いい大人(最年長57才)が5才児を演じる・・・
これだけ聞くとイロモノかと思うが非常にまっとうな舞台でした。
小さな子供から見た世界から実際の世界へと考えを及ぼすことができる、
ある意味ディズニーランドの「イッツアスモールワールド」を彷彿させる。
ノイとレップのパートがいちばん重いけれど、さりげなく流されているマリアのパートも実は重い。
大人の事情で子供たちの生活は変わってしまうんだなということ。
また、テオが家の車が三菱コルトだと再三自慢しているところでは日本がその頃どんどん海外進出していた時代なんだということがわかる。
それはさておき、他の人に対して思いやりと敬意を持ちましょうということを押しつけがませることなく気づかせてくれるとても温かい舞台でした。
子供の無垢さと無垢さゆえの残酷さもちゃんと描いていてあるある、こういうことあったなと思い出させてくれる舞台でもありました。
観ている時は単純に大笑いしたりパワーに圧倒されたりしているんですけどね。
そして気づかぬうちに泣いているという。
子供たちのなんということもない日常を描いていながら底には人種・宗教・移民問題など色んな問題が流れているところが深い。
非常に演劇的で、劇団ならではの仕上がりだと思う。
これはプロデュース公演ではできない味。
盆が回ることによってシーンが次々変わるというテンポのよさ、そしてその盆は役者たち自身が手動でまわしている(笑)。
盆の下にはステージシートのように出番がない役者が控えていてシーンに関係ない役者は普通に観客と同じく反応しているというのがいつもと違ったところでした。
それ故に役者同士の一体感、観客との一体感をより感じることができる。
今まで観た演目の中でいちばんチームごとの印象が変わらなかったのはなぜかと思うとこの空気感なのかもしれません。
全員野球という言葉がぴったりだった。
役者の個性はチームでそれぞれ違うのですがいい意味で個の強さがなかったからか。
あとはテオパパ、クリントママ、ノイの3人(保護者役)がシングルキャストだったことも印象が変わらなかった理由にも思えました。
3人ともいい味出していた、牧島さんのテオパパは本当にテオにメロメロだったし、仲原さんのクリントママもところどころ男っぽくてでもクリントには愛情たっぷりで。
「絵本持ってきな」というところなんて最高にかっこいい。
若林くんのノイも良かったなあ、観る度に巧くなってるなあという成長ぶりを感じます。
日本語の台詞は皆無だったのにレップへの愛情がひしひしと伝わる。
ノイはいくつの設定なんだろう?ノイも学校へ行かなくていいの?という疑問はありましたが。
コアラ→カンガルーの順で観たのですが、コアラの方が泣けてカンガルーの方が笑えたかな。
コアラの方が初見だったからというのもあるけれど。
レップが丁寧にお母さんの服を扱っているところは最初何をしているんだろう?とわからなくて、段々わかってくると涙が止まらなくなった。
今回宇佐見くんがいちばん印象に残りました。
もっと大きい役がまわってきたらいいのにと常々思っていたけれどもこれからのラインナップでは段々大きい役がまわってきているので期待しています。
松本さんも本当に健気なレップだったけれど若林くんと並ぶとやはり松本さんの方がお姉さんに見えるし、どちらかというとレップが求めていることにいち早く気づいてくれるトゥアンの方が印象的でした。
あとは妙にセクシーなテオママ(笑)。
テオは2人ともでかいなあ(笑)。
そのでかさで「パパーパパーみんな助けてくれなーい」「みんなお前が大きいからびっくりしているんだよ」がかなり笑えたしw
でも段々5才児に見えてくるのが不思議。
しかし、大人と子供の演じ分けが見事でした。
船戸校長先生は多少胡散臭かったけれど(笑)。
元気いっぱい(あのテンション保つの大変だったろうな)な悪がきと温かく見守る校長先生への切り替えがスムーズでした。
クリントくんは芳樹さんも大さんもマザコンな5才児可愛かった。
やる前から可愛いのは知っている(笑)。
意外に芳樹さんの方がストレートに演じていたように思います、例のシーンを除けばwww
例のシーンとはご覧になった方にはわかるでしょうがえっとまあトイレを我慢しているシーンですね。
観客よりも盆の下の役者を笑わせようと必死になっているんじゃないか疑惑(笑)。
牧島さんが本気で笑っていて、ポーカーフェイスなイメージの緒方さんまで笑ってた。
大さんはママとエディがキスをしていたという再現するところで「いいだろいいだろ:と大人の声色になっていたのがおかしかった(笑)。
そこは芳樹さん特に声色変えてなかったような・・・。
DJももっと遊ぶかと思ったらそうでもなく(千秋楽では遊び入ったみたいですがw)、カンボジア通訳は本当に普通に優しくていい人でつぼでした。
本公演で普通の人の役を初めて見たような気がする(普通の役でも普通にやらないからw)。
ウォルシュ先生・マリアはそれぞれ期の違い(先輩の方が上)を感じました。
緒方さんのウォルシュ先生も良かったけれど愛情たっぷりでしかも絵心がおかしすぎる関戸さんの方が良かったし、
江口くんのマリアも可愛かったけれど緒方マリアの間合い(関戸ウォルシュ先生の真似が秀逸)やツンデレぶりはやはり年の功という感じがした。
しかし江口くんのキャシーは色気ありすぎて船戸校長先生と何かあるのではないかと思わせるくらいであったw
57才の5才児はさすがにつらかった(藤原さんw)。
でもこんな意地悪な子いるいる。
あえて子供の声色を使ってなかったのかな。
意地悪なんだけど、ウォルシュ先生に「上手にできたわね」と褒められるとものすごく嬉しそうにしたのが可愛かったので本当は素直な子なんだろうな。
これから仲良くなったらいいのになと思わせました。
千葉くんの双子の兄弟も可愛かったけれど、オープニングでの盆回る中の激しいブレイクダンスがすごーいと思いながら観てました。
運動神経すごいなあ、段々激しくなっていってたし。
吉成くんの役はどの役も(係員は違うが)意外にこの芝居を締めるパートを担っていたように思います。
ベトナム娘が良く似合っていて可愛かった。
そしてジョーカーの存在意義を教えてください(笑)。
いいアクセントにはなったと思うのですがこの役はオリジナル?原作にもあるの?
突然日本のpoetが出てくるの何?って思った。
複数回見たらわかったんだろうか?面白かったけれど。
ネタはどこまでアドリブなのかと思っていたのですが意外にほぼ同じなのですね。
「イルカ」の部分は芳樹さんが「皆さんご一緒に」って声かけていたくらいだし。
(笠原さんが「意外にみんなわかってなかったみたいだよー」とはける時に言ってたw)。
明らかに日替わりだったのが「今日はMr.アキラのバースデーなんだよー」と笠原さんがぶっこんできたところ(笑)。
「写真をいっぱい撮ったんだけど最初にとったものはなーんだ?」「年!」とあっさり芳樹さん正解。
続いて「今思いついたんだけどさー」と芳樹さん。
「Mr.アキラが誕生日パーティーに向かうために乗った乗り物は?」
正解はバス。バースでー。
くだらなーい。
(エレベーターはくだらなーいw)
ジョーカーズは大さん・船戸さんペアの方が動きがスピーディーで迫力ありましたけどね。
笠原さん・芳樹さんペアはまったりしてた(笑)。
誰一人悪い人がいないというのも珍しい作品ではないかとも思いました(シェーンも本当はいい子だと思うし)。
大人と子供を同じ役者が同時に演じるという妙、そしてこの劇団の場合性別も超えるというところがこの脚本にぴったりはまったのではないかと思います