【経緯】

『二十歳の君へ』を推していた都立大の推薦図書一覧から発掘。

科学史に名を轟かせた科学者の一人であるファラデーの講義の記録ということで興味をもち手に取った。

【メモ】

内容は第1講から第6講に別れていて、自然科学について実験を通した講義を行っている。

表題にもあるようにロウソクをここではテーマとし、蝋燭にまつわる実験を通じて自然現象発生の真相を確かめていく方式を取っている。

この本を読んでいて感じさせられたのは、科学は身近に潜んでいるつまり、大したことないと思う事にも、見方によっては興味深くなると言うことで、ファラデーとしても蝋燭という身近にあるものを選んだのもそれを目的にしてるのではないだろうか。ファラデー自身もこの公演が行われた場所、王立研究所で幼い頃に公演を聞いたのがきっかけで科学者の道を本格的に歩んだとこの本の解説にて述べられてることからも、第二のファラデーを生むことを少なからず意識したのではないかと想像してしまう。

この意識自体は大変応用が効く。

例えば、ティナ・シーリング(Tina Seeling)の"What I wish I knew when I was 20."に出てくる5ドルの資金で制限時間内に最大限稼ぎなさいという課題が科される。

一般的な見方として、焦点は「5ドルをどこに費やすか」もしくは「制限時間をどう活用するか」にあて稼ぐ方法を模索するのに対し、結局「課題の発表時間の使い方」に価値を見出し、そこを企業に売ったグループが最も高い利益をえたという例がある。

これも、見方によって結果や見えてくるものが大きく変わる例だ。

このように、単に科学知識を広げ、科学に興味を持たせるだけでなく、聞く人の意識(ここにおいては科学に対してのみに限定されるが)にも影響を与えうるという点において、この講義の構成および題材のチョイスが素晴らしいと改めて感じると共に(これらは僕の勝手な解釈ではあるが)ファラデーに敬意を表したい。