映画を巡る旅 -4ページ目

「天才の創りかた」川島隆太

息子の顔が浮かび思わず書店で手にとってしまった。最近流行の「百マス計算」や「音読」のすすめを最先端の脳科学の分野から説明したもの。近赤外線計測装置(よくテレビで見るたくさんの管のついた帽子)による脳活動の分析図がおもしろい。

音読、ドリル計算をやっている時に、何故かわからないが脳は驚くほど活発に動いている。やっぱり、読み書きそろばんなのか。

なお、前頭葉の発達は、0-3歳10歳以降の2段階で急速に発達する(脳科学、心理学などからの事実です)。とりあえず、低学年の小学生には読みと計算ドリルだけやらせておけば十分か?

あと、脳科学の観点からは、ゲーム脳はないそうです。本は買うまでもないですね。書店で最初のカラーの脳写真のページを見て、読み書き、そろばんと覚えてください。

「空中ブランコ」奥田英郎

直木賞受賞作です。強烈なキャラの精神科の伊良部医師と神経症の中年のブランコ乗りのお話です。伊良部医師のキャラは愛すべき存在で、コメディードラマになりそう。配役はパパイヤ鈴木が適役か?でも、何故、直木賞なのかわかりません。きっと中間管理職の精神的なジレンマを最初にリアルにコミカルに表現した小説だからか?きっと、若い人にはさらっと読めるんだろうけど、ちょっとブランコ乗りが痛々しくて、あまり好きにはなれないな。

「チルドレン」伊坂幸太郎

吉川英治文学新人賞作家の受賞第一作です。文学という感じではないけど、憎めないキャラの登場人物がいて、楽しい会話があって、じわっとくる心に残る台詞がります。読み終えて、少し幸せで、爽やかにしてくれる小説です。あと、2-3冊は伊坂作品を読みたくなりました。

キノベス2004

今日、紀伊國屋に行ったら、「キノベス2004」が小冊子になってつまれていました。紀伊國屋書店スタッフ800人が「自分で読んでみて面白いと思った本」のベスト30だそうです。単純なベストセールスと違いいい企画です。

ちなみに順位は、

第一位「ピクニック」恩田睦
第二位「チルドレン」保坂幸太郎
第三位「ダ・ビンチ・コード」ダン・ブラウン
第四位「空中ブランコ」奥田英郎

です。この手の企画に弱く、「ピクニック」、「チルドレン」、「空中ブランコ」お買い上げです。

Mr.インクレディブル

もうコメントするまでありませんよね。映画には、シネマエンターティメントがありますが、間違いなく、今年度No.1のエンターテイメントですね。風刺あり、ユーモアあり、パロディーあり。CGアニメとしては恐らく否のうちどころがないんじゃないかな。エンターテイメントもあそこまでいくと、芸術作品にも負けないクリエイティブさを感じます。CGの質感と音響を是非とも劇場で楽しんでください。DVDだと、きっと後悔しますよ。

2回見ても楽しめそうなので、今度は日本語版を見に行きます。後、マルセル・マルソーみたいなボン・ボワヤージュ、笑えますよね。日本人で遊ぶより、やっぱり、おフランスで笑った方が楽しいな・・・。

「天使の梯子」★★★★

村山由佳の「天使の梯子」。泪をデザインした透明感のある美しい表紙と「こんな美しい泪をこれまでしらない」という帯が気になる。「いま、会いにゆきます」のような美しい純愛の予感が・・・。仕事帰りに紀伊國屋で購入し、昨夜、読み始めたら止まらず、一気に読み終えてしまいました。

読書不足で村山由佳という作家をこれまで全く知らなかったが(またまた、世間知らず)、本当に自然な言葉で、登場人物の心理、風景を丹念に丁寧にリアルに描き込んでいて素晴らしい作品でした。もう10年位まじめに小説は読んでいなかたけれど、村上春樹の「ノルウェーの森」を読んだときのようにいい作品だなと感じました。絶対にお勧めです。

ただ、残念なのは、「天使の梯子」は、村山由佳の直木賞受賞代一作の「天使の卵」の続編だったのです。続編だったので、少し安易にストーリーの顛末がわかってしまうような種明かしがあったのか・・・。悔やまれるのは、この本で村山ファンになり、当然、第一作の「天使の卵」をこれから読むのですが、もうすでに、ストーリーを知ってしまっていること。何で本屋は、先ずは「天使の卵」を読みましょうと紹介してくれないのか(渋谷の紀伊國屋さん。平積みにして推薦するなら、それ位、配慮して)。

でも、作品は本当に良かった。ストリーには十分なサプライズがあって(続編でなければもっと良かったが)、ドラマ性があって、文章も大変に上手で、若い男の心理描写まで、とにかく感心しました。ただ、夏姫(主人公の恋人)が、信販会社で働いているのは、かなり違和感がありましたが・・・

「スカイキャプテン」

ちょっとオタクの映画かな。登場人物以外は全てCG作成ということで見に行った映画だったけど。アールデコイメージの昔のアメリカカーツーンを再現したという感じ。「ファイナルファンタジー」が人物までCGで描いて失敗したので、人物だけリアルにしたのか?

