フライヤーを見て気になっていた作品ですが、東京公演での評判を聞いてチケットを取りました。
森新太郎さんが演出だというのも決め手となりました。

あらすじは、
164人乗りの飛行機がハイジャックされた。
テロリストの目的は7万人を収容するスタジアム。
飛行機を追う空軍機のパイロットが下した決断とは、というもの。

パイロットが7万人を救うために撃墜して164人を犠牲にした。
それは有罪か無罪か、それを観客(参審員)の評決で決めるという観客参加型。
つまりその日によってエンディングが違うというものでした。
この回の結果は有罪311無罪331、20票差という僅差で無罪となりました。
発表された時の観客のどよめきがすごかった。

完全に客席を暗くせず、時には明るいままで舞台を進行させることによって観客も当事者であるかのような演出が見事。
気づけば暗くなっている時もあるし、徐々に明るくしたりという照明の効果。
そしてキャストバランスが絶妙、少し検察官(神野さん)が情に訴えるタイプだったのが気になったが。
橋爪さんや今井さんなどそうそうたるメンバーの中、被告役である松下くんの信念を貫く様が堂々としていて見応えがあった。

さて、私は観る前からも観た後からも結論は決まっていたのですが今回の結果とは逆の「有罪」に票を入れました。
理由は人間は神ではないということ。164人と7万人を天秤にかけたから罪であるというわけではなく、164人の命を勝手に絶ったという傲慢さを感じたからです。
でも本当にこの結果が最良であったのかどうか私にはわからない。

諸外国の公演では圧倒的に「無罪」が多いというのも興味深い結果です。