「大いなる遺産」楽日と前楽日を観に行きました。
結局のところ、昨年2公演今回3公演の合計5公演。内、Sチーム2公演、Bチーム3公演観劇。
基本的にそんなにリピートしない人なのですが、こんな短期間に詰め詰めで観たのは京都マンマ以来かもしれない(マンマの場合最後の方はアドリブ何するのかだけを楽しみに行ってた・笑)。
間を空けてじっくり味わいたかったのですが、遠征組だとどうしても詰め詰めでしか観られない。
土曜日はマチソワで合計4時間半なため(ソワレは舞台挨拶あったからもっとか)、おかげで身体バキバキになりました(笑)。
30周年第一弾ということでベテラン中堅若手がバランスよく配置されて深みがあるいい舞台であったと思います。
正直申し上げますと、私の涙腺を刺激する舞台ではありませんでした。
客席からすすり泣きが起きる中なぜ私は泣けないのだろうと思ってた。
涙腺スイッチが入ったら止まらなくなる時もあるので私の涙腺スイッチがいまいち自分でもよくわからない(笑)。
ただ、終わってからの方がじわじわくる舞台であったように思います。
2週間ぶりに見てベテラン組は最初から安定していたけれど、中堅若手組の成長ぶりが著しくて驚きました。
久保くんの舞台挨拶にもあった通り、本番に入ってから段々深めていったのではないかと思います。
きっとこの作品は劇団の代表作になるのではないかと思いますが、まだまだ発展途上な感はうけました。
千秋楽でもまだ完成はしていなかった、その熟してなさがまた良かったのですが再演でますます深めて欲しいなと思った次第です。
そして「あなた達はいつでもぼくの胸の中にある」というキャッチコピー。
これはピップとエステラの中にはハヴィシャムやマグウィッチ、ミセス・ジョーなど死者たちもずっといて共に生きていくのだ、ということを藤原さんの舞台挨拶でも気づかされました。
「この公演は追悼公演としていましたが共に生きる、共生公演であることに訂正いたします」という言葉に。
きっと河内さんも劇場にいらっしゃったんだろうなと思いました。
この演目が本当にこの劇団の第一歩であって良かった。
めぐりあわせというものをすごく感じました。
全く余談ではありますが、OPの曲はフォロワーさんから教えていただきましたがSecret Gardenのもの。
他のシーンでも色々使われています。
で、髙橋大輔ファンとしましてはSecret Gardenといえば「ノクターン」なのです。
この曲はトリノ五輪シーズン前やさぐれていて(笑)、成績も落ちてスケートへの情熱もなくなっていた時にこの曲に出会い自らEXのプログラムを振付して立ち直ったというエピソードがあります。
だから私の中ではSecret Gardenといえば「再生」というイメージ。
今回の曲が作られた背景はどうなのかは調べていませんが、この舞台のテーマにあっていたんではないかなと勝手に思っています。
また、前回も書きましたが舞台美術が本当に美しい。
実はほとんど今回前方席で土曜日ソワレのみ後方だったんですけど、後方から観るとまた奥行きがあって美しかったです。
四季みたいにバクステあったらいいのになあって終わってから話してました。
ウェディングケーキや花などの小道具を間近で観たいし、あの八百屋舞台の傾斜がどれくらいなのか体験してみたい。
さて、再観劇する前に原作を再読いたしました。
人物造形からしても原作の世界に忠実なのはSチームでした。
そしてBチームが好きなのは原作とはまた違った、あの醸し出す空気が好きなんだろうな。
と思いながらも今回観た中でいちばん心に響いたのはSチーム千秋楽でした。
そしてこの舞台でやはりいちばんのキーはエステラだと思った。
それ程青木エステラが圧巻だった。
彼の演技は「すごくいい」というところと「うーん」というところと結構はっきりわかれるところがあるんですが、今回は「うーん」が気にならないくらい「すごくいい」。
「私には心がないのよ」という叫び、そしてラストで差し出されたピップの手をためらいがちにそっと取るところなど本当にぐっときました。
以前観た時よりも抑え目だったのも効いていたんじゃないかと思います。
今回Bチームを2回(まあこれは贔屓本役だから多めにとったのよね)観たのですが、土曜日マチネではクロッシングの影響をとても感じました。
なんだかまた違った景色に見えた。
ただ、日曜日の千秋楽ではまた違っていた。
つまりは久保くんが前日より良くなっていた。
この戯曲は原作からかなり枝葉を落としていてカットしているのでダイジェスト版のようになっているところが多々あるのですが、エステラの部分はかなり丁寧に描いている。
だからこそエステラがいちばんキーなのかなと思うのです。
なんとなく青木エステラの方が未来に光があるような気がするのは、青木さんの方が少女から大人への演技わけがはっきりしているからかなとも思う。久保エステラの方はまだ「さまよっている」感じ。
これは相手のハヴィシャムの影響も大きいと思うけれど。
原作といちばん違うのはラストでエステラが「女の子をひきとって育てる」というところですね。
その女の子がエステラにとって「希望」となるのかどうかっていうのが両エステラではなんとなく全然違うような気がする。
ピップとの未来も違うような気がする。
エステラばかり書いていますがヤングピップも2週間前と変わっていたように思います。
松本さんの方は淡々としていたのが少しウエッティになって良くなっていた。
そして関戸さんは深みを増していたように思います。
関戸さんの芝居好きだなあ、痴漢含めて(含めるな、危険w)。
色々好きなシーンはあるのですが、ラストシーンを別とすると、ピップが旅立つときにジョーにハグしようと両手を広げるもジョーが黙って片手を差し伸べるので引っ込めて握手するシーンがいつ観てもぐっとくる。ジョーの哀しみがとても伝わってくる。
その後旅立つ時に佇む大人ピップにいっぱいの光がさすところが美しくて好きですね。
最後にジャガーズにつめ寄る時にヤングピップとアダルトピップが交互にセリフを言うという演出も、ここから子供から大人に変わっていくんだというのが見えて面白いと思いました。
そして本命のハヴィシャムさんについて。
まずは舞台セットで上手と下手の額縁ですが、ハヴィシャムさん側の下手の額縁の方だけゆがんでいるのは何か意味があるのかなとずっと考えていた。
ゆがめられたまま時が止まってしまったのかなとも。
それから額縁の向こうで座っている時、芳樹さんは真横向いているけど、てつさんは若干斜め前に向いているのもそれぞれ演技プランの違いなのかなと気になっていた。
芳樹さんのハヴィシャムは本当に時が止まってしまっているけれど、てつさんのハヴィシャムは時は動いているのかなとも。
ピップが歌う時に芳樹さんは一緒に歌っているけどてつさんは歌っていなかったり、エステラの独白の時に芳樹さんだけ踊ったりしているのは単にオリジナルなのかなとも思っているが(笑)。
楽での「ジャガーズ!!時計を止めて!」の叫びは圧巻でした。本当にあれから時が止まってしまったんだなと思った。
だからあのエステラができあがったんだと思います。
美しくて気高い、そして本当は愛を誰よりも欲した切なくて儚い貴婦人でした。
あの人は今も彷徨うのかしら。
で、裏役の方書きましょうか。ええ、書きましょう(笑)。
Sチーム千秋楽は本当に皆さん熱演でいい舞台でした。
なーのーでー
使用人は倉田さんに散々怒られるといいよ(笑)。
ハーバートがパンパンと手を叩いて一拍二拍くらいで使用人登場の筈があれれ出てこないと思ったら小走りでつまずいた(笑)。
あれ、つまずいていなかったらそういうタイミングなのかなと気づかれないくらいだったと思いますが、すでにこの時点で相手の藤波くんが壊れた(笑)。
台詞はとぶわ、笑いがこらえられないわで大変w
しかも顔芸がとんでもなくひどすぎてひどかった(日本語おかしい)。
ジャムのくだりでは本気で「なんだったっけ?」になっていてリアルすぎたwww
関戸さんが困ってしまって目で助けを呼んでいたと舞台挨拶で言ってましたが誰よりも助けが必要だったのは藤波くんの方だったと思う(笑)。
(関戸さんは笑いをこらえながらもなんとかこなしていたので)
とにかくこのシーンがあまりにもカオスすぎて腹筋痛すぎwww
というわけで舞台挨拶ではさんざんネタにされてしまっていた。
まずは藤波くんが「なんであんな使用人を雇ってしまったんでしょうね」と。
本日をもって解雇となりました(笑)。
そして関戸さんも「レッドブル飲んで俺翼が生えたとか言ってたのですがこういうことだったのか」と。
「そのまま飛んでっちゃえば良かったのに」とまで言われる始末www
それを言われている隣では上着パタパタしていているし(可愛かったけど←甘い!)。
ご本人の挨拶は「クビになったのでこれから新しい職を探します」だった。ひどい、ひどすぎるw
最後の笠原さんの挨拶でも「このチームでやれるのが最後だなとかみしめながらやってたらよっちゃんがアレで逆に落ち着いた」というようなことをおっしゃったので、そこで「全部あんたのことばっかりや」と奥田さんにつっこまれているのがおかしくてたまらんかった。
本当にうちの使用人が申し訳ありません(笑)。
使用人ネタ以外で印象に残ったのは、及川さんが久しぶりの男役で恥ずかしかった、明日はホームグランドの女役で頑張りますという挨拶で総つっこみ(笑)。
こっちがホームグランドでしょう?というようなことを笠原さんがつっこんでました。
あとは青木さんがピップは大人と子供2人でやるからエステラも子供時代は千葉ちゃんがやると思っていた。一代記で朝ドラみたい(げしさんって自分で言ってた)で得るものが大きかったというようなことを語ってたかな。
関ちゃんと浩夫ちゃんとてつさんとで一緒にやれてよかった、出し尽くしましたというような挨拶だったのが印象的でした。
その前のマチネは舞台挨拶はなかったのですがカテコで印象的だったこと一つ。
芳樹さんのドレスの裾が乱れていたのをさっと直した及川さんが非常にお母さんぽかった(笑)。
大千秋楽の舞台挨拶。
個人的には奥田さんの挨拶にぐっときました。
いい作品いい役に出会えて幸せだった、久しぶりに本公演に出られて嬉しかったというようなことをしみじみ語っていました。
この部分は全く笑いなしで。
しかし、久保くんのグダグダ挨拶には「お前、下手やなあ」と容赦なくつっこみ(笑)。
それから松本さんが言ってた、名前を言うのは恥ずかしいけれどすごい役者と同じ舞台に立っていることが幸せでたまらなかったという人はやはり奥田さんだと思います。
あえて言うということはそうかなと。
DVDでは観ていたけれど今回初めて生で奥田さんの芝居を観ましたが、あまりにも自然で芝居なのかどうなのかわからない、芝居を超越したものを感じました。
本当にあれは天性のものではないかと思います。
普段のキャラは別として(笑)。
芳樹さんはこの日はとても真摯にお客様への感謝を述べていました。
なので笠原さんに「今日のよっちゃんは珍しく真面目に挨拶して・・・」と言われていた(笑)。
関戸さんの「踊ったり着替えさせたりチカンしていたりしていた関戸博一です」とか、青木さんの「こうやってお辞儀をした時に隣(船戸さん)のパンプス見てでかっと思ってました」とか、言われた船戸さんの「久しぶりの女役で皆さんからはでかいという感想が多かったですが、可愛いとおっしゃっていただいたマイノリティの方ありがとうございます」も面白かったんですが、なんといっても。
山﨑さんの「あらいぐまラスカルをやりました・・・」に大爆笑。
そうだよね、いつも手を洗ってるもんね(笑)。
おそらく本人が想像した以上にうけたのか収拾つかなくなっていた。
ジャガーズさんの威厳まるでなしw
そして前述通り、この公演は河内さんの追悼公演ではなくて共生公演ですという藤原さんの挨拶が心に沁みました。
隣にいてますからという言葉がまた心に沁みる。
そして次回「夏夜」の宣伝。
藤原さん曰く、見どころは笠原さんの「ピップ」(言い間違えて総つっこみ受けてどっちも同じようなもんだと開き直りw)と山﨑さんがエロイのと、シスビーのJr.1対決らしい。
なぜそこ(笑)?マニアックじゃないかと。
名前を呼ばれた芳樹さんも「へっ?」っていう顔をしていた(笑)。
最後に自分ばかり話すのもあれだからと「うちの副総長沖田総司・・・石飛幸治です」と藤原さん。
「それ言いたかっただけでしょう?そんなところばかり河内さんに似て」と照れている石飛さんが可愛かった。
船戸さんが「沖田総司って副総長だったっけ?」というようなつっこみ(多分)を周りにしていたのがおかしかった(笑)。
「夏夜」についてと次のイヴェントについて。
ドンキホーテの冒険と井戸のほとり観たくなったんだけど、無理だよその日程・・・。
最後にいつものように「ありがとうございましたー」と締めで終わりでした。
藤原さんもおっしゃる通りスケジュールパンパンで「今年は休む暇がない」です(笑)。