。
とはいうものの生の田中圭くんは当たり前ながら「田中圭」であることを忘れてしまうくらい「ガイ」でした。
「ガイ」という人物が生きていた。
最初はピュアで無邪気な感じなのが段々と揉まれていく様がスーツの着こなしだけでも表現されていてすごいなと。
だが、最初からバックボーンが謎な部分があって(バディとの対峙シーンでも自分の過去について言いよどむところがあったりした)、
単純に無邪気なだけではないという闇も感じさせられるのは圭くんの演技プランか?
それは圭くん自身の真正直でピュアな部分と、演技では同世代の俳優には負けないという強烈な自負を持っている部分にも通じるところがありました。
1幕と2幕で雰囲気がガラッと変わっていてすごい。1幕が少年のようだったのが2幕で急に大人になっていました。
狂気のスイッチ入ってからゾクゾクきた。イッちゃってる田中圭生で見られて満足。

田中哲司さんも生でははじめましてでした。迫力がある怖さだけど怖さ一辺倒ではなく可愛さもあり魅力的でした。
また違う舞台でも拝見したい。
W田中の丁々発止なバトルがいちばんの見どころでありいちばん堪能しました。

で、芸文先行で取ったので最前ではないけれどまあまあ前の方だったため目の前で感じる色香とスタイルの良さにクラクラしました。
ちなみにガムテープのにおいもわかるくらい近かった(あのにおい嫌いやねんw)。

もう1回くらい観たかったな。