自分のこころのきたなさを見たようで、
ざわりざわりと
それこそ砂のような砂利のような
ざりと噛むような
居心地の悪さがあった。
いじめだったのだと思う
何十年ぶりに見た並べられた椅子に
机。と、名簿。
座る場所が各々決められているという
安心感やら違和感やら
私の頭から
水を浴びせる
正確には
誰でもいいから特定の他人に
水を浴びせることが
狙いとして行われていることは
はっきりしていた
わたしは、なるべくそれが
エンタメとして機能するように
自分が傷つかないように
自分が浴びたときは笑いに変え、
それからそもそも、他人がそれを浴びるように誘導した。
寒かった
ドライヤーを持ってきてかみをとかす少女のうしろにまわりこんで
これ幸いとその熱を受けた。
目の前の男は、株の話をしていた
大人しくて暗くて、でもとても面白くていいやつだと思った
男の顔を見回すと、大人しい奴もヤンチャな奴も
等しく人権があるようだった。
元来わたしは、大人しく過ごしたい女だった。
この男のように大人しく過ごせば
いじめられないで済むだろうか
そうよぎって
から
すぐ
否、
女は派手でないとなめられると気がついた
そこが男と女の違いであると
はっきりと感じてしまった
現実に戻れば、
いや男に生まれていれば
そんなこと思わないのだろう
男としていじめを受ける苦しみは
男にしかわからないから。
けれどわたしは女だった
いじめられた女だった
そしてここは夢の中で
どうすればなるべくこころ穏やかに過ごせるのか
わたしは常に頭を悩ませていた。
明るくなるしかない
と覚悟した
女に生まれたからには
集団の中で悲しまないために
自分自身でいてはいけないと
強く思っていた
男であれば
黙認、もしくは
気づかずにいてもらえる
大人しくいたいという個性が
女でいるばかりに
見つかり、
的にされ
刈り取られる
と
そのきづきを
発明かのように
呑み込んだ。
彼女は電車を止めたのだ
駅のホーム
みんなが乗ると疑わなかったそれ
走り抜ける1秒先に
彼女はそれを引いた
その前にこんな会話をしていた
本当に携帯もっていっていいの?
と彼女にきかれて
いじめのことを心配されていると読んだわたしは
答えが決まっていた
ほんとうは、
ここにおいていったら
携帯までとられて
中を見られる
のではないか?、
それが嫌だったから
持ち歩こうとしたのだけど
持ち歩いたって
いじめにあうときはあうのだろうと
分かった上で
わたしも不安じゃないわけじゃないけど、
それでも万が一何か災害などがおきたときに
連絡が取れた方が
親が悲しまないかなって。
ふうんと彼女は言ってそのまま立ち去り
さよなら、とたしかに聞こえたその刹那
警報が鳴り響いて
右往左往
するしかできず
咄嗟に飛び乗ったのは一両しかない電車
この電車がどこまで走るかわからない
おとなしそうで
いじめてこなさそうな
女の子が
1人しか乗っていない車両を意識して選んでいることとか
一緒に飛び乗ってくれる人がいると
確信が持ててから体がうごくこととか
すべてがざらざらしていた
決定権はどこにあるのか
私の心は
なにを軸にうごくのか
この一両の中は
平穏があると思った
だが、彼女のような
警笛を鳴らすほどの
胆力が
正直とてもわたしには
眩しく美しく
孤独であっても
自己の決定を
他人に譲らない
起きた結果を
他人に受け取らせない
潔さが
私にないものが
すべてそこにあると
感じさせる彼女は
とても美しかった。
窓の外をみると、
砂、砂、そして人、
どこかでみた
これは
原爆の資料館だ
亡霊のように歩く人々
予期せぬことに
ただ歩みを続けることしか出来ない
私たち。
頭にはナレーションがひびく
人々はようやく気がついたんだよ
彼がいい人だってことにね。
何のことかはわからなかったけど
妙に納得してしまって
ざらざらとした気持ちが収まることもなくて
起きてからもこうして彼女を
追ってしまっている
弱い私を生きるわたし。