だけど、本当にアメリカ人は、ある意味、単純バカでクラッシックなストーリーが好きだなと。アールデコ時代にさかのぼるのは、女性が強くなくて、男が男でいられた時代に対する憧憬か?

でも、何でもありの映画だった。スタートこそは、セピア色の1940年代を再現と思いきや、実はマトリックスあり、ドクターモローあり、ジェラッシクパークあり、インディージョーンズあり、007あり、スターウォーズあり、うーん、サンダーバートもか?

7歳の息子も同じようなものが大好きで、つくづく、男はいくつになっても子供だなと痛感させられる映画です。何となく自分もラストのシーンは楽しんでしまいました。日本の男性がこの手の映画についていけないのは、やっぱり戦争に負けたせいかな?日本に格好いい軍人はいないし、日本人には理解できない感覚だろうな。

当然、女性には、全くお勧めしません。彼氏が見に行こうといっても断りましょう。

もうだいぶ古いですが「黄泉がえり」

遅ればせながら、DVDで「黄泉がえり」を観賞しました。ちょっと前まで日本映画にはほとんど興味なし。トム・クルーズの「ラストサムライ」を見て、外人にここまで撮らせるなと怒ってたくらいで、竹内結子さんありがとう。

さて、作品ですが、たくさん黄泉がええりの人々が出てくるのですが、サイドストリーの描きこみが不十分で(何かゴジラ映画のよう)、なかなか深い感動に結びつきません。最初から最後の結末に驚きがないまま流れていくようで。きっと、編集がダメな映画なんだろう。

ただ、映画の風景は大変に美しく、特に阿蘇の雄大な山をバックにしたどこかの別荘が思わず、あーあ、こんなところに住みたいと思う別荘でした。是非、阿蘇に旅行に行きたいですね。

「星に願いを」

いま、会いにゆきます」を見て日本映画の恋愛物に明らかにはまってしまった。世間知らずのため「竹内結子」も知らなかったが、あのプライドに出ていたんですね。今日、ツタヤの日本映画新作では、竹内結子の映画、「星に願いを」と「天国の本屋~恋火」がどうどう3位と4位にランクイン。きっと「いま、会いにゆきます」効果かな・・・

星に願いを」。「いま、会いにゆきます」ほどではないけどそれなりに良かった。お勧めします。点字の日記なんか、わざとらしいんですが、泣かされてしまいました。何も知らないで見ていると、途中からぐっと引き込まれます。やっぱり、映画は、宣伝なしで、評判なしで、何も知らずに見ないとだめですね。

竹内結子」という女優さん。この2年位ですごくきれいになったんですね。あと、女優としての風格も。「いま、会いにゆきます」のあの透明感のある美しさは、そこそこ年齢のいった男性ならイチコロですね。

もう、明日は、「黄泉」と「天国の本屋」を借りてきます。これで4部作終了ですね。その後の映画があったら誰か紹介してください。

「春夏秋冬そして春」を渋谷文化村で見てきました・・・

映画評価 ★★・・・ 
劇場評価 ★・・・・

春夏秋冬そして春」を渋谷の文化村ルシネマで見てきました。文化村もできた時は鳴り物入りの劇場でしたが、数年振りに訪れると正直たいした劇場でないですね。狭いし、左右の壁に圧迫感があるし、音響もよくないし・・・。まあ。インディーズの劇場のようにここでしか見られない映画があるといったところでしょうか?

監督は2004年ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞(銀熊賞)を受賞したキム・ギドク。ある小坊主の幼少期、思春期、青年期、壮年期を描いた作品なのですが、好きになれなっかたな・・・。

アジア趣味の強い欧州(特にドイツとフランスあたりでしょう)では受ける作品かもしれないけど、もともと仏教を肌で分かっている日本人にとっては今さら何といった感じです。風景も確かに特殊な幻想的な情景が撮影されていますが、特に映像的な美しさは感じません(ちょっと月並みか?)。

心に何が残るかといえば、輪廻、因果応報、生命の平等感など、日常生活で忘れていたことをふと思い出させてくれるといったところでしょうか?生を謳歌している若者には楽しくないでしょう。原罪を抱えている人、宗教的な救いを求めている人には、何か訴えるところがあるでしょう。

映画の中で何回か般若心経がでてきますが、韓国語もほとんど変わらないんですね。びっくりしました。あと、欲望が執着になり、執着が憎しみ(殺意だったかな)をよぶ、だから欲望を持つなという3段論法が、確かにと思うところがある半面、欲望から殺意が少し飛躍していてついていけなっかた。監督は何かそういう強い「原体験」を持っているのでしょうか?このあたりに共感をもてないと厳しいです・・・。