「ただいまぁー」 

アベくんは、帰るやいなや通知表をお母さんに見せました。 


「ほら見て。頑張ってるから、国語も算数も成績上がってきたよ!」 

「あら。ホントね!頑張ってるモンね!凄いわよ。」

お母さんも嬉しそう。

アベくんは、お母さんの嬉しそうにしている顔を見るのが、大好きです。

「でも、アレね。体育とか図工が落ちてきちゃったわね。」 

 「それは、しょうがないじゃん。外で遊ぶ時間とかも減ってきちゃってるしさ。」

アベくんは、少し怒った様に言いました。

「そうよね。国語と算数頑張ってるモンね!

よしっ。お祝いに今日の夜ご飯はどこかレストランに行きましょうか?」

「わーい」



「ただいまぁー」

トクイくんは、帰るやいなや通知表をお母さんに見せました。

「体育と図工は、サイコーでしょ?音楽が1コ落ちちゃったけどね。」

「あら。ホントね!頑張ってるモンね!凄いわよ。」

お母さんも嬉しそう。

トクイくんは、お母さんの嬉しそうにしている顔を見るのが、大好きです。


「今日ね、アベくんにね、『トクイくんも一緒に塾に行かない?』って誘われたんだ。」

「あら。そうなの。なんて返事したの?」

「サッカー教室が今は1番楽しいし、塾には行かない。って応えたよ。」

「そうなの。じゃあそれが良いんじゃない?」

「でも、、僕も塾行った方が良いのかなぁ。とも、ちょっと思ってるんだ。」

「どうして?どうしてそう思ったの?」

「だって、国語と算数は“1“だし。。」

「そりゃそうよ。あなたお勉強なんてあんまりしてないじゃない。お外で遊んだり、サッカーしたり、絵を描いたり、何か作ったりばっかりじゃない。でも、お母さんはそれで良いと思ってるよ。」

「そうなの?お勉強もできた方が良いでしょ?

「そりゃもちろん。どんな事だって、できないよりはできる方が良いわよ。でもあなたが今、好きな事を好きなだけ一生懸命やって、楽しく毎日を過ごす事の方が、もっともっと素敵な事だとお母さんは思うよ。」


トクイくんは、お母さんが応援してくれているのを感じて嬉しくなりました。

「それにね。」

お母さんは続けます。


「時間は有限なのよ。」

「ユウゲン?」

「そうよ。時間には、限りがありますよ。って事。時間はみーーんな一緒なの。みーーんな1日は24時間だし、みーーんな、1年は365日なの。」

「そんなの当たり前じゃん。」

トクイくんは、お母さんが何を伝えたいのかが、イマイチ分かりませんでした。

「時間は、有限だから、苦手な事や嫌いな事を、『なんとかかんとかできる様に頑張ろう。』として、そこに時間を使う様になるとね、得意な事や好きな事に、使う時間が減っちゃうでしょ。そうすると、得意だった事もいつの間にか、得意じゃなくなっちゃうの。」


「うん。まぁ。うん。そうだね。そうだよね。だけどさ。」

トクイくんは、分かった様な分からない様な気持ちになりました。

「『だけど』なに?」

「だけど、、大人になってから『できない事』があったら困っちゃうんじゃないかな?」

「そうね。困っちゃうわね。じゃあクイズね?困っちゃったら、どうしたら良いと思う?」

お母さんから、突然クイズをだされました。

お母さんは、優しい笑顔のままだけど、目は真剣でした。

きっと、このクイズの答えはとっても重要なんだろうな。という事は、トクイくんも感じとれました。


「う〜〜ん。分からないよ。。正解は?」

「正解は、、、」

お母さんは、そこまで言うと、ニコッと笑って、


「いつか、あなたにも分かる時がくるわよ。」と言いました。


「なんだよ。お母さんのケチんぼ。答え教えてよ!!」

「よしっ。お祝いに今日の夜ご飯はどこかレストランに行きましょうか?」

「お祝い?なんのお祝い?」

「あなたに、『大事なお話をする事ができました。』のお祝いよ。」

「でも、答えは分かってないじゃん。」

「じゃあ、レストランに行くのやめるにする?」

「イヤイヤ。行こうよ。レストラン。」