ゆく年くる年 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

あと数時間で今年も終わり。

そろそろお傍でも食べようかと準備を始めた時――。


ピンポーン。


突如鳴ったインターフォンに動きが止まる。


こんな時間に誰だろう?


女の一人暮らしにはだいぶ慣れたけど、やはり夜の訪問者には警戒してしまう。

おそるおそるモニター覗くと、そこには見慣れた顔が映っていた。


急いで玄関に向かい扉を開ける。


「アポなしですまんな」

「白石。どうしたの?」

「蕎麦、一緒に食おうと思って」


白石は右手に持ったビニール袋を軽く持ち上げた。

たぶんお蕎麦が入っているのだろう。


「あ、もう食った‥‥とか?」

「まだだけど」

「そらよかった。ほな上がらせて貰うわな」


白石が靴を脱いで部屋の中へと入っていく。


学生時代からの友達で、気兼ねしない仲ではあるけど‥‥。

白石が一人で子の部屋に来た事なんてなかったから、ちょっとだけ戸惑ってしまう。


「ねぇ、お蕎麦食べるためにわざわざうちまで来たの?」

「ん~まあ、そんなとこやな」

「こんな寒い中出かけなくても、家で食べればいいじゃん」 

「一人で食うなんて味気ないやん」

「なら、謙也とかでも誘えばいいんじゃないの?」


キッチンに立つ白石が、少し困ったような顔を向けてきた。


「わからんかな~」

「なにが?」

「そんなん、お前と一緒に過ごす口実に決まってるやん」

「‥‥」


思わぬ返事に言葉が詰まる。


これって、冗談‥‥とかじゃないよね?


黙り込んだ私の頭を、白石がポンポンと優しく撫でた。

今までも何度かされたことがあるはずなのに、心臓が大きく跳ね上がる。


「とりあえず、傍食わん?」

「あ、うん‥‥」

「さっきの話の続きは、その後でな」

「‥‥ッ」


これは、穏やかじゃない年越しになりそうだな。


そんな予感を感じつつ、お蕎麦の出来上がりを待つのだった――。


*****


もうすぐ今年も終わりますね。

皆さんどんな年末をお過ごしでしょうか。

なんだか今年は忙しいようでリア充な一年でした。


相変わらず放置状態のブログですが、お時間があれば遊びにいらしてください♪


雪萌