いつもでしたら複数チームを観るのですが今回は日程(と体力w)の都合で本命チーム1チームのみ観劇。
「卒塔婆小町」といえば美輪さんがライフワークのようにやっている作品だなというふわっとした知識しかないので、ふわっとした感想で失礼。
まず思ったのは三島は難しいなということ。
しかし、この美しい世界観は倉田ワールドならではだなということ。
前後に伸びた花道を囲むようなコの字になった客席。
これはいつものサンモールではできない。
まるで能舞台のようでした。
ちなみに私は1公演しか取っていないので正面側からの席だったのですが、複数公演の方は正面・横と色んな角度で観られるようなチケット配分だったようですね。
横からだとどんな感じだったんだろう。
「卒塔婆小町」の前にオリジナル作品「深草少将の恋」が約20分、本編が約1時間という短さでしたが内容は濃かったです。
「深草少将の恋」は若手中心(というか若手以外他の出演者は芳樹さんだけ)で若手公演のようでした。
「卒塔婆小町」の導入部分ということで和歌と歌で彩る音楽劇のような作品。
背景を説明するにはとっつきやすくわかりやすかったのですがもう少し短くても良かったと思うのはやはり技術がついていけてないからか。
歌は良かったのですが台詞と和歌が拙くて気になった。
スモポピやデイジーはその拙さがまた味となって良かったのですが、こういう作品はもう少し技巧が必要。
きっと強化プログラムなんだろうなと劇団ファンとしては思うのですが初めての方が観たらどうだろう。
技量の差を感じました、やはり宇佐見くんが頭一つ抜けていた。
あとフレッシュの子たちは慣れていますね、巧かった。
これを巧すぎる人たちがやってもまた違和感なのでしょうから難しいところ。
ただし、歌は本当に良かったです。
オリジナル曲自体素敵だったし、センター千葉くんを中心としたユニゾンが綺麗。
そろそろシェークスピアの音楽劇再演あってもいいんじゃないかなと思いました。
芳樹さんは最初と最後に普通の青年の恰好でギター弾いて歌ってました。
次に老婆の役が控えているため女役のメイクなのがなんとも艶めかしかった(笑)。
さて本編。
思った以上に山本芳樹オンステージだった。
というかオープニングでいきなりギター持って登場の「深草~」からそうなだけど。
今年の演目の中でいちばん芳樹さんを堪能できる作品だったように思います。
色んな引き出しを持っているなと改めて感嘆した。
どうしても三島の文体で台詞を話すととってつけたものになると思うのですが違和感なく自然な台詞回し。
正直もう少し芝居くさくなるのではと思っていたのでいい意味で裏切ってくれました。
また、小町から老婆への変化がスムーズ。
どこからどこまで現実か夢想なのかというあやふやさがありながらもはっきりと老婆へ戻っている区切りが明確。
綺麗なドレスがボロ布に見えて、またラストではボロ布を纏っているのに綺麗なドレスに見える。
「美しかった」ではなく今も「美しい」、「醜い美人なんだ」というところに説得力がある。
そりゃ詩人も惑うわ(笑)。
詩人の関戸さんはかなり苦闘しているように感じました。
その苦闘している様に危うい色気があったように思います。
段々老婆が美しく見えてくる、堕ちていく様を丁寧に演じていました。
ああ、1回しか観てないからやっぱりふわっとしたことしか書けない。
複数回観たかったし、別チームも観たかったな。
ふと思ったのは今回「百年目のラブレター」の時とは反対の取り残される側だったなと。
老婆と詩人は100年経ってまた出会うんだろうけど。
どうでもいいことですが、ワルツの時に一人背中反らしすぎという芳樹さんが好きです(笑)。
もう一つどうでもいいことですが、鹿鳴館シーンで仮面舞踏会の曲流れると私の脳内では真央ちゃんが滑っている(スケート脳w)。