11月5日に千穐楽を迎えました「はみだしっ子」4公演観に行ってきました。
トリプルチーム制で内訳は11月3日(金)マチネTRKチーム、ソワレBUSチームと11月4日(土)マチネTRKチーム、ソワレTBCチームです。
今回感想はチームごとではなく全体にまとめます。

原作はタイトルだけは知っていたものの1975年連載ということもあって世代ではないため今回初めて読みました。
作者が亡くなっていたことも今回初めて知りました。
普段他の舞台では予習しないで行く派なのですがこの劇団に限っては特に漫画が原作という場合は予習をする派。
文庫版6冊で私は比較的読むのは早い方ですがまあ進まない(笑)。
何が進まないってものすごい文字量なのです、小説を読むより文字が多かったかもしれない。
多感な思春期の時代にリアルタイムで読んだ方にとってはこれはものすごい影響受ける作品だろうと感じました。
それくらい魂を削って描いたのだろうというのが伝わってくる。

しかし、この長い原作のどこを切り取るのかと思っていました。
普通雪山のシーンがクライマックスなので(というかこれ以降の話全編ここがキーなので)ここを入れるだろうに、敢えて序盤に絞ったというのが非凡だと感じた。
だからこそこのキャスティングだったのかなとも感じた。
終盤までやるとしたらこのキャストではなかったのではないかと思う。

最後まで読んだらこのグレアム役って芳樹さんしか考えられないんですよね。
おそらく同じことを考える方は多数でしょうが。
ただ、雪山までの話だったらと考えるとグレアム3人全員オスカー役者だったのも納得。

前述通りトリプルチームでそれぞれ色が違っていて面白い。
TRKがベテラン・中堅・若手、TBCが中堅・若手、BUSが若手といったそれぞれの実際の関係性などが如実にあらわているというのもまた珍しいのではないかと。
どれが好きかと考えてみても甲乙つけがたくそれぞれ魅力的な仕上がりでした。
ただ、どのチームをリピートしたいかと考えたらやはりTRKかな。

TBCチームがいちばんバランスが取れていて見やすいチームでした。
続編をやるならどのチームが適しているかと考えたらこのチームだと思います。
いちばん危うさをもっているグレアムと彼をひやひやしながらも見守るアンジ―という関係性がいちばん原作に近い。

BUSチームはほぼ同期だけの座組ということで先輩たちではなく自分たちが話を引っ張って行かなければいけないという団結力がいちばん見えたチームです。
そこが子供たちが支え合いながら生きているという設定とぴったり合う。
また、ビジュアルがいちばんはまっていてその点では見やすい。

で、TRKチームは見やすいというのではなくてどう転がっていくのかわからないという危うさがあって逆にいちばん「子供」を感じたチームです。
まあ、アンジ―を筆頭にね(笑)。
やはり技量とそして舞台を魅せる力というのがいちばん長けているチームでした。
笑わせるところは笑わせ、締めるところは締めるという緩急の良さ。
かもめの丸焼き部分だけでも笑わせるアンジ―もさすがですが、アンジ―以外でも他のチームでは特に笑い取ってないところで笑わせている。

2公演観て2公演ともこのチームだけ笑いを取っていたのは、
・レディローズと言い争って出ていくアンジ―を追いかけるサーニンとマックス、そして一歩遅れて「行ってきます」というグレアム。
・グレアムと鳥さんのお墓で言い争った後先に戻ってきたマックスがグレアムに向かって「どこ行ってたんだよー」というところ。
・アンジ―に言われてエイダのことを調べたサーニンがアンジ―にメモを見せるところ(サーニンは素直に見せないし、アンジ―は素直に読まない)。

そして締めるところといえばグレアムとアンジ―の独白部分で観客を惹きこませる力はやはりこのチームが上。

印象は三者三様でも原作に真摯に取り組む姿勢は同じであり、本質は同じであるという点においてこの劇団の魅力があると思います。

あと印象的だったのはシンプルな舞台美術。
最近乘峯さんがほとんど手がけるようになってから非常にシンプルな作り。
階段と下手にぽつんとたっている街灯のみ。

階段の中段部分と下段部分で芝居を繰り広げることによって時間の流れやシーンの変化を作り出しているところが面白かったです。

ではキャスト感想は後日。