言葉を取り戻すために
絵を描いてきた
絵も美術も
大キライだったわたしが
何故か絵を描くようになり
個展まで開くほどに
アートな世界に没入した数年間
自分の人生のはずなのに
自分自身が一番謎だった
人生は自分自身のものでありながら
何かによって枠みたいなものを
壊され何かとともに創っているものでも
あるようなものである
と思っている
自力のみなら
絶対に選ばなかった
触れようともしなかった世界が
世界の方から迎えに来ることってある
わたしはあのとき
心も声も言葉も見失っていて
愛を渇望し
何かにしがみついて生きるしか
生き延びる術を持てなかった
人では苦しすぎて
物では虚しすぎて
何がわたしを埋めてくれるんだろう
そう思っていたのかもしれない
生きている以上
嫌な感情だとしても
虚無感という
感覚さえも
感じる
湧き上がることからは
逃れられない
言葉がアイデンティティだったわたしは
それをなくした代わりに
アートという
無限で自由なただの空間に放たれ
湧き上がるままに
色と空間をキャンバスに具現化させる
道具になれた
その中で
生命力を取り戻しながら
生き延びるためではなく
生きる感覚を取り戻してきた
言葉にならない声を表現させてくれたのが
アートだった
そんな時を経て
少しずつ少しずつ
あるがままの声を言葉という
ツールと共に表現することを
取り戻してきた今
言葉を表現するよろこびや
Energyがわたしの生命力を
拡大していく
そこには
いのちのよろこび
この世界に存在するめぐりの
意味を感じている