http://getnews.jp/archives/245097
夕刊ガジェット通信
より
2012年8月21日付の中国新聞に「助命で譲渡の猫を虐待死疑い」という記事が掲載された。「広島市南区の30代男性が、飼い主のいない猫を収容
する市動物管理センター(中区)から譲り受けた複数の猫を虐待し、死なせた疑いがある」とのことだ。男性は、同センターから3匹の猫を譲り受けた他、動物
愛護団体などからも猫を引き取っていた。サンケイスポーツは、「少なくとも猫12匹を虐待して死なせた疑い」と報じている(8月22日付)。
事件が発覚したのは、NPO法人『犬猫みなしご救援隊』が男性宅を訪問したからだ。虐待の情報が入った同NPOは、男性宅にスタッフを派遣。男性の
同意を得て、室内をチェックしたところ、「猫の血とみられるものが室内の壁やシーツなどに付いているのを見つけた」(サンケイスポーツ)。
スタッフは警察に通報。やってきた警官は、男性が「もうしません」と謝っているのだから、「許してあげたらどうか」とスタッフに提案した(同NPO
のブログより)。この警官の対応は、まずい。一応、動物愛護法の第44条では「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、一年以下の懲役又は百万円以下
の罰金に処する」と決まっているのだから。
男性は、自ら猫を次々と虐待して殺したことを語っている。よって、警官は男性から事情を聴いた上で、きちんと対処するのが筋であろう。案件の対象が人ではなく動物だから、適当に対処しておけばいいというものではない。
「しつけのつもりが度を越してエスカレートした。殴ったら死んでしまった」。これが、男性が猫を殺した理由である。しかし、実際には殺しては引き取るということを続けていたのだから、殺すことが目的で猫を引き取っていたと思われても仕方がない。
中国新聞は、続報として「猫虐待死問題で課題浮き彫り」という記事を掲載した(8月22日付)。記事によれば、中国新聞の取材に対して男性は「引き取り手のない猫は殺処分される。確かに自分は手を加えて殺したが、センターの方がたちが悪い」と述べている。
この問題の根本は、飼っている犬猫を捨てる飼い主にある。とりわけ、長期的に飼い続ける意思や財力がないのに、思いつきで飼い始める人は「たちが悪
い」。そして、捨てられた犬猫を一時的に預かり、引き取り手がない場合はやむなく殺処分するのが動物管理センターの仕事である。
無責任な飼い主たちは、飼えなくなった犬猫を捨てるわけだが、「捨てる」ことは結果的に殺すことと同義だと言っていい。彼らは自らの手で殺したくな
いから、捨てるわけである。捨てられた犬猫が街中をうろつくと害獣になる恐れがあることから、同センターが一次保護し、殺処分する。誰だって動物を殺した
くはない。同センターの職員は、無責任な飼い主たちが残したツケを払わされているにすぎない。
そんな同センターの実状を理解せず、男性は自分の猟奇的な行為を正当化するために、「センターの方がたちが悪い」などと言っている。あきれてものが
言えない。再発防止といっても、捨てられた犬猫を引き取る人がまともな人か猟奇的な人かなどと、受け渡す側が判断するのはむずかしい。
この問題を解決するためには、「捨てられた犬猫をどう対処するのか」といくら考えても意味がない。飼い始めた犬猫を捨てないような啓発を進めると同
時に、捨てた飼い主に対して厳罰を処すなどの法改正を進めていくしかないと筆者は考える。要は、犬猫を簡単に捨てられないようにする制度づくりが重要なの
である。
(谷川 茂